賃貸併用住宅を勧めている、とある大手ハウスメーカーの広告が目に付きました。
「どれどれ、どんなプランなのかな」
と思ってみたらこんな間取りでした。
「おいおい、これはないんじゃないか!?」
というのが第一印象です。
3.3畳の洋室って見たことありますか?
ベッドを入れたら後は何にも入りません。しかもこの間取りはリビングが広く取られていることから、結婚したばかりのご夫婦など、2人入居をターゲットにしていると思います。3.3畳には当然ダブルベッドなんか入りません。つまりターゲットと間取りがアンバランス、チグハグなんです。
建物を提案するメーカー的には、部屋数が入るプランを作れば、(机上の)オーナーの収益はあがるので提案書の見栄えは良くなります。しかし、建ててみたはいいけど、決まらなかったらオーナーさんが期待したその収益も、絵に書いた餅でしかありません。昔から賃貸経営をやってこられたオーナーさんでも、3.3畳の広さを感覚的に掴んでいる方はほとんどいないでしょう。
「大手のハウスメーカーだから大丈夫、安心、変なことはしない。」
確かにその通りかもしれません。可もなく不可もない、万人受けするしっかりした建物は出来ますし、つぶれてしまう心配もありません(*絶対ではありませんが)から、アフターメンテナンスも安心です。しかし、ハウスメーカーや工務店は「建物を作るプロ」であり、入居者のニーズと照らし合わせ、最適な間取りをプランニング出来る「入居者ニーズに沿った建物を提供できるプロ」ではありません。
ハウスメーカーの目的は自社施工の住宅を売ることです。そのメーカーにとって都合の良いプランになっているという意識は少なからず持っていたほうが良いでしょう。ハウスメーカーの提案を鵜呑みにはせず、地域の不動産会社や実際にお部屋を探している知人の意見などを聞いてみるべきだと思います。
そのエリアにおいて多く存在するお客さんの層(*単身なのかDINKSなのか子どもがいるご家族なのか)、また、その人たちが求めている間取りや設備などの入居者ニーズをつかんでいるのは、日々様々なお客さんの要求を聞き出し、物件を紹介している不動産会社です。彼らは決まりやすい間取りや設備はもちろん、「なぜ決まらないのか?その理由と原因」も知っています。
「ここの間取りはこうすべきですよ」
「こうした設備をつけるとお客さんが喜びますよ」
「この間取りは今ほとんど需要がありませんよ」
など、日々入居希望者からの条件を吸い上げて、オーナーさんにご提案、助言できることが不動産会社のなによりの強み・売りであり、それがなによりの存在価値です。物件が存続する限り、今後何十年とタッグを組んでいくことになるのが不動産会社です。自社の都合によってではなく、客観的な立場で提案してくれる不動産会社を、じっくり慎重に検討することが何より大切です。
目次
事業主としての意識を持つ
所有している土地を利用して、収益を上げようとするわけですから、それはもう事業であり「賃貸業」というビジネスオーナーです。オーナーは「事業主になる」という意識を強く持つ必要があります。
「駐車場をオープンすれば不労所得が入ってくる」
「アパート、マンションを建てれば手軽にサイドビジネスが始められる」
という簡単なものではなく、事業を成り立たせるための「商品」ができただけです。その「商品」を活用してお客さんにサービスを提供し、その対価として報酬(賃料収入)があるのです。
「貸してやってる」
という一昔前のオーナーさんが上から目線で意識でふんぞり返ってできる事業ではなく、いまや顧客の厳しい目にさらされるサービス業なのです。昔の感覚や意識で、事業やお客さんに向き合っていくと事業は必ず行き詰ります。ただ建てるだけではダメ!その後の運用が成功のカギを握るといっても過言ではありません。
賃貸業における最大のリスクは空室であり、それはいわば不良資産です。入居して頂いてからも、気持ちよく住んでもらえるよう、日々のメンテナンスをしっかり行うこともサービスの一つです。
「釣った魚に餌をやらない」
のではなく、
「釣った魚にこそ」
精一杯のサービスを行い長く住んでもらえるよう様々な施策を施すことが、空室リスクを減らす唯一の手段なのです。
・・・ちなみに余談ですが。私が3.3畳の広さを感じることが出来るのは、日々物件を見ているからというのもあります。しかしなにより実感として持っているのが、実家の弟の部屋が3.5畳だったからです(笑)ソファベッドと小さめの机を置いたらそれでおしまい!設計上はあくまでも、「納戸」扱いでした。
年功序列で弟に半ば「強引に」あてがわれた部屋ではありましたが、秘密基地のようで楽しそうでした。そういう部屋を「あえて」欲しいのであれば、こうした間取りも良いかもしれませんね(笑)