カレーって、色々なものをなんの考えもなく入れても、それが
「味に深みがあって美味しい」
という言葉で許されることがある、唯一の料理ですよね。
以前そう書きました。
そうそう。思いのほかカレーの話が長引いてしまいましたが、別にカレーの話がしたかった訳ではなかったのでした。
なんの計算もなく、色々な要素が入ってるからこそ、測ったかのような洗練された味ではない、複雑で奥深い味が表現される・・・
これは
「深みのある人間かどうか」
ということにも、当てはまるのではないかと、勝手に推察するのです。
飽きっぽいという生来の性格ゆえ、昔から色々なスポーツをしてきました。また、社会人になってからも、27歳で不動産業を始めるまで、職を転々としてきました。
例えばボクは高校の頃に格闘技に興味をもち、最初は観るだけだったのが、そのうち自分でもやりたくなり空手道場に通い始めました。
小さい街の空手大会で3位に入賞したのが唯一の勲章で、たいして強くはありませんでしたが、回りにはキャリア何年もの、どう逆立ちしても敵いそうもない、強い人がゴロゴロしていました。そんなツワモノを見るたびにこう思ったのです。
「ああ、もっと昔から空手を始めておけば良かった」
と。
その後、大学に入り、容易に道場に通えなくなったことから、次第に足は遠のき、やがて通わなくなりました。
そして色々な経緯があり、今度は競技スキー部に入部しました。スキーは初心者に「毛」が生えた程度でしたが、大学2年の冬、同期や先輩を差し置いて、インカレにも出場することができました。
インカレと言っても、1部から4部まである中の4部ですから、我が部は、本気でやってるスキーサークルに、多少厳しさが入った程度の部に過ぎません。
そんなインカレで、1部の学生はまさにトップレーサー(*当時のスターは、モーグルの上村愛子の旦那様の皆川賢太郎)で、中には世界を股にかけて世界を転戦している人もいました。まさに全てにおいて次元が違いました。この時も心底思いました。
「ああ、もっと早くからスキーを始めておけばよかった」
職を転々とした後、希望に溢れ不動産会社に入社したあとも、うだつの上がらない成績しか残せないなか、スーパー営業マンを間近にして同じように思いました。
「もっと早くから営業の仕事を、不動産の仕事を始めておけば・・・」
と。
人生のどのタイミングにおいても、
「もっと早く始めておけば」
「もっと早く(仕事やスポーツに)出会っておけば」
と後悔することがありました。
しかし、振り返って考えてみると、その時やりたいこと、やりたい仕事、やりたいスポーツ、興味ある出来事、付き合いたい人、友人など、今まで自分自身が経験や体験してきたことを土台にして、自然発生的に出てきているものです。
ボクは今、不動産の仕事をしていますが、今までの人生を積み重ねた結果、
「天職」
といってもよい今の職に就いているわけですし、出会うべくタイミングで、出会っているのです。
「もっと早く出会っておけば・・・」
と願ったとしても、それは出会うタイミングではなかったということでもありますし、出会うタイミングを間違っていたら、きっと今のように楽しく仕事は出来ていない可能性だってあります。
「将来、こうなりたいから今、これをやる」
と、ゴールを計画的に考えて、自分の考えた「レシピ」通りに進むことも重要です。洗練された「味」となって表現出来るでしょう。
しかし、偶然の産物で作られたカレーが、思いのほか奥深い美味しいものと仕上がったかのように、その時はムダだと思っていた不測な経験や体験が、あとになって人間としての
「奥深さ」
となるのであれば、ムダなことなど人生には何一つないと思うのです。
「あの時の経験が今、このようなカタチで活かせている」
と、明確にすることは恐らく出来ないでしょう。
だけど、間違いなく、今の自分自身を形作っているのは、過去の経験や体験です。どれか一つが抜けていたら、今の自分にはなっていないと思うのです。
つまりは人生、色々な経験や体験を
「やったもん勝ち!」
だということです。
始めてやることは緊張するし、時にはストレスになることもあります。だけどやらなきゃなにも始まらない。
これからも色々な経験や体験という名の
「スパイス」
を、人生という
「カレー」
にドバドバ投入し、奥深い人間(*カレー)になっていきたいですね!
・・・誤解のないよう書き添えておきますが、計画通りの人をディスってる訳でも、ボクのような行き当たりばったりの人間を、賞賛している訳ではありませんので(笑)
また、
「自分の人生をカレーなんぞに例えてほしくない!」
という、カレー嫌いな人も中にはいるでしょうが、そういう人は、何か他の自分の好きな食べ物に代替したらどうかな?例えば・・・そう、ラーメンのスープとか?
「自分の人生をラーメンのスープなんぞに・・・・(以下略)」
異論反論は受け付けかねます(笑)
趣旨は違いますが、経験積まないと絵もうまくなりませんしね(画:楯岡悟朗)