「大手不動産会社と地元の不動産会社、結局のところどっちが良いのか?」
いろんなところで比較なんかされたりしてますが、これって永遠のテーマですね。
<大手不動産会社>
- ブランドがあるから安心
- 不動産知識が豊富
<地元の不動産会社>
- アットホーム
- 親身に相談に乗ってくれそう
それぞれを押す声は最もです。しかし、身もふたもない言い方になってしまいますが、結論から言うと、
「大手だろうが地元の会社だろうが、担当者によってまったく違ってくる」
というところが本当のところです。
大手不動産仲介業者の悪口は、色々なところで目・耳にします。
- 自社の利益優先
- 囲い込みが日常
- 契約をまとめてからのフォローが薄い
などなど。私もいわゆる大手不動産会社で仕事を覚えた身ですので、こうした噂(事実?)を完全に否定はしません。では反対に、地場の小さな不動産会社は大手と比べて素晴らしいのか、と聞かれるとそんなこともありません。共同仲介を行った際には、地域不動産会社の仕事の取り組み方や進め方、不動産知識のレベルを目の当たりにして
「これは酷い」
と思ったことが幾度となくあります。
地元の不動産会社が絡んだ時のエピソードとしてこんなことがありました。
・・・
相続が発生したため、駐車場を売却しなくてはならなくなった、とある地主Aさんから相談がありました。その人には先代(*被相続人。今回亡くなったお父さん)から付き合いのある、地元の不動産会社Bがベッタリでしたが、億を超える大きな取引だし、やはり一度は大手に相談してみようということで、当時私が所属していた大手の不動産会社に査定の依頼がありました。大手不動産会社の巨大な看板と、仮に担当者がどうしようもないボンクラだったとしても、それなりの営業マンに見えてしまうブランド力というのは、やはり侮れません。
大きな土地なので、一般のお客さんが手を出せる代物ではありません。査定を行いつつ、事業用の土地として検討してくれそうな、法人のお客さんに物件の情報を流したところ、Aさんも納得するかなり良い金額で購入申し込みが入りました。
あとはトントン拍子で契約まで進むもの・・・と私もAさんもホッとしたのもつかの間。ここで思わぬ障害が立ちはだかったのです。その障害とは?そう、以前からお付き合いのあるという地元の不動産会社Bです。
「お父さんの代から面倒を見てきてやったのに、こんな大きな取引をうちに黙ってしようとするなんて、到底認められない!」
Aさんがその不動産会社の言い分を教えてくれたのですが、上記のようになんとも納得できなひどいものでした。
私:「あの・・・認めるも何も、Aさんの土地なんだし、そんなこと言う権利も資格もB社には何一つないですよね?」
と、伝えましたが、Aさんは少し気の弱い方で、自分より年長で、なおかつB社の社長は自分の父親の代からの付き合いということもあり、おかしいとは思っていてもあまり強くモノを言えないようでした。AさんとB社の力関係が完全に逆転しています。取引をまとめるため、AさんにB社を説得してもらおうと、頑張ってもらったのですが、
「そうまで契約したいならすればいい!だけどおたくとは今後手を切るよっ!」
と言われたらしく、Aさんは途方に暮れてしまいました。Aさんは代々の地主です。地元には結構な数の賃貸物件があるのですが、それを管理しているB社にいきなり
「もうやらん!」
なんて言われたら、誰だって困ります。物件を人質にした脅しと同じです。
私:「これを機会に他の業者さんに管理をお願いしてみたらどうですか?当社でも地元でやってる業者さんご紹介出来ますし」
と色々と提案したものの、
「今更一から人間関係を築いたりしていくのは面倒だし・・・」
ということで、Aさん、なかなか腰を上げそうにありません。このままではどうにもラチがあかないので、最後の手段を取ることにしました。B社と直接交渉に乗り出したのです。ただ、今までの経緯から、
「取引を認めてくれ(*そもそもそういう依頼をしなければいけないこと自体おかしな話ですが)」
と言ったとしても、認めるはずはないと思っていたので、
「そちらが売主側の仲介に入る形で、共同仲介としよう」
と提案することにしました。つまりB社は、なんにもしなくても、何百万もの手数料が入ってくる訳です。Aさんがゴリ押し出来ない以上、これでダメならもうお手上げです。・・・結果からいうと、話し合いも何も最初からケンカ腰で、こちらの言うことに聞く耳を持ちません。
「こっちは何十年も付き合ってやってんだ!」
「今更あんたんところの世話にはならないよ!」
「大手は依頼があれば、人んとこのお客を横から取ってくのか!」
と、言いたい放題。これはもうどうにもならないと悟った私は、
私:「あなたは言ってることおかしい!」
冷静に感情的にならず話していたのですが、最後には感情を爆発させ話し合いは物別れに終わりました。
結局、それが元で契約はなくなり、しばらくはAさんの近況なども確認してましたが、自然と疎遠になっていきました。その後、数か月してB社から売りに出したようですが、どうなったかは知りません。
「このような地域の不動産会社の話はあくまで特別で、一般的ではない」
そう思いますか?ところが、結構います。そうした人たちが共通して言うセリフが、
「先代から付き合ってやってる」
「お客さんみつけてあげてる」
この「してやってる」感が、話の端々に見え隠れします。人のふんどしで相撲取ってるだけなのに、そんなに偉いんですかね?こんな地元不動産業者も知ってるので、
大手だから・・・地域の業者だから・・・
というだけでは全然判断出来ません。会社の規模などは関係なく、最終的には取り扱う人間のレベルにかかってくるのが不動産取引です。