一度、不動産業者に問い合わせした、また案内してもらった人は思ったかもしれませんが、その後の営業マンからの連絡がしつこい!そう思った人って結構多いのではないですか?私はあります(笑)。同業である私が、
「いい加減にしろ!」
っと思うくらいですから、普通のお客さんだったらなおさらそう感じるはずです。
以前、物件の囲い込みをしていた業者に、お客さんのフリをして問い合わせて、資料をもらったことがあります。販売図面をもらうのが目的だったので、それで任務完了・・・のはずだったんですが、それからというもの、週末近くになると電話がかかってくることが多くて多くて・・・。最初は適当にあしらっていたのですが、あんまりしつこいので、
「もう買いましたので連絡は結構です」
と言ったのですが、その後も忘れたころに違う営業マンがかけてきます。恐らく顧客名簿をたらいまわしにしているのだと思います。いちいち電話に出るのも面倒なので、その業者の電話番号を登録して、出ないようにしたところ、留守電に吹き込んでいくのですが、その内容といったら、
「○○不動産です。△△駅徒歩5分、□□万円が出ました」
これだけ。で、そんなことが数回あった後、
「もう買ったって前の人に言った。しつこい!かけてくるな!」
とキレ気味に話してみたんです。すると、
「申し訳ありません・・・」
と平謝りだったのにもかかわらず、その後も数か月に一度、定期的にかかってきてました。 学習能力がないというか管理能力がないというか。顧客リストから連絡先を外すことがそんなに難しいんでしょうか?そんな簡単な作業も出来ない業者が、不動産売買の仲介なんて出来るのか?その業者に依頼するお客さんのことが心配になってしまいます。
しかし、顧客リストから一向に名前が消されないのは、そんな単純な理由だけではない場合があるのです。
なぜ顧客リストから名前が消されないのか?
「『もうこのお客さんは買ったそうです』って伝えたら上司に怒られるから」
これがすべての理由ではないですが、大きな理由の一つであることに間違いありません。なぜ言い切れるかというと、私も経験があるからです。忘れたころに上司がお客さんの状況・進捗を聞いてくるのです。
上司 「おい、○月○○日問い合わせのあった□□さんはその後どうなった?」
私 「え?あ、はい(やば~もう買ったってこの間言ってたなあ)。け、検討中です。」
上司 「ちゃんとフォローしとけよ」
私 「・・・は、はい」
私も駆け出しのころ、幾度となく上司と繰り返してきたやりとりです。私の場合は、お客さんのリストが他の営業マンに渡ることはなかったので、誰かに迷惑をかけた訳ではありませんが。どこの会社でもどの職業でも、上司の顔色を伺いながら仕事をするのが「必要悪」なんでしょう。ただ、不動産業者の営業マンはそれがより顕著ではないかと思います。入社したばかりの新人か、入社して数年も経つのに、一向に営業成績が上がらない営業マンにその傾向が強いように感じます。
例えば週末を控えた金曜日。土曜、日曜は不動産業者のかきいれどきです。お客さんとのアポイントが取れていないと、上司に何を言われるか分かったもんじゃありません。週末にお客さんとの予定を入れるため、木曜日、金曜日の夜にフォローするのが、不動産業者のルーティンワークになっています。
そのルーティンワークを、上司は席にふんぞり返って目を光らせます。だけど一人の営業マンが抱えているお客さんの数なんてたかが知れています。毎週毎週違う人に連絡なんて出来るはずもありません。だけど連絡する人がいないと言ってボーっとしている訳にもいきません。そこで仕方がないので、上司に対する
「仕事してますアピール」
として、つい先日連絡したばかりのお客さんや、あまり購入や売却に積極的になっていない人に、「かたちだけ」連絡することになります。それが結果的に、
「しつこい!」「空気を読めない!」
と、お客さんの反感を買うことになります。上司の方を向いて仕事をした結果がこれなのです。お客さんへの連絡を強制するこのようなやり方が、結果的にお客さんを遠ざけているという事実を、もう少し考えたほうがよいでしょうね。こうした営業電話を受ける方々は、自分の大切な資産を扱うに足る人物・会社なのかどうか、判断する一つの材料してみてはいかがでしょうか。