不動産業界のセカンドオピニオン

一つの病院、一人のお医者さんに診察してもらうだけではなく、他の病院でも診てもらって相対的な意見を聞く「セカンドオピニオン」も一般的になりました。どんな業界でもそうかもしれませんが、今や一人の専門家からの意見をうのみにする時代ではないのかもしれません。複数の意見を比較・検討し、自分にとって最適な依頼先を見つけるというのが主流となってきているのは間違いないでしょう。

さて、お医者さんのセカンドオピニオンじゃないですけど、不動産業界はどうでしょうか?セカンドオピニオン、またそれに近いことは行われているかというと、残念ながら不動産業界は大分遅れています。

お客さんから相談を受けた不動産会社は、仮に他社が行った提案や取引の進め方が非常にすぐれたもので、そのお客さんにとってベストな内容であったと気づかされたとしても、基本は批判・否定し、自分が行う提案こそ最適だと説得にかかります。そして結局は自分の提案を呑ませ、自社の商売につなげようとするからです。

「それは良いご提案ですね!」

というような、他業者の提案を素直に認める不動産会社は残念ながら皆無です。不動産会社が行う「提案」は、自社の利益を追求するためのものであり、お客さんにとっては最適な回答でない場合が多いのです。

例えば不動産売買を専門に行う会社に、所有する不動産をどうしたら良いかの相談を持ち込んだとします。相談内容を聞いてみたら、売却してしまうよりは、しばらくは人に貸すなりして所有し続けることがベストだったとします。しかし、それを伝えてしまえば、売買を専門に扱う不動産会社にとっては商売につながりません。どうにかして売却にする方向にもっていこうとするのは必然です。これは賃貸を専門に扱う会社であっても同じことがいえます。

「当社ではこういうご提案を行います。参考までに他社さんの提案内容も踏まえてご検討して下さい」

といったように、お客さんを取り合うのではなくて、問題を解決したいと願うお客さんと、正直に向き合うことが、不動産業界やそれに従事する人達には求められているのだと思います。それが不動産という商品・金融資産を扱う不動産会社に求められている責務であり、ルールでありモラルだと思うのです。

ただ、不動産会社も営利企業です。こうした考えは完全な理想論に過ぎません。だけど本当にそのお客さんの為を思い、最適な提案をコンサルティングを行っている不動産会社もあります。なぜそうしているかというと、正直にお客さんと向き合って接することが、その時は仕事にならなかったとしても、将来的に必ずビジネスに繋がると分かっているからです。

不動産のことで悩みやご相談したいと思っているお客さんは、そうしたスタンスをもって営業している不動産会社を見つけることが何より大切なのではないでしょうか。

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