借り換えとは?
現在より適用されている金利より、より好条件の金利で融資してくれる金融機関に乗り換えることを「借り換え」と言います。
借り換えの仕組み
つい難しく考えてしまいがちですが、一つ一つの仕組みを分解して考えてみると、それほど難しいものではありません。
- 既存借り入れ先Aの借入金全額を返済するための金額を新たな金融機関Bで借りる→
- Aからの借入金を完済し抵当権を抹消する(*抵当権の抹消費用)→
- 金融機関Bの抵当権を新たに設定する(*抵当権設定登記)
ということです。つまり、不動産を購入する時に行ったA金融機関との手続きを、もう一度B金融機関と行うということです。
借り換えの手順は?
1.借り換え候補の金融機関をピックアップ
借り換えを検討できる金融機関がどれだけあるかをピックアップします。そのためには、まず既存借り入れ先の金利がどのくらいなのかを、正確に把握しておく必要があります。残高証明書などで適用金利を確認することが可能です。
2.窓口に借り換えの相談
金利差がある程度見込める金融機関が見つかれば、実際に借り換えの相談に行ってみましょう。新規でローンを借りる際には、仲介業者やハウスメーカーが手続きの代行をやってくれていましたが、借り換えは全て自分自身で行う必要があります。
また、金利差がもたらす借り換えメリットに一喜一憂せず、借り換える場合にかかる諸経費についても充分理解しましょう。
3.住宅ローンの申込み
借り換え先の金融機関に、融資の申し込みを行います。
4.内諾後、既存借り換え先に全額返済の連絡
無事に内諾を得られれば、次は既存借り換え先に、借入金の一括返済を行う旨の連絡をします。金融機関によっては、
「金利を引き下げるので、そのまま借り入れていてくれないでしょうか?」
と言ってくることがあります。交渉の結果、同程度まで金利を下げてくれるのであれば、借り換えすることなくそのまま借り続けてもいいでしょう。
5.金消契約後、融資実行
新規借入先と金消契約を行った後、融資の実行です。
購入時との違いは?
実際に借り換えをしようと思うと、かなりの手間と労力が必要となります。不動産購入時のローンの手続きは、不動産仲介会社が行ってくれました。住宅ローンを組むという経験を、このとき初めての人がほとんどだと思います。勝手が分からず、恐らく担当営業マンの言われるがまま、必要書類の準備をして融資先を決めていたはずです。
しかし、借り換えの際には、どこの金融機関にするかの判断や、諸々の手続きを全て自分で行わなければなりません。
「借り換えしよう!」
と思い付きで出来るほど、簡単ではありません。
当事者意識を持つことが重要
融資を一度受けてしまうと、その後、他行の金利がどうなっているか、継続してチェックする人はあまりいません。自分達が今、どのくらいの金利で借り入れをしているかさえあいまいな人も多くいます。
日々、目を皿のようにして金利動向を気にする必要はありませんが、来るべく借り換え時に備えて、常日頃から粘り強く金利に関しての情報を集めておくことをお勧めします。
「融資を受けている」
という当事者意識を持つことで、他行の金利動向も自然と目に付くようになるはずです。特に、大手メガバンクやネット銀行ではなく、事情によって金利の高い金融機関で借りている人は、常日頃から借り換えを念頭にいれて準備しておくべきでしょう。
借り換えの効果が高いケースはどんなとき?
- 個人事業主
- 会社経営者
- 勤続年数が短い
- 派遣社員
などの理由で、メガバンクなどの大手金融機関での借り入れができず、仕方なく審査条件が柔軟だけれど、金利の高い金融機関(*スルガ銀行、東京スター銀行など)で融資を受けた人達です。その後、
- 個人事業主だったものが法人成りした
- 資本金1億以上の会社経営者になった
- 勤続年数が5年を超えた
- 派遣社員から正社員になった
など、借り入れ当初から、自らの待遇が大きく変わり、適正な金利で融資を受けられるようになった人などは、金利差が1%を超えることも多く、借り換えのメリットを大きく享受できるでしょう。
5/16発売の新刊でも借り換えについて書いています
住宅ローンとの付き合いは長期に渡ります。ぜひ、手元に置いておき、必要な時に開いてみてください。何度も目を通すことで、一生モノの住宅ローンに関する知識を身につけることができます。