融資を受けるとは?
住宅ローンを利用して、住宅を購入するということは、金融機関の顧客になることであり、長期に渡る返済生活の始まりを意味します。融資を利用すると、売り手から買い手へ所有権の移転が行われますが、それと同時に購入した不動産には抵当権が設定されます。
抵当権が設定される=担保に取られる
ということを意味します。
抵当権とは?
詳しく解説しようとすると複雑になりすぎるし、弁護士が一冊本をかけてしまうほどなので、詳細は避けますが、簡単に言うと
「(*抵当権を付けた人が)強制的に売却できる権利」
と考えておけば良いでしょう。
抵当権を付けた人=融資を行った金融機関(*抵当権者)
ということです。
色々と例外(*差し押さえとか後見。今回は無視)はありますが、基本は所有権者の意思なくして不動産の売却はできません。例えば夫婦共有の場合、夫(持ち分10分の9)が売却しようとしても、妻(持ち分10分の1)が売却に同意しなければ売ることが出来ません。持ち分の多さ、少なさは関係ありません。
しかし、お金を貸した金融機関(*つまり抵当権者)は抵当権を実行することで、所有者の同意なくして勝手に売却することが出来るのです。これを「競売(けいばい)」といいます。
共有名義の弊害
思いっきり余談ですが、離婚の際、財産処分でもめるのは、夫婦共有のケースが多いです。結婚当初、
「2人はずっと一緒だよ。だから不動産も共有財産で当然。共有にしよう!」
と、アツアツの2人の住まいは文字通り愛の住処となります。
しかし、いつまでも愛の住処であり続けられるわけではないことは、この手の案件を弁護士経由で引き受けることが多い私が、僭越ながら当事者たちよりもよくわかっています。
数年後、きみ〇ろ風にいうと2人の間にも
「すきま風」
が吹き始め、やがて持ち分をめぐっての突風に早変わり。お互いの関係が氷河期ほど冷え込んでしまって、顔を合わせることもままならなければ、弁護士を通しての話し合いにまで発展します。
どちらかの単独名義であれば、所有者本人の意向でことは簡単に進みます。しかし、ヘタに持ち分を持ち合ってしまうことで、新婚当初の愛の結晶だったはずのものが、ドロドロの愛憎劇の要因の一つとなってしまうのです。
新婚当初から有事(*離婚)のことを踏まえ、愛の巣購入意欲に少し前に世界中で流行したアイスバケツチャレンジのごとく冷水をぶっかけるようなアドバイスで大変恐縮ですが、物事はできるだけシンプル(単独)がいい、ということです。不動産の名義にしても同様です。
とはいえ、互いの両親が援助なども絡んでくるので、シンプルにしたくともできないこともあるのですが。
まとめ
金融機関から融資を受けてマイホームを購入した人は、確かに所有権を持っている法的な権利者となります。しかし、借りたお金を返せなくなれば、抵当権者(*融資した金融機関)は抵当権を実行し、競売で物件を売却、強制的に貸したお金を回収するのです。金融機関はお金を貸す代わりに、いつでも売却できる強い権利を手にすることになるのです。言いかたを逆にすると、
「返済義務を果たさないと、いつでも売却されてしまう強い権利を金融機関に握られる」
とも言えます。