不動産の購入を考え探し始めたところ、条件ばっちりの物件がすぐ見つかったとします。さて、ここで質問です。
「その物件、買いますか?」
本来なら、自分たちが希望していた条件を備えた物件が見つかったのだから、購入しても良いはずです。ところが、
「もうちょっと他の物件も見てから・・・」
と、買わない人が多いのが現状です。なぜでしょうか?
物件が見つかるまでは、
- 広いバルコニー!
- リビング15畳以上!
- アイランドキッチン!
- 浴室乾燥機付き!
- 南向き、陽当り良好!
などなど、自分たちが求める「絶対的な」価値を元に探していました。ところが、いざ「絶対的な価値」を満たす物件が見つかると、
「自分たちの求める条件を備えた物件が世間的にはどうなのか?」
「その物件が他の物件に比べてどうなのか?」
と、「相対的な」価値が気になり始めます。
誰でも損はしたくないし、
「周りは損をしてもいいから自分だけは得をしたい!」
と願うのが人間です。どういうことかというと、自分たちの求める条件ピッタリの物件が、相対的にみて「お買い得かどうか」が気になり始めます。そのため条件通りの物件が見つかったとしても、すぐに結論を出すことをせず、
「もうちょっと他も見てから」
という判断を下すのです。しかし、
「結局一番最初に見た物件が良かったよね」
と判断がついた時にはもう既に売れてしまっているというのは良くあるパターンです。すると、「逃した魚は大きい」心理が働き、必要以上に逃した物件が美化されてしまい、選ぶ基準が上がってしまうのです。
「あの物件と同等のものが出たら・・・」
と考えるようになりますが、競合物件が既に市場にはない、美化された物件である以上、そんな物件を見つけることは非常に困難です。
色々と見て回る時が一番楽しい時ではありますし、慌てて購入するようなものではありません。見つけられなかったとしても、誰に怒られる訳でもないし、ゆっくりと満足するまで物件選びを行えば良いと思います。また、「相対的な価値」を目の当たりにして、新たな「絶対的な価値」が生まれてくることもあります。より良い物件を見つけるための、大事なすり合わせの時なのかもしれません。
しかし、「絶対的な価値」はブレずに持っておくことをおすすめします。ありがちなのが、色々と見ていく中で、自分たちの求める条件がシッチャカメッチャカになってしまい、何を基準に選んだら良いのかが分からなくなってしまうことです。
折に触れ、自分たちの求める「絶対的な価値」を明確にしておくことが、迷った時に一つの指針になるのは間違いありません。