駅から遠い物件の現状

売った方が・・・

コンサルティングをしていると、相談者にはそうした認識(*売る気がない)が全くないのに「これは売った方が良いよな~」と思う物件があります。色々なパターンの時があるので、一概に「こういうケースで!」と断定することはできませんが、あえてひとつあげるとするとそれは「駅から(中途半端に)遠い物件」です(*もちろん例外はあります)

不動産の良し悪しを左右する

大原則ですが、「駅からの距離」というのは、不動産の良し悪しを判断する要素の中でも非常に大きなウェイトを占めます。以前は「駅から近いけどその分狭い、古い。逆に遠いけど新しくて広い」といったある程度のすみわけが出来ていました。

しかし、借り手市場の現在、駅近物件との賃料格差がだいぶ小さくなってきています。わざわざ駅から離れなくても、そこそこ広くて新しい満足できる駅近の物件を見つけることができるようになりました。そのような物件にかなりの数のお客さんが取られてしまっているのが現状なのです。駅から遠い物件が、そうした駅近物件に競合して勝ち残っていくためには、金額勝負しかなくなってきているのです。はっきりいうと消耗戦です。

その他にも「売った方がいいなあ」と思う理由はあります。

入居者の心境は・・・

仮に入居者が見つかったとしても、長期的に借りてくれる可能性が高いとは言えません。なぜなら、入居者は生活することで、駅までの道のりを実際に体感します。最初見たときは「この位の距離なんてことない」と思っていたとしても、それが毎日になると話が違ってきます。仕事に疲れてやっと駅についてそこから歩いて15分となると・・・「次引っ越すときにはもう少し近い物件を・・・」との思いを募らせてもおかしくないからです。そして更新を機に退去してしまうのです。

オーナーとしては中々入居者が入らずに、ようやく決まってホッと一息ついたのもつかの間!2年足らずで退去となるとメンテナンス費用もかかりますし、またすぐに新しい入居者を探さないといけません。これではオーナーが疲れてしまいます。

親から譲り受けた物件だったり、既にローンがなくなっている物件ならばまだ良いでしょう。ただ、家賃収入でローンの支払いをまかなっているのならば、入居者が決まらないのは自分の懐からお金が出ていくということで死活問題です。これがもう一つの理由です。

傾向と対策

ローンの残額以上の価格で売却することが可能という前提となりますが、こうしたケースの時に私が良く行う提案が、賃貸の募集に出しながら、売却も行うという並行活動です。もちろんこの方法は駅から遠い物件に限っての話ではありません。

オーナーにはどちらに転んでも良いように納得して頂く必要はありますが、時間をかけた結果、「やっぱり売ることにする」「やっぱり人に貸す」といった時間的なロスをなくすことにもなるのです。いずれにせよ、オーナーにとってはどちらに転んでも良い結果となるため、メリットは大きいです。

もちろん、駅から遠いという物件であっても、やりようはいくらでもあります。なので、「駅から遠いと売った方がいいんだ・・・」と悲観する必要はまったくありません。人間と同じで、要するにその人(物件)の個性に合ったやりかたが必要というだけです。

5/16に新刊が出ます

私が持つ住宅ローンの知識を全て詰め込んでいます。一生モノとなる住宅ローンの知識・教養を、この機会にぜひインストールしてください。

5/16 新刊「住宅ローンのしくみがわかる本」発売です!!

Pocket