自宅マンションを貸すときの注意点です。
貸せる状態にする
部屋として使える状態であることは大前提です。エアコンや給湯器など、設備不良があれば直さなければなりませんし、壁紙や障子、フローリングの傷が目立つようであれば修繕します。浴室、キッチン、洗面所などの水回りに大きな痛みがなかったとしても、ハウスクリーニングを行って清潔にみえるようにしておかなくてはいけません。
新築モデルルームのようにピカピカに仕上げる必要はありませんが、清潔感は感じられるような室内に仕上げておく必要はあります。そのための費用はどうしてもかかってしまいます。
空室にする
売買であれば、売主さんが住んでいる状態で、買主さんに室内を見てもらうことができます。遠慮しがちな買主さんもいますが、住んでいる状態を見ることで、入居後の室内イメージを明確にすることができるので、むしろ居住中の方が好まれる場合もあります。
しかし、賃貸の場合はそうはいきません。入居中の賃貸物件を内見することは(*例外はあるかもしれませんが)ありません。必ず空室の状態で内見してもらう必要があります。
ですから
「入居者が決まり、賃料が入ってくることが決まってから引っ越す」
という都合のいいことは出来ないということです。
空室・滞納リスクがある
入居者が決まれば、毎月「賃料」という名の定期収入が入ってきます。しかし入居者がいなければ当然のことながら収入はゼロです。常に入居者がいる前提でいてはいけません。退去する時期によっては、賃貸の繁忙期を逃してしまっていて、なかなか入居者が決まらないということもあり得ます。
また、入居者が必ず賃料を払ってくれるという保証はありません。どんな入居者にも賃料を滞納する可能性はあります。誰でもいいから入居してもらえればいいというわけではなく、どのような入ってもらうのかもとても重要です。
ランニングコストがある
例え入居者がいたとしても、マンション管理会社に払う管理費・修繕積立金はオーナー負担です。これらマンション所有者にかかる費用を、入居者に負担してもらうことはできません。また、固定資産税もオーナーが払うべき費用です。
オーナー都合で賃借人に退去してもらえない
「とりあえず人に貸しておいて、使う時に時になったら退去してもらおう」
と、入居者の生活があることを無視して、都合よく考えているオーナーさんがたまにいますが、それは大きな間違いです。
「戻ることにしたので退去して欲しい」
とオーナーの権威を振りかざしたとしても、強制力はありません。オーナー都合での退去依頼は
「命令」
ではなく入居者に対する
「お願い」
になります。いかにして穏便に退去してもらうかに、オーナーは心を砕かなくてはなりません。
「お願い」の結果、出て行かない(いけない)となることもしばしばあります。当然でしょう。家賃を払うなど、入居者としての義務を果たしているにも関わらず、いきなり出ていって欲しいと言われ、
「はい、分かりました」
と言うお人よしはいません。
退去するとなれば次の住まいを探さなければなりません。その際には契約金や引っ越し代など、多額の費用を要します。仮にオーナー都合で退去して欲しいならば、そのような費用をオーナーで負担することで初めて交渉のテーブルに着くことが出来るでしょう。
例えそのような交渉をしたとしても、入居者にも生活があります。断られることもあるでしょう。そうなってくると、立ち退き料を払って退去してもらう以外にありませんが、立ち退き料を払えば必ず退去してもらえるということでもありません。
家賃の滞納を繰り返すなど、不良入居者であれば話は異なりますが、入居者としての義務を果たしている賃借人の居住権を侵害することはできないのです。
まとめ
いかがだったでしょうか?例え小さいマンションで、はじめから賃貸経営を志したわけではなかったとしても、人に貸したということは、不動産賃貸業という小さなビジネスを行っている経営者です。賃料というのはサービスの対価で得られる報酬です。ここでいうサービスとは、
「生活の基盤である住まいを提供すること」
です。甘い認識で不動産賃貸業を始めてしまっては、誰も幸せになりません。賃貸業を始めるのならば、最低限上記5点についての認識は深めたうえで行うようにしてください。