金融機関の融資の流れは、通常、
- 事前審査
- 本審査(*住宅ローンの本審査とは?)
という2段階のステップを踏んだうえで、融資可否が決定されます。今回は住宅ローンの事前審査について解説していきます。
事前審査とは?
事前審査は仮審査とも呼ばれています。
「住宅ローンを申し込んだ場合、融資可能かどうかを事前に審査する」
といった認識で概ねOKです。
仲介業者が審査に出す金融機関は、ほとんどが
- 三菱東京UFJ銀行
- みずほ銀行
- 三井住友銀行
などの大手メガバンクで、その他、お客様の内容によっては横浜銀行やりそな銀行などに事前審査を出します。事前の審査とはいえ、これら金融機関の審査精度は非常に高く、事前審査で通ったものが、本審査で否決になるということは、よほどのことがない限りありません。事前審査の結果が出てくるのも早く、遅くとも2,3営業日後です。
また、Aという物件の事前審査を通した人が、物件Bに変えて再度申し込む際には、最初からやりなおさなくてはいけません。一度通しているとはいえ、直接本審査(*本申し込み)をすることはできません。
事前審査は完全ではない
事前審査で通ったものが、本審査で一転否決されることは、基本的にはあまりないと上記で書きましたが、かといって100%本審査が通るというわけでもありません。
例えば、本審査時には本申込書と一緒に、団体信用生命保険「団信」への申込も行います。一種の生命保険ですから、自身の健康状態や手術歴の告知が必要です。告知事項によっては団信に入れないこともあります。団信加入が必須の金融機関としては、融資をするわけにはいかないため、結果として否決されてしまいます。
また、事前審査の段階ではなかった借り入れが、新規の借り入れ時に発覚した場合は、否決になることもあります。
事前審査時に必要な書類
事前審査時に必要な書類は次の通りです。
- 源泉徴収票
- 健康保険証の裏表コピー
- 免許証などの身分証明書
- 仮審査申込書
- 同意書
となります。その他、購入する物件の登記簿謄本や公図などの物件資料が必要となりますが、そうした資料は仲介業者が用意してくれます。
事前審査実施のタイミング
契約前に行うことが多いです。しかし、仲介業者や買い手の考え方によって見解は異なりますが、個人的には購入申込書(*買い付け)を出す際には、事前審査の承認を取っておくべきだと思います。
なぜかというと、住宅ローンを利用して購入する場合、審査が通るまでは本当に購入できる人かどうかは分かりません。契約後融資が通らなかった場合、契約締結までに費やした時間や労力は全て無駄になってしまいますし、言いかたを変えるとその間、売り手の物件は塩漬けにされてしまうのです。
そのような売り手側のリスクもあるので、以前は事前審査が通っていなくとも、契約の段取りは出来ることが多かったのですが、最近は審査を通してからでないと、契約日の設定や交渉さえしないところが増えました。
「金額交渉含め、契約の段取りは事前審査が通ってから」
がスタンダードになっています。
審査結果が否決された場合
審査結果が残念ながら否決となった場合、
「今回は総合的判断で」
という理由で断られます。なぜ否決になったかの理由は教えてくれません。仲介業者と融資担当者の関係性によっては、
「他に借り入れはありませんか?」
などと、ぼんやりと聞かされることはあります。他にも
「希望した5,000万は無理だけれど、4,000万なら・・・」
と、条件を変えて回答してくれるところもあり、金融機関によって回答方法は違います。
事前審査の出しすぎに注意
「どこかの金融機関にひっかかればいい」
など、審査が通りにくいと認識している人や、
「一番融資条件の良い金融機関を探しましょう」
など知識のない仲介業者の誤ったすすめなどによって、一度に複数の金融機関に審査を依頼する人がいますが注意が必要です。なぜなら事前審査時に金融機関は、借入希望者の個人信用情報を開示します。個人信用情報には
「金融機関が個人信用情報を開示した」
という履歴が残ります。以前ほどではないですが、個人信用情報の開示履歴がありすぎると、審査にマイナスに働く可能性があるからです。
まとめ
住宅ローンの事前審査についての解説でしたが、いかがだったでしょうか?事前審査は住宅ローンを利用する人は必ず行わなければなりません。契約前、事前審査に出して初めて、自分が融資を受けられるかどうかが分かります。するとそれまで物件探しに費やした時間や労力は全て無駄になってしまいます。
ですからまずは物件を探し始めた初期段階で、仮の物件で事前審査を出して、融資が出るのかどうかを確かめてみるのがいいでしょう。