1日で100万部を超えたという、
なんともうらやましい百田尚樹原作の、
「海賊とよばれた男」
を読み終わった。
この中で描かれている、
主人公(出光興産の創業者)が経営する国岡商店の、
仕事ぶりはすさまじいものがある。
詳しくは未読の人のためにも書かないが例えば、
・石油タンクにもぐり、人力で油をすくい(従業員が)酸欠で倒れる
・タンカーのタンクを突貫でクリーニングして(従業員の)皮がはがれる
・撃沈される可能性が高い航海を、(作業員やその家族に)内緒で勝手に決める
ちょっと厳しければすぐに「ブラック企業だ!」と批判を受ける、
現代では比べ物にならないほどの労働状況の悪さだ(笑)
なぜここまでの労働を強いることが出来るのかというと、
戦争に負け沈没しそうになっている日本を、
どうにかして立て直したい!という思想・企業風土が国岡商店には存在するからだ。
だからいくら過酷な労働条件であろうが、
「日本のために!」
を合言葉に、社員たちは喜んで、笑顔で働く!!
彼ら従業員とって、そんな激務を強いる主人公と会社は、
日本を立て直すために身を粉にする愛すべきもので、
自分がどれだけ傷つこうが構わない、
何が何でも潰してはいけない、(国・会社を)守りたいのだ。
このように上記の本の中では、
日本再建のため、国岡商店のためには命も捨てる!
という気概を持った多くの社員が登場する。
過酷な労働状況であろうがなんだろうが、
ほとんどの社員たちが嬉々として働いているということは、
国岡商店は過酷な労働状況にも関わらず、
現代でいうところの「ブラック企業」ではないのだろう。
現代の物差しで当時の労働状況を語るのもおかしな話なんだけど、
まあ面白いから良いでしょう(笑)。
一方、本の中に描かれていないだけで、
「そんな・・・日本のためになんか働きたくなんてねえし!」
「こんなに働かせるなんて・・・ありえないっしょ!?」
と思っていたやさぐれた人もきっといたはずだ。
そうした人が「仮に」多数派を占めていたとすれば、
国岡商店は現代でいう「ブラック企業」となり、
また違った展開になったんだろうけど、
小説だしそんな展開にはなるわきゃない(笑)。
結局のところ何が言いたいのかというと、
「ブラック企業と言われてしまう会社と、言われない会社の境界は、
その企業風土に染まった人が多数派を占めるかどうかで決まる。
仕事量の多少がブラック企業と判断する物差しになるわけではない」
ということかな。
会社を辞める前に、
自分が、会社の中の多数派と少数派、
どちらに属しているのか客観的に眺めてみるといいかもしれませんよ。
ひょっとしたらただの自分のわがまま、ないものねだりなのかもしれないから。
本は面白かったです。
次は「永遠のゼロ」かな。
Yahoo!にも書評が載りましたよ!
「ここで辞めたらただの負け犬!~ブラック企業で修業した男の日常~」
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