住宅ローンの本審査に落ちたら締結済みの売買契約はどうなる?

売買契約後、融資の本審査(*=本申し込み)を行います。事前審査を行ったうえで契約締結しているわけですから、通常であれば問題なく通ります。

しかし、事前審査に通れば100%本審査が通るのかといえば、決してそうではありません。少ない可能性ですが、否決になってしまう可能性もあります。万が一、否決になってしまった場合、売買契約はどうなってしまうのでしょうか?今回はそんな誰もが避けたい事態についての解説です。

ローン特約期限内であれば売買契約は白紙解約

「融資が万が一否決となった場合、その契約は白紙解約となる」

といった内容の特約が、通常の売買契約には付いています。これを

「ローン特約」

と言います。白紙解約なので、文字通り契約自体そもそもなかったとみなされます。支払っていた手付金や、仲介業者に支払い済みの仲介手数料は返金され、ペナルティもありません。売り手にとってはたまったものじゃないですが、契約に費やした時間と労力はさておき、買い手に物理的ダメージはありません。

不動産の売買契約時には、売買契約書と重要事項説明書、二つの重要書類がありますが、その両方にローン特約についての記載があります。契約書の裏面には、細かい約款で条項が書かれていますが、両書面ともに、ローンが出なかった場合の措置については、表面の見逃すはずがない箇所に記載があります。

本審査が落ちる理由は?

事前審査が通っているにも関わらず、本審査で落ちてしまうことはあまりないのですが多い理由としては

  • 団体信用生命保険に入れない(*健康状態に問題あり)
  • 事前審査通過後に新規の借り入れ

主なものとして上記2点が考えられます。

住宅ローンを利用するためには、団体信用生命保険加入が条件となります(*フラット35は任意)。「生命保険」とある通り、基本は保険です。申し込むにあたり、現在の健康状態や過去の病歴、手術歴、既往症、継続的に服用している薬など、告知を行わなければなりません。その部分に問題があった場合、つまり健康状態に問題があった場合、落ちてしまうことがあります。

もう一つは、事前審査通過にすっかり安心してしまい、新規に借り入れをしてしまった場合などです。金融機関から融資が実行されるまでは、間違っても新規の借り入れをしてはいけません。

ローン特約に期限がある理由

いつまでもローン特約による白紙解約が認められているわけではありません。例えば引き渡し予定日(*=決済)前日に、

「ローンが出ないから白紙解約したい」

と言われても、引き渡すつもりで準備していた売り手にとって、

「はい、そうですか」

と言えるはずありません。ローン特約による白紙解約が認められるのは、

決められた期日までにローンが否決された場合のみ

です。

決められた期限にローン可否を取ることができなければ、ローン特約による白紙解約は認められず、買い手都合の解除とみなされ、一転、違約解除とされペナルティも発生してしまいます。

まとめ

「住宅ローンの本審査に落ちたらどうなる?」

について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?

  • 事前審査に通っていれば基本は本審査も通る
  • ローン特約があるので万が一否決されてもダメージはない
  • ただし、ローン特約による白紙解除が認められる期限がある

万が一のためのローン特約ですから、万が一の時にもちゃんと適用されるよう、契約締結後には早々に金融機関の本申し込み手続きは行っておくことをお勧めします。

住宅ローンについてのまとめ記事は「住宅ローンの審査について~まとめ~」をお読みくださいね。

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