連絡手段は?
面識があるなら話は別ですが、まったくの初対面であれば、まずは手紙が良いでしょう。
先方の正確なお名前はもちろんのこと、こちらの住所、氏名、連絡先は必ず書き、封書で手紙を出します。土地の所有者や住所が分からなければ、管轄の法務局で土地の登記簿謄本を取ることで調べることができます。
登記簿謄本を取るためには手数料がかかりますが、これは必要経費だと思ってください。
ただ、登記簿記載の住所・氏名が、現実に則しているかどうかは分かりません。以前の住所が記載されていることはよくあるので、調べた住所に必ず出した手紙が届くとは思わないようにしましょう。
手紙の内容は?
住所、氏名が分かれば手紙を出します。いきなり手紙でこちらの要件だけ伝える人がよくいますが、だいたいうまくいきません。
どこのだれからもわからない人から、いきなり手紙が来て、
「おたくの土地が欲しいんですけど」
と言われた人がどう感じるか。普通の想像力を持っている人なら、相手から返信が来る可能性が恐ろしく低いことが理解できるはずです。
もちろん、人によっては
「これ幸い!」
とばかりに連絡が来る可能性もゼロではありませんが。
まずは所有者と隣地のことでお話をする機会を作りましょう。
それを踏まえて、考えられる文面が以下の通り。
文案1
突然のお手紙で誠に恐縮です。私は〇〇様の隣の敷地を所有している△△と申します。隣地ということもあり、実は○○様ご所有の土地について少しご相談させていただきたいことがあります。
こちらの都合で大変申し訳ございませんが、△△様のご都合の良い時間で構いませんので、以下の携帯電話まで一度お電話を頂けませんでしょうか?よろしくお願いいたします。
携帯電話:×××-××××-×××× 東京都〇〇〇区〇〇町◇ー◇◇ー◇◇ 名前△△
こんな感じでしょうか。
まずはあなたの土地のことでお話がしたい!それが端的に伝わればよいです。
カンのよいオーナーさんなら、この時点で
「ああ、うちの土地が欲しいのね。」
と、ある程度のことは把握してくれることもあります。そのうえで、折り返しの連絡を待ちます。
宛先不明で手紙が戻ってきた場合は、住所が違うということです。この場合は別の対策が必要になりますので、また別の記事で。
連絡がこない場合
手紙を出してしばらく経っても、なんの音沙汰もない場合。もう一度手紙を出します。
この場合の「しばらく」がどの程度を指すのかは難しいのですが2週間位でしょうか。1週間だと早すぎ。
先方には先方のペースがあります。こちらのペースで話を進めたいと思うのはやまやまですが、向こうのペースにこちらが極力合わせるようにします。
逆に3週間だと前回の手紙から時間が経ちすぎのような気もするので、間を取って2週間。
文案2
たびたびのお手紙で誠に恐縮です。先日、〇〇様ご所有の土地についてお手紙を書きました△△と申します。その後、お手紙は読んで頂けましたでしょうか?
〇〇様ご所有の土地について少しご相談させていただきたいことがあります。こちらの都合で大変申し訳ございませんが、今一度のお願いです。△△様のご都合の良い時間で構いませんので、以下の携帯電話まで一度お電話を頂けませんでしょうか?よろしくお願いいたします。
携帯電話:×××-××××-×××× 東京都〇〇〇区〇〇町◇ー◇◇ー◇◇ 名前△△
2回目はこんな感じですかね。
それでも連絡がこない場合
1回目、2回目の手紙の折り返しで話し合いができるのがベストですが、それでも連絡がこない場合。3回目をもっていったんコンタクトは控えます。区切りの手紙となります。
これ以上しつこくしてしまうと、空気が読めない身勝手な奴という印象を残してしまいます。いまは事情もあって連絡を控えているけど、数年後、売却することになり、
「そういえば以前、手紙をくれていた人がいたな」
と思い出してくれて、忘れたころに連絡をくれることがよくあります。その時に悪い印象を持たれてしまっていたら元も子もありません。隣地購入は長期戦を覚悟して、引き際が重要なのです。
最後の手紙では、いままで控えていたこちらの要望を伝えてしまいましょう。ダメもとです。
文案3
たびたびのお手紙で誠に恐縮です。これを最後のお手紙とさせていただきますので、ご容赦ください。2回にわたって〇〇様ご所有の土地についてお手紙を書いてまいりました△△と申します。
今回お手紙を出させていただいた理由は、〇〇様ご所有の土地を隣地ということもあり、ぜひご購入させて頂けないかと思って出させて頂きました。まったくご売却のご意思がないのであれば、失礼なお手紙で大変申し訳ありません。
しかし、少しでもご売却のご意思があるのであれば、ぜひ一度ご相談させて頂けませんでしょうか?これが最後のお願いとなります。売却のご意思の有無だけでも以下携帯電話までご連絡頂けませんでしょうか?
よろしくお願いいたします。
携帯電話:×××-××××-×××× 東京都〇〇〇区〇〇町◇ー◇◇ー◇◇ 名前△△
なんの話をしたいのか、いまいち掴みかねていたので警戒して連絡するのを控えていた人が、
「ああ、なんだ。売ってほしいのね。それなら・・・」
と、折り返しの連絡が入るかもしれません。売却意思の有無が聞けるだけでもよしとします。
まとめ
隣地へのファーストコンタクトは今後の方向性を決める重要作業です。隣地購入はうまくまとまればもうけものです。ファーストコンタクトが失敗に終わったとしても、長期戦を覚悟して、慌てず騒がず、様子をみながら慎重に進めていきましょう。