住宅ローン返済中であっても、不動産を売却することは可能です。しかし、入り口の段階で誤った情報をインプットしてしまうと、すべてがうまくいかなくなってしまいます。この場合で言う
「入り口の段階」
が何を意味するかというと、それは「査定」です。以下フローチャートをご覧ください。
①残債を確認
返済予定表から残債を確認することから始まります。
②査定を依頼
ここが最も重要な「入り口」の部分です。不動産の売却査定というのは、車の買取査定や引っ越し業者の見積もりとは別物です。過去の成約事例や、現在の売り出し事情を踏まえて、
「この位であれば売れるはず」
というただの予想です。査定した金額で100%売れるわけではありません。そのことを理解していないと、売却の依頼欲しさに相場より高い金額を提示する不動産会社の査定金額に惑わされてしまいます。高い金額を査定されて嬉しくない売主さんはいません。
しかし、耳障りの良い高い金額を聞いて喜ぶことが査定の目的ではありません。がっかりしてしまうかもしれないけれど、少なくとも3か月以内に高い確率で売れるであろう正確な金額を把握することが、査定の本来の目的です。
正確な査定金額を聞いていなかったことが原因で、以下の計画がすべて違ってきてしまいます。充分注意しましょう。以上のことをまとめると・・・
- 不動産の査定はただの予想で100%売れる価格ではない
- 売却依頼欲しさに高く査定する不動産会社がある
- 査定の目的は3か月以内に高い確率(7割8割)で売れるであろう金額を把握すること
上記3点は最低限、理解しておくようにしましょう。以下は詳細記事となりますので、併せてお読みください。
ちなみに私は以下↓の理由で一括査定システムには懐疑的ですから、参加はしていません。
あまりおススメできることではありませんが、いくつかの不動産会社の査定を聞いて、その平均値を取ってみるというのも、ある程度信憑性の高い査定金額を把握できる一つの方法でしょう。依頼する気はなくとも、そこで偶然出会ったフィーリングが合う、実力のある担当者と出会える一つのきっかけになるかもしれません。
③残債 ≦ 査定金額
残債よりも査定金額が高ければ、単純に売却することができます(→④)。
しかし逆の場合は違った対応が必要となります(→⑤)
⑤不足分を用意できる?
残債 ― 査定金額 = 売却損(予定)
ですが、この損の部分を別途用意できるのであれば売却は可能です(→⑥)。図にするとこういうことです。
用意できない場合は、⑦へいくことになります。
⑦返済がきついか?
特に返済がきつくなく、良い金額で売却できるなら売ろうという、切羽詰まった売却理由がなければ売るタイミングではないということですし、売れません。不足分を貯金するか、繰り上げ返済をするなりして、元金を減らしながら待機してください。
返済がキツイ場合は早々に対応策を考えなければなりません(→⑧)。
⑧滞納していない?
滞納はしていなくとも、状況はかなり切羽詰まっていて、少しでも早く月の返済を軽くしたいのであれば、安い物件へ買い替えすることを検討してください(→⑩)。
既に滞納してしまっている場合、放っておくと競売になってしまいます。住宅ローンを利用して不動産を購入した人にとって、競売は最悪の結末です。そうなってしまわないうちに、早急に任意売却を目指してください(→⑪)。
まとめ
以下の記事も関連する内容となります。この機会にご覧になってください。
5/16発売の新刊の中でも詳細を解説しています。
住宅ローンのしくみについてはもちろん、住宅ローンが絡む不動産売買に関する知識全てを詰め込んでいる、持ち運びできる私の頭脳といっても言い過ぎではありません(笑)。この機会に住宅ローンに関する知識をインプットしてください。