★○○マンション限定でお探しの方がいらっしゃいます
お客様は現在、関西の某大手メーカーにお勤めです。この度、長年の念願がかない、転勤で生まれ育ったこの街に戻ってくることになりました。近隣にご高齢のご両親がお住まいで、目が行き届くこちらのマンションを是非購入されたいと希望されています。予算は○○万で、広さは70㎡以上。間取りは3LDKをご希望ですが、リフォームをする予定なので、現状の間取りは気にしません。本気でお探しのお客様ですから、冷やかしでのお問い合わせはご遠慮願います。
もしくは、
★50坪以上の土地を探しています
大手法人が社員寮として広めの土地をお探しです。社員寮なので、駐車スペースを作る必要はなく、道幅は狭くても構いません。予算については○億ほど確保されていますが、決算が近づいているため、良い物件なら大幅な予算アップの可能性もあります。
はい、このような内容のチラシ、目にしたことありませんか?いわゆる「限定チラシ」というやつです。売却を検討中、もしくは良い金額で売れそうなら住み替えも考える・・・という人にとって見たら、魅力的なオファーに見えるんでしょうが、こうした内容の98%がほぼウソですからご注意ください。
こうした内容のチラシが頻繁に自宅ポストに投函されていると、
「うちのマンション、えらい人気あるな」
「随分、たくさんの人がこの地域に住みたいと考えてるんだな~」
と、思ってしまっても仕方ありません。確かに
「売主さん、求む!」
「売り物件を探しています!」
といった内容よりも、
「こんな物件探しているお客さんがいます」
チラシの方が、問い合わせが目を引きますよね。さらに内容に真実味があればあるほど効果は増すのです。決してほめられた行為ではありませんが、とはいえ、私も人のことは言えず。。。駆け出しのころはこうした内容のチラシを作成したこともありますし、直筆の手紙を書いたこともあります。直筆手紙の効果はすごいので、なりふり構っていられない新人時代は良くやっていました。実際に、そうした「ウソ」のチラシがきっかけで仕事になったことが何度もあります。
もちろん、仕事になったとはいえ、チラシに書かれた内容のお客さんがいるわけではないので、どこかでつじつまを合わせが必要となります。
「お客さんに内容を伝えさせて頂いたのですが、少し条件と違ったようです」
「思ったより会社の予算が上がってこなくて断念されたようです」
などと、適当な理由づけでダメだった旨を伝えなければならないのです。内容を信じていたお客さんを心底がっかりさせたことも、ウソを見抜かれて怒鳴られたこともあります。今思い出しても色々と胸が痛みます。私がやっていたのは10年以上前の話なのですが、未だに同じような手法が行われているというのは、不動産会社も進歩ないですね。
ただ、「98%ウソ」と書きましたが、ごくわずかですが本当に探しているお客さんがいる場合があります。良くあるパターンとして、検討してたマンションをタッチの差で他の人に買われてしまい、
「逃した魚はでかく見える」
心理も働き、どうしても同じマンションで欲しい!という熱い希望を持ったお客さんなんかのときです。
★○○マンションの2階以上を限定で探しています!
以前から検討されていたお近くにお住いのお客様です。数年前から当地域にお住まいで、お子様の学区を変えたくないため、予算・エリア・間取り含めて当マンションが最適です。以前、当マンションで売りに出ていたお部屋を何度も内見し、購入前提で話を進めていたのですが、タッチの差で他の方に買われてしまいました。本当に当マンション限定です!もし売却をご検討の方がいらっしゃれば一度お話だけでも聞いて頂けないでしょうか?
このような内容のチラシを作成することになるのですが、本当かウソかの区別ははっきり言ってつきません。ウソ・偽りのない「本当の限定」(変な言葉)なのですが、こういう時に限ってほとんど効果がないものだから困ったものです。ウソはいけない、ということです。