空き家の所有者を特定するために、今までは登記簿を確認するしかなかった。
しかし、登記簿に記載されている住所は、更新されていないことが多く、住所が変われば書き換えなければならないという決まりはない。つまり登記簿記載の住所から引っ越しをし、登記簿の内容を書き換えないかぎり、その物件の所有者を特定することが出来ないということ。
登記簿上住所を書き換えるには、司法書士に「住所変更登記」という手続きを依頼することになり、数万円レベルではあるが費用もかかる。売却の際には住所変更登記が必ず必要になるので、売却の予定がある人にとってはいずれは必要となる費用だ。
しかし、そうした予定が現状ない、という人にとっては、登記簿上の住所と現住所に差異が生じていたとしても、なんら不都合を感じることはない。わざわざ費用をかけてまで住所変更登記をする人はほとんどいない。そのような事情もあり、登記簿から所有者の住所を特定できる物件は、非常に限られているというのが現状である。
ところが、空き家特別措置法の施行により、空き家所有者を特定するために、固定資産税データを利用することが出来るようになった。このデータは、税務部門の担当者が住民票や近隣住民への聞き込みなどで所有者情報を追跡しているため、物件の所有者はほぼ特定されている。登記簿の住所が現住所と変わっていたとしても、固定資産税の納税通知書が引っ越し先に正確に届くのはこのためだ。国も税収確保のためには必死なんでしょう。
今までこのようなデータ共有していてもおかしくないと思っていたのだが、徴税業務以外の利用が禁じられてきたため、行政内部で共有もできなかったらしい。空家の所有者特定が進むことで、徐々にではあるが放置空き家に対する対策が進んでいくことになるだろう。