不動産の買取を行っている会社は多数あります。
「何か買取できそうな物件はありませんか?」
と、我々不動産会社へ飛び込み営業をかけてくる、買取業者の営業の人がたくさんいます。
言いかたは辛辣になりますが、ほとんどがこちらの都合を完全無視してのアポなしで突然訪問してきます。その割には話す内容が、
「築25年以内のマンションを探しています」
「再建築不可の物件でも積極的に買います!」
「借地権・底地の物件、買います!」
と、向こうの希望だけ伝えるだけ伝えて、名刺交換だけして帰っていきます。控え目に言ってものすごくうっとうしい!というのが本音です。営業を受ける立場の人間からすると、
と、ヒマでヒマでどうしようもない時であれば、小一時間ぐらい問い詰めたい気持ちに毎回なりますが、残念ながら私もそんなにヒマではありません。
と、体よく名刺搾取のみを回避しているのです。
買取業者と仕事をすることは私もありますので、このような営業手法を完全に否定することはしませんが、もう少し上手な方法があるんじゃないのかなあと、他人事ながら考えてしまうのです。
不動産買取業者のビジネスモデル
買取業者のビジネスモデルは非常に簡単です。
「安く買って高く売る」
です。
安く買った土地をキレイに整地したり、または建物を建築し、新築戸建として商品化。その他にも、古い一戸建てをリノベーションし、新築のようにして一般消費者に買ってもらうのです。
仕入れ(買取)時に高く買ってしまうと、事業が成り立ちません。したがって、売却価格が一般消費者に比べて安くなってしまうのは否めません。
であるならば、少しでも高く物件を売りたいと希望する売主が、わざわざ買取業者に売る必要はないように思えます。
しかし、買取業者を積極的に利用するケースもあります。主なものを2つみていきます。
土地が広すぎる場合
例えば、土地が広すぎる場合。土地の相場が坪単価100万だとして、単純計算で30坪だと3,000万です。200坪だと・・・2億です。いくらその地域の相場が坪100万が妥当だったとしても、土地が広ければそれだけ購入の総額は上がります。
3,000万の土地を買える人は多くいますが、2億出せる人はそういません。つまり土地が広ければ広いほど土地の価格は高額になり、購入を検討できる一般消費者は減ってしまうのです。
このように土地の面積が大きすぎて、買い手を見つけることが難しい物件は、買取業者に買ってもらうとよいでしょう。
心理的な瑕疵がある場合や再建築不可などの物件
2つ目のケースとして、敷地内で自殺や事件などがあり、物件に心理的な瑕疵がある場合や、再建築ができない、隣地とのトラブルがあるなど、通常の一般消費者が手を出しにくい物件です。このような物件であっても、積極的に買い取るところはあります。
いまのままでは売ることは難しいかもしれませんが、買い取った会社がトラブルを解決したり、古い戸建をリノベーションしたりすることで、売りやすい物件に仕立て上げるための費用と労力を、買取業者が事業として行う分、売却価格が安くなる、と言い換えてもいいでしょう。
とはいえ、
「安くしか売れないんだったら売らない方がマシ」
というのであれば無理に売る必要はないでしょう。
ただ、
- 持っていても使わない
- 今後もそうした予定はない
- 安くなっても構わないから現金化したい
というのであれば、瑕疵などなんらかのトラブルがある物件を買取業者に買ってもらうのも一つの手です。
まとめ
「買取業者は高く買ってくれない」
というのは確かにその通りですが、全てがそうというわけではありません。
物件によっては一般消費者が買うような金額で、検討してくれる会社もあります。結局は物件次第、ということです。
我々のような不動産会社が見れば、買取業者でも検討できそうな土地か、そうではないかのざっくりの判断は出来ます。査定に伺って金額を提示する際には、その辺りも踏まえてご提案するようにしています。
買取業者 = 安く買い叩く = 悪
と認識を持っている売り手さんが意外と多いのですが、ようするに使いようです。こうしたことを正しくアドバイス出来るのも、売却を任される不動産会社の役目です。