買い手の気持ちを察する共感力が重要
それは共感力です。
不動産売買では大きなお金が動きます。ほとんどの人にとって、人生で一番高い買い物が不動産のはずです。だからこそ購入する人は本当に買っていいのか不安に思うし緊張します。
しかし、仲介する不動産営業マンは、日常業務で不動産取引を当たり前に行っています。買い手さんが感じるような不安や緊張を、すっかり忘れてしまっている人が多いのです。
不動産営業マンは、こうした買い手が感じているであろう不安や緊張を理解すること、つまり共感する力が必要となります。
失われてしまう不安や緊張感
不動産の仕事を始めるまえは、
と思っていましたし、ハウスメーカーの友人からも、年間5棟できれば良い方で、月1棟ならトップ営業マンだと聞かされていました。
ところが実際は、月に3件4件とこなすのが当たり前で、月に1件も契約できなければ、ダメ営業マンのレッテルを貼られてしまう世界でした。
いつしか契約するのが「当たり前」となってしまい、当初、買い手さんと同じように感じていた緊張や不安も、いつしか失ってしまうのです。
私もワンルームマンションを購入したことがあります。小さな不動産とはいえ、高級外車位の価格はしました。
しかし、日常的に仲介業務を行っていましたから、一般の買い手さんに比べたら、購入するための心理的なハードルは驚くほど低かったです。もう本当に、
「サクッ」
という表現がピッタリなほど、気軽に購入しました。その時の経緯は以下の記事をご覧になってください。
買い手と不動産営業マンの間にあるギャップがクレームの種
- 人生において数少ない不動産購入の場に臨む買い手
- 1ヵ月に何件も契約をする不動産営業マン
この二つの立場に大きなギャップが生じてしまうのは仕方がありません。
しかし、月に何件も当たり前のように契約するのは不動産営業マンだけであって、普通の人はそうじゃない!という当たり前の認識を強く持っておくべきでしょう。
でないと、不動産営業マンとしては「当たり前」の尺度を、はじめての買い手にも要求してしまうことになります。それがクレームの種となってしまうのです。
よくあるクレーム例
上記二つはよくあるクレーム、または知り合いから相談を受けることです。
不動産取引的には、
条件がまとまれば契約を先延ばしする理由がない
ということで、できるだけ短期間で契約締結をするよう求められます。ですから不動産営業マンにとっては「当たり前」のことを言っているにすぎません。
しかし、不動産営業マン的には当たり前かもしれませんが、普通の買い手にとってはそれは「当たり前」ではありません。
条件がまとまったとはいえ、買い手は契約前にもう一度、時間をかけてじっくり物件を見たいと思っているかもしれませんし、他の人の意見も聞いてみたいと思うかもしれません。
そうしたことが理由で契約を渋る買い手さんに、不動産営業マンが、
と、不動産営業マンの「当たり前」の尺度を、買い手に押し付けてしまうと、買い手としてはただでさえ高額な買い物で不安に感じていたのが、さらに不安になってしまいいます。
「不動産取引的には」おかしなことを言ってるわけではない不動産営業マンに、不信感を感じてしまうのです。
まとめ
良い営業マンとは、
- 物腰が柔らかく話し上手
- さわやかで信頼できる見た目
と思われている節がありますが、そうではありません。
買い手の感じる不安や緊張を理解し、それに寄り添える共感力を持つ人のことをいいます。
という観点で見てみるといいでしょう。