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物元(ぶつもと)~物元業者の業務内容と重要性などについて~

 

物元(ぶつもと)とは?

売主と媒介契約を交わし、物件の販売窓口となっている不動産会社のことを「物元」と呼ぶ。不動産業者間で使われる用語で、一般に使用されているわけではない。

【使用例】私が買い手側の仲介として、金額交渉を物元業者に依頼しているが、思うようにいかない状況を上司に報告するケース

物元の担当いわく、こちらのお客さんの要望を売主さんがなかなか承諾してくださらないようです。。。
上司
力のない物元だな

物元業者の業務内容

物件の調査

登記簿謄本を法務局で取得し、物件の権利関係を調べることからはじまり、前面道路の種別(*道路種別)・幅員・接道距離、上下水道・ガス管の埋設状況。マンションであればこれらに加え、管理会社から重要事項調査報告書を取り寄せ、マンション管理状態を調査します。その他、物件近隣に嫌悪施設がないかや、都市計画情報を調べるなど、調査内容は今挙げたもの以外、多岐に渡ります。

図面作成

調査した内容を踏まえて販売図面を作成します。

各種媒体へ情報掲載

スーモやアットホームなどのポータルサイトへの掲載や、新聞折込広告、レインズで広く物件の情報を拡散させ、広く購入希望者を募ります。

契約書、重要事項説明書の作成

ただ、大手仲介業者は、例え買い手側の仲介であっても、自社フォーマットで作成した契約書書類で契約を交わしたがる傾向が強いため、必ずしも物元業者が書類を作成するわけではありません。

成約に至らない場合の価格変更の提案

売れない場合の多くは金額の場合がほとんどです。販売していく中で得た情報(*問い合わせ状況や内見数の数や内見時のお客さんの反応)をもとに、販売価格の見直しを提案します。

以上がメイン業務。

なぜ物元業者になりたがるのか?

専属専任専任媒介で媒介を受け物元業者になることができれば、直接自社で買い手を見つけることができなくとも、レインズを介して他社が買い手さんを連れてきてくれます。

買い手・売り手双方から仲介手数料をもらう(*両手)ことはできませんが、売主からの報酬は最低限確保出来るので、どこの不動産業者も物元になりたがる。

ただ、現状は湯水のように広告宣伝費を使える大手にいきがち。

囲い込みを行うのは物元業者

物元業者(特に専属・専任)は取引を左右する司令塔。他業者が誰よりも早く買付を出していたとしても、物元業者が見つけてきたお客さんがあっさり優先されたり、自分のところのお客さんの結論が出るまで、案内をさせてもらえなかったりすることもあり。悪い言い方をすると独裁者のよう。囲い込みを行うのは物元業者。

物元業者の重要性

物元業者の重要性については、こちらの記事をご覧ください。

【不動産売却】レインズ(REINS)~不動産売却時に利用する物件情報ネットワーク、レインズについての解説~

レインズとは?

一般的になった不動産業界のネットワークシステム、「レインズ」についてです。

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英語で「Real Estate Information Network System」と表記され、その頭文字を取って「REINS」です。

世の中にはたくさんの不動産会社があり、それぞれの不動産会社が、不動産を売りたい人から売却の依頼(媒介契約)を受けています。

少し前ならば、物件の情報は売却依頼を受けた不動産会社から先へは流れず、依頼を受けたそのお店に偶然立ち寄らない限り、その物件を目にする機会はありませんでした。

そのようなアナログ的な手法から、不動産業者にもネットワーク技術が導入され早数年。物件情報が不動産業者共通のデータベースで管理されるようになり、インターネットを介してどこの不動産業者でも、それこそ極端な話、沖縄にある会社でも、東京にある物件を探すことが出来るようになりました。

そのデータベースの管理をしているのが「不動産流通機構」という機関で、そのデータベースのことを「レインズ」と言います。

レインズへの登録義務がある

ちなみに媒介契約を結び、売却依頼を受けたら、不動産会社は期限内に速やかに物件の情報を、データベース(レインズ)に登録しなければなりません。

つまりどこの不動産会社に問い合わせても、探す条件が同一であれば、(*担当者がどの程度お客さんの希望条件を踏まえるかによって違ってきます)どこでも同じ物件が紹介されるということになります。

情報を共有出来るようになったため、

  • 不動産会社 → どこの不動産会社の情報も扱える
  • 売り手 → たくさんのお客さんの目に触れる為、早期の売却が実現できる
  • 買い手 → 物件ごとに不動産会社へ問い合わせる必要がなくなる

誰にとっても良い仕組みのように思えます。

ただ、以下に挙げるような不動産業者では、正確に運営されていないのもまた事実です。

  1. 地元で長く営業している、ネットワークのことなど分からない、今までと同じ古い方法で営業している地元業者
  2. 物件情報は公開するが、自分のところで買い手も見つけたい(*売主と買主双方から仲介手数料がもらえる両手取引)ために、「契約予定」と称して物件を他社に紹介しない会社(*囲い込み

どちらの行為もそれぞれの会社の都合でしょうから、とやかく言う立場ではありません。

しかし、その会社を頼って依頼をした売主さんにとっては、間違っても良い選択とは思えません。こうした不動産業界の「自分勝手」な部分を是正していくことこそが、不動産業界全体のイメージアップや、社会的地位の向上につながるはずだと思います。

ちゃんと「登録」されているかの確認を忘れずに

両手取引を行いたいため、レインズに登録しない不動産会社も存在します。これは自分の物件を広く一般消費者、つまりエンドユーザーに紹介し、少しでも早く、良い金額で売りたいと願う売主さんにとっては大きな不利益です。

そこで売り手は、自分の物件がちゃんとレインズに登録されているか、確認することができます。本来、決められた義務さえ守れない不動産会社の不手際を、売却を依頼している売り手が目を光らせるなんておかしな話なのですが・・・。

では確認するにはどうしたら良いのか?答えは

「登録証明書を見せて下さい」

と言ってみることです。不動産会社がレインズに登録すると発行される証明書のことで、登録日や金額など物件の詳細が記載されています。このような書類です。

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「変更登録証明書」とありますが、書式や記載内容は同じです。本来は営業活動報告書と同時に送られてくることが多いのですが、この書類が問題なく出てくれば、間違いなく登録されていることの証明になります。

また、登録日をごまかすことは出来ないので、媒介契約締結日から逆算して、登録期限がしっかりと守られているかの確認にもなります。

ただ、一度登録を行い証明書だけ発行し、その後すぐに削除する。また登録はしているけど、一切他の不動産会社に紹介していない。ということを行う会社も残念ながら存在しますので、証明書の提出があったから絶対に大丈夫・・・という訳でもありません。

販売を依頼してから案内が1件も入らない、いつもお客さんを連れてくるのは媒介契約を結んでいる不動産会社だけ・・・など、ちょっと怪しいなと思ったら、

「私の物件レインズに登録されてます?」

と、率直に他社に聞いてみるのが実は一番早いかもしれません。ひょっとしたら、

「当社から問い合わせしてるんですけど、全然ご紹介してくれないんですよ。」

といったような告発も聞けるかもしれません。

専属専任媒介契約、専任媒介契約のメリット・デメリット

不動産会社にとって、売主から売却の依頼をもらい、自社の取り扱い物件を増やすことは、小売店が品ぞろえを充実させるに等しい行為です。それも出来れば、独占して(専属専任専任)商品(不動産)を並べたいのです。

媒介契約を結ぶ際には、どこの不動産会社も必ずと言っていいほど、専属専任もしくは専任媒介契約を締結しようとします。ただ、ご存知のように、売主には複数の不動産会社に依頼できる、一般という選択肢もあるのです。専任以上で契約を結びたいのだから、不動産会社の説明が、専属専任専任寄りの説明になってしまうのは、致し方ないところです。

専任以上で結ぶことのメリットとデメリットについてみていきます。

 

メリット

業者が必死になる

売却活動を一社限定で委任するので、当然、その業者が売却活動をさぼったりすると売れません。その不動産会社の責任は非常に大きいのです。必死にならざるを得ません。

また、成約に至らないと仲介手数料ももらえませんし、それまでにかかった売却活動の費用も回収出来ません。なかなか売れなかったり、動きが悪かったりすると、媒介契約を余所に切り替えられてしまうかもしれません。販売活動にも力が入って当然です。

これがメリットの一つとなります。

対応が一対一

販売の窓口が一つということは、その会社に様々な情報が集まります。つまり、

  • お客さんからのお問い合わせの数
  • 他業者からの問い合わせの数
  • 案内した時のお客さんの感触
  • 広告の反響結果

です。

こうした情報を不動産会社からフィードバックしてもらうことで、売り手は現在の販売状況を知ることができます。

これらのデータを参考にして、文字通り不動産会社と売主が顔を突き合わせて、成約というゴールまで二人三脚で進めていきます。その物件に力をかけただけ、担当者も売り手と同じく、不動産に対して愛着が増していきます。その分、成約に至る可能性は高まります。

これがもう一つのメリット。

デメリット

一対一の関係が裏目に・・・

これに尽きます。一対一という関係が、悪い方にひっくり返った場合です。もはや一部不動産会社の悪習となっている囲い込みをはじめ、売り手に真実の情報を伝えず、その不動産会社の都合によって情報を捻じ曲げ、売却活動を左右されてしまうのです。

例えばあからさまな両手狙いで、他業者からの問い合わせがあるにも関わらず、一切紹介せず(囲い込み)、

営業マン
いや~案内どころか問い合わせもありませんよ
売主
そうですか、金額が高いんでしょうか・・・
営業マン
適正だと思うんですけどね~、でも試しに少し下げてみます?

で、徐々に金額を下げていくなかで、自社でお客さんを見つけてはい、両手。終了!のような形です。選ぶ不動産会社によっては、こんなふざけたパターンに陥ってしまう可能性がある、というのがデメリットです。

注意点

売り手の考え方や売却するに至った事情などにもよりますが、やはり自分の思いの詰まった不動産を売ってもらうには、一対一で相対してじっくりと腰を据えて売却してもらいたいと思われる人が多いのではないでしょうか?

依頼を受ける不動産会社としても、他業者に余計な茶々を入れられる心配がないので、成約に至るためのさまざまなアドバイスや提案を行うことが出来ます。

上に挙げたような売り手の不利益になるようなことを行う心配がなく、しっかりと販売してくれそうな信頼できる不動産会社と判断できたならば、専属専任もしくは専任媒介でお願いするのが良いと思います。

担当者のやる気と行動力。そしてなにより誠実さを見ていきましょう

ただ、一回二回会っただけでその不動産会社が信頼に足るかどうか判断することが難しいのもまた事実です。その際は、事前に複数の不動産会社に簡易査定や無料査定を依頼して、その会社の対応を見比べておくなどの事前準備もしておくのがよいでしょう。

また、そうした事前準備をすることが時間的に難しいのであれば、いきなり専属・専任で媒介契約を結んだりせずに、とりあえず複数の会社に一般媒介で依頼しておくのも一つの手です。

実際に販売活動をしてもらうことで、その会社の対応力や実行力を把握することが出来ますし、一般媒介だからといって手を抜く会社なのかどうかの判断も出来ます。

不動産会社も営利企業ですから、専属専任・専任媒介で媒介契約を締結出来るなら表面上誠実で信頼出来る姿勢をアピールすることは簡単です。

もちろんサービス業ですから、そうした対応は必要ですが、重要なのは販売を開始したあとの不動産会社の姿勢であり対応力・実行力です。

そのあたりを良く理解した上で、どのような形で売却を依頼するのか、判断することが重要です。

媒介契約の一つ「一般媒介」で交わすメリットと注意点。専任媒介への切り替えについて

3種類ある媒介契約のうちの一つ。複数の不動産会社に売却を依頼できる。仲介業者は、営業活動報告を行う必要や、レインズへの登録義務もない。

 

一般媒介のメリット

売却の窓口を複数(いくらでも)作ることが出来るので、依頼された不動産会社がぼやぼやしてると、他社がさっさと売ってしまいます。良い方向に進めば、多数の不動産会社が他社に負けじと、積極的に販売活動を行うので、短期間で成約に至る可能性が高まります。

例え依頼した不動産会社のうちの一社が、あまり積極的に売却活動をしなかったとしても、競合他社が動いてますので、あまり影響はありません。

人気の地域や有名なマンションなんかだと、業者間の競争意欲を掻き立てるということで、(査定金額が間違っていなければ)一般媒介の受ける恩恵はそれなりにあると思います。

一般媒介のメリットは限定的

ただ、上記のようなメリットが生まれるのは、一般媒介だろうがなんだろうが、媒介契約を結びたいと思わせるような、人気のエリアや有名マンションです。なおかつ売出価格が適正で、情報を出せば早々に売れるであろうと判断された物件です。

ですから、

売主
売却に時間がかけられるので、最初は少し高めに出したい

となると、じっくりと腰を据えて売却を行っていかなければならないため、短期間で競争意欲を掻き立ててといったような、一般媒介のメリットはほとんど期待できません。

かえってデメリットばかりになってしまいます。

一般媒介のデメリット

売れ残り物件と思われる

短期間であるならよいですが、3か月以上、同じ物件の情報が、複数の不動産会社から同時に出ていると、消費者は

「良く目につく物件」=「にも関わらず売れてない物件」=「売れ残り物件」

という三段論法で判断してしまいます。どんな商品でもそうですが、希少価値が感じられなくなると、途端に売れ行きは悪くなります。

不動産業者同志による足の引っ張り合い

媒介契約中の不動産会社が、互いに他社の動きをけん制しながら動くため、成約に至るための有意義な提案などはしてきません。

例えばA社、B社、C社の3社に依頼していたとします。売れない理由はいろいろあるので、一概にいえませんが、この場合、相場より金額が高いことが売れていない理由とします。

いつまでたっても売れないため、A社が値下げの提案を行い、売主がその提案に従って金額を下げたところ、B社で決まってしまったとします。

せっかく値下げ交渉を行ったにもかかわらず、余所の会社で決まってしまっては、A社としては他社の成約をアシストした結果になってしまい面白くありません。

また、仮にC社が値下げの提案をしてきたので、売主がA社、B社の意見を聞こうと相談したところ、

「まだちょっと早いのでは?C社さんのところはお客さんがいないのですかね?」

と、C社より上の立場に立っていたい、もしくはいい格好してほしくないために、根拠もなく反対してくる場合もあります。

専属専任にみられるような、囲い込みの心配はありませんが、こうしたどうしようもない足の引っ張り合いもデメリットの一つです。

積極的に動かない

一般媒介ではすぐに売れない物件だと分かると、

「どうせ余所も販売してるから・・・」

と、積極的に販売活動を行わないところも多くあります。広告を出したりするにも費用は掛かりますが、他社で決まってしまっては、その広告費用の回収も出来ないからです。

メリットよりもデメリットの方が多くなってしまいましたが、もちろん一般媒介でも、一生懸命活動する不動産会社もあります。全ての不動産会社が当てはまるというわけではありません。

一般媒介の注意点

一般媒介だからこそのメリットを実感できるのは、販売を開始して1か月程度です。

しかし、1か月そこらでは売れずに、じりじりと焦りだしたときに陥りやすい考えが、

売主
あれだけの不動産会社に声をかけているのになんで?ひょっとしたらもっと声をかけた方がいいのではないか?

というものです。

こうした考えは全くの間違いです。

2,3社ならまだしも、4社5社、それ以上の不動産会社に依頼している物件は、どこの不動産会社も知っています。

「節操なく不動産会社に声かけている売主さんの物件」

として、マイナス面で有名になってしまいます。

そうなってしまうと、たとえ声をかけたとしても、形ばかり依頼を受けるだけでどこも一生懸命販売しない、ということになりかねません。

一般媒介は、何社にも依頼することはできますが、依頼するのはせいぜい3社程度に収めておくのが良いでしょう。

一般媒介から専属、専任への切り替えはできる

媒介契約の切り替えはいつでも可能です。

Q 3ヶ月の専任媒介契約を結んでいる場合は最初の3ヶ月は解約も変更もできないのでしょうか?

「信頼できる不動産会社に専任以上で依頼するのがベスト」

と、私は思っていますが、初対面の不動産会社に全幅の信頼を寄せていいものか迷ってしまう売主さんの気持ちも分かります。

ですからここは逆転の発想が必要です。つまり依頼をした複数の不動産会社のうち、一番マメに行動し報告してくれた一生懸命だった会社に、専属専任専任媒介に切り替えるのです。

他社との競合にも関わらず一生懸命動いてくれた実績がありますし、不動産会社はその実績を売主が認めてくれたと意気に感じて、より一層力を入れて販売してくれることでしょう。

売り手がこうしたメリットとデメリットを理解しておくことが、何より重要なのではないかと思います。

【不動産売却】両手(りょうて)

業界用語。購入・売却双方の仲介を同時に行い、「両方から仲介手数料を受領する」こと。単純に報酬は2倍になる。

買い手AさんがB社に購入のお手伝いを依頼し、同じB社が売り手Cさんから売却の依頼を受けている(*媒介契約を結んでいる)物件を購入することになった場合、B社はAさんとCさん、双方から仲介手数料を受け取ることが出来る。

弁護士の双方代理が禁止されているように、不動産業界も双方仲介を止めるべきではないかとの声は多い。この両手取引が認められているため、物件の囲い込みが常態化している一因にもあげられる。業界が正常に発展していないという声もあるが、難しい案件になるほど、当事者が少ない方が話をまとめやすいという側面もある。

物件を扱う不動産会社のモラル向上が一番の特効薬だが、一番難しい改善ポイントでもある。

専任媒介以上はレインズへの登録義務があります

専属専任と専任で媒介契約(*売却の依頼をする)を交わすと、依頼を受けたA不動産会社は物件情報をどこの不動産会社でも探せる&お客さんに紹介できるように、レインズへ登録しなければいけません。これは専属専任&専任媒介契約に課された義務です。

義務なのにも関わらず、登録せず自社のお客さんにしか物件を紹介しない行為を「囲い込み」と言われています。

不動産会社の規模で依頼先を決めてはいけません

「大手不動産会社と地元の不動産会社、結局のところどっちが良いのか?」

いろんなところで比較なんかされたりしてますが、これって永遠のテーマですね。

<大手不動産会社>

  • ブランドがあるから安心
  • 不動産知識が豊富

<地元の不動産会社>

  • アットホーム
  • 親身に相談に乗ってくれそう

それぞれを押す声は最もです。しかし、身もふたもない言い方になってしまいますが、結論から言うと、

「大手だろうが地元の会社だろうが、担当者によってまったく違ってくる」

というところが本当のところです。

大手不動産仲介業者の悪口は、色々なところで目・耳にします。

  • 自社の利益優先
  • 囲い込みが日常
  • 契約をまとめてからのフォローが薄い

などなど。私もいわゆる大手不動産会社で仕事を覚えた身ですので、こうした噂(事実?)を完全に否定はしません。では反対に、地場の小さな不動産会社は大手と比べて素晴らしいのか、と聞かれるとそんなこともありません。共同仲介を行った際には、地域不動産会社の仕事の取り組み方や進め方、不動産知識のレベルを目の当たりにして

「これは酷い」

と思ったことが幾度となくあります。

地元の不動産会社が絡んだ時のエピソードとしてこんなことがありました。

・・・

相続が発生したため、駐車場を売却しなくてはならなくなった、とある地主Aさんから相談がありました。その人には先代(*被相続人。今回亡くなったお父さん)から付き合いのある、地元の不動産会社Bがベッタリでしたが、億を超える大きな取引だし、やはり一度は大手に相談してみようということで、当時私が所属していた大手の不動産会社に査定の依頼がありました。大手不動産会社の巨大な看板と、仮に担当者がどうしようもないボンクラだったとしても、それなりの営業マンに見えてしまうブランド力というのは、やはり侮れません。

大きな土地なので、一般のお客さんが手を出せる代物ではありません。査定を行いつつ、事業用の土地として検討してくれそうな、法人のお客さんに物件の情報を流したところ、Aさんも納得するかなり良い金額で購入申し込みが入りました。

あとはトントン拍子で契約まで進むもの・・・と私もAさんもホッとしたのもつかの間。ここで思わぬ障害が立ちはだかったのです。その障害とは?そう、以前からお付き合いのあるという地元の不動産会社Bです。

「お父さんの代から面倒を見てきてやったのに、こんな大きな取引をうちに黙ってしようとするなんて、到底認められない!」

Aさんがその不動産会社の言い分を教えてくれたのですが、上記のようになんとも納得できなひどいものでした。

私:「あの・・・認めるも何も、Aさんの土地なんだし、そんなこと言う権利も資格もB社には何一つないですよね?」

と、伝えましたが、Aさんは少し気の弱い方で、自分より年長で、なおかつB社の社長は自分の父親の代からの付き合いということもあり、おかしいとは思っていてもあまり強くモノを言えないようでした。AさんとB社の力関係が完全に逆転しています。取引をまとめるため、AさんにB社を説得してもらおうと、頑張ってもらったのですが、

「そうまで契約したいならすればいい!だけどおたくとは今後手を切るよっ!」

と言われたらしく、Aさんは途方に暮れてしまいました。Aさんは代々の地主です。地元には結構な数の賃貸物件があるのですが、それを管理しているB社にいきなり

「もうやらん!」

なんて言われたら、誰だって困ります。物件を人質にした脅しと同じです。

私:「これを機会に他の業者さんに管理をお願いしてみたらどうですか?当社でも地元でやってる業者さんご紹介出来ますし」

と色々と提案したものの、

「今更一から人間関係を築いたりしていくのは面倒だし・・・」

ということで、Aさん、なかなか腰を上げそうにありません。このままではどうにもラチがあかないので、最後の手段を取ることにしました。B社と直接交渉に乗り出したのです。ただ、今までの経緯から、

「取引を認めてくれ(*そもそもそういう依頼をしなければいけないこと自体おかしな話ですが)」

と言ったとしても、認めるはずはないと思っていたので、

「そちらが売主側の仲介に入る形で、共同仲介としよう」

と提案することにしました。つまりB社は、なんにもしなくても、何百万もの手数料が入ってくる訳です。Aさんがゴリ押し出来ない以上、これでダメならもうお手上げです。・・・結果からいうと、話し合いも何も最初からケンカ腰で、こちらの言うことに聞く耳を持ちません。

「こっちは何十年も付き合ってやってんだ!」

「今更あんたんところの世話にはならないよ!」

「大手は依頼があれば、人んとこのお客を横から取ってくのか!」

と、言いたい放題。これはもうどうにもならないと悟った私は、

私:「あなたは言ってることおかしい!」

冷静に感情的にならず話していたのですが、最後には感情を爆発させ話し合いは物別れに終わりました。

結局、それが元で契約はなくなり、しばらくはAさんの近況なども確認してましたが、自然と疎遠になっていきました。その後、数か月してB社から売りに出したようですが、どうなったかは知りません。

「このような地域の不動産会社の話はあくまで特別で、一般的ではない」

そう思いますか?ところが、結構います。そうした人たちが共通して言うセリフが、

「先代から付き合ってやってる」

「お客さんみつけてあげてる」

この「してやってる」感が、話の端々に見え隠れします。人のふんどしで相撲取ってるだけなのに、そんなに偉いんですかね?こんな地元不動産業者も知ってるので、

大手だから・・・地域の業者だから・・・

というだけでは全然判断出来ません。会社の規模などは関係なく、最終的には取り扱う人間のレベルにかかってくるのが不動産取引です。

不動産会社の顧客リストから名前が消えない理由

一度、不動産業者に問い合わせした、また案内してもらった人は思ったかもしれませんが、その後の営業マンからの連絡がしつこい!そう思った人って結構多いのではないですか?私はあります(笑)。同業である私が、

「いい加減にしろ!」

っと思うくらいですから、普通のお客さんだったらなおさらそう感じるはずです。

以前、物件の囲い込みをしていた業者に、お客さんのフリをして問い合わせて、資料をもらったことがあります。販売図面をもらうのが目的だったので、それで任務完了・・・のはずだったんですが、それからというもの、週末近くになると電話がかかってくることが多くて多くて・・・。最初は適当にあしらっていたのですが、あんまりしつこいので、

「もう買いましたので連絡は結構です」

と言ったのですが、その後も忘れたころに違う営業マンがかけてきます。恐らく顧客名簿をたらいまわしにしているのだと思います。いちいち電話に出るのも面倒なので、その業者の電話番号を登録して、出ないようにしたところ、留守電に吹き込んでいくのですが、その内容といったら、

「○○不動産です。△△駅徒歩5分、□□万円が出ました」

これだけ。で、そんなことが数回あった後、

「もう買ったって前の人に言った。しつこい!かけてくるな!」

とキレ気味に話してみたんです。すると、

「申し訳ありません・・・」

と平謝りだったのにもかかわらず、その後も数か月に一度、定期的にかかってきてました。 学習能力がないというか管理能力がないというか。顧客リストから連絡先を外すことがそんなに難しいんでしょうか?そんな簡単な作業も出来ない業者が、不動産売買の仲介なんて出来るのか?その業者に依頼するお客さんのことが心配になってしまいます。

しかし、顧客リストから一向に名前が消されないのは、そんな単純な理由だけではない場合があるのです。

 なぜ顧客リストから名前が消されないのか?

「『もうこのお客さんは買ったそうです』って伝えたら上司に怒られるから」

これがすべての理由ではないですが、大きな理由の一つであることに間違いありません。なぜ言い切れるかというと、私も経験があるからです。忘れたころに上司がお客さんの状況・進捗を聞いてくるのです。

上司 「おい、○月○○日問い合わせのあった□□さんはその後どうなった?」

私  「え?あ、はい(やば~もう買ったってこの間言ってたなあ)。け、検討中です。」

上司 「ちゃんとフォローしとけよ」

私  「・・・は、はい」

私も駆け出しのころ、幾度となく上司と繰り返してきたやりとりです。私の場合は、お客さんのリストが他の営業マンに渡ることはなかったので、誰かに迷惑をかけた訳ではありませんが。どこの会社でもどの職業でも、上司の顔色を伺いながら仕事をするのが「必要悪」なんでしょう。ただ、不動産業者の営業マンはそれがより顕著ではないかと思います。入社したばかりの新人か、入社して数年も経つのに、一向に営業成績が上がらない営業マンにその傾向が強いように感じます。

例えば週末を控えた金曜日。土曜、日曜は不動産業者のかきいれどきです。お客さんとのアポイントが取れていないと、上司に何を言われるか分かったもんじゃありません。週末にお客さんとの予定を入れるため、木曜日、金曜日の夜にフォローするのが、不動産業者のルーティンワークになっています。

そのルーティンワークを、上司は席にふんぞり返って目を光らせます。だけど一人の営業マンが抱えているお客さんの数なんてたかが知れています。毎週毎週違う人に連絡なんて出来るはずもありません。だけど連絡する人がいないと言ってボーっとしている訳にもいきません。そこで仕方がないので、上司に対する

「仕事してますアピール」

として、つい先日連絡したばかりのお客さんや、あまり購入や売却に積極的になっていない人に、「かたちだけ」連絡することになります。それが結果的に、

「しつこい!」「空気を読めない!」

と、お客さんの反感を買うことになります。上司の方を向いて仕事をした結果がこれなのです。お客さんへの連絡を強制するこのようなやり方が、結果的にお客さんを遠ざけているという事実を、もう少し考えたほうがよいでしょうね。こうした営業電話を受ける方々は、自分の大切な資産を扱うに足る人物・会社なのかどうか、判断する一つの材料してみてはいかがでしょうか。

未公開物件(みこうかいぶっけん)

現在の不動産広告の主流は、自社サイトやポータルサイトに物件情報を掲載するインターネット広告です。どこの会社も、インターネットに物件の情報を掲載し、購入希望の買い手を集めようとします。

しかし、豊富な広告量とブランド力で、数多くの売り手から売却の依頼を受ける(媒介契約を結ぶ)大手不動産会社と違い、中小の不動産会社は、売却依頼を受けている物件が多くありません。ネット上に掲載する物件(商品)が少なくてはどうがんばってもお客様はやってきません。

では、商品ラインナップが少ない不動産会社がどうするかというと、他の会社が媒介契約を結んでいる物件(商品)を借りて、自社サイトやポータルサイトに掲載(陳列)することで、お客様からのお問い合わせを増やそうとします。

もちろん、全ての物件を借りられるかと言ったらそうではなく、売却の依頼を受けた不動産会社の販売方法の意向により、掲載を断られる物件が多く存在します。というよりも実際の所ほとんどがネットへの掲載を断られます。大手不動産会社は90%位の確率で貸してくれません。

つまり「他社で媒介契約を結んでいる物件を、自社サイトなどに掲載しようとして、取扱不動産会社に掲載の承諾を求めたが断られ、自社ではどうがんばっても広告出来ない物件のこと」を、断られた立場の弱い会社の、都合の良い言い方で「未公開物件」と言っているのです。要するに、「当社に来てくれればネットに出てない物件でもたくさんご紹介できますよ。だからご来店くださいね!」と、来店を促す意味合いが強い。

戦略としての未公開物件

お客さんから売却の依頼を受けたら、すぐに市場に情報を流し、少しでも多くのお客さんに物件を知ってもらおうとしますが、そうしない不動産会社も残念ながらあります。また、市場に情報は流すけど、

「商談中」

「契約予定」

といって一切物件を紹介しない(*囲い込み)不動産会社もあります。

「けしからん」

と、売り物件を思うように集められない、ネームバリューの劣る非・大手不動産会社のやっかみの声が多くを占めます。しかし、

「未公開物件」

というワードは、非常に力があり、「未公開」とついただけでプレミアム感や希少価値が出てきます。

「完全に未公開物件です」

と言っただけ(*実際公開した訳ではないのでウソではない)で、一般に公開している物件には見向きもしなかったお客さんの目の色が変わるのです。金額が特別安いわけではなく、たいしてアピールするところのない普通の物件だったとしても、「未公開」として出し惜しみすることで売れるのであれば、それはそれで売り方の一つの戦略なのかもしれません。

・・・とこのように考える不動産会社があってもおかしくありません。くれぐれも「未公開物件」という言葉に惑わされ過ぎないようにしてください。

「未公開物件=掘り出し物」ではない

なぜ人は未公開物件に惹かれるのかというと、原因はやはり、

「未公開物件=掘り出し物」

という認識を持ってしまうからでしょう。しかし「掘り出し物」とは何を持ってそういうのか、明確に理解している人はいません。

そもそも物件の価値は相対的なものではなく、人それぞれ違います。そうした価値観をベースにして物件を探しているのに、誰にとっても「掘り出し物」と映る物件が存在するはずがありません。

誰にとっても相対的な価値というと、金額が安い、ということになるのでしょうが、誰にとっても安いと映る情報が一般エンドユーザーまで回ってくるかというと、ゼロではありませんが、その可能性は限りなく小さくなります。通常は、買取業者などが購入していきますし、売却の依頼を受けた不動産会社も、まずはそうした事業目的で購入する会社に紹介することがほとんどです。

そうはいってもごくたまに

「なんでこんなに安いのか!?」

と思う物件が市場に出てくることがあります。ところが、調べてみるとなにかしら安くなる理由があっての金額です。例えば、

  • お墓が目の前にある
  • 送電線が近くにある
  • 再建築できない
  • 自殺物件

などなど・・・。需要が少ないことを踏まえての金額設定なんでしょう。しかし、人の価値観と言うのは分からないもので、目の前にお墓があることを、

「気味が悪い」

と見向きもしない人もいれば、

「今後建物が建つ可能性がないから」

と逆にメリットと捉える人もいます。

万人に受ける掘り出し物を探すのではなく、自分にとっての掘り出し物を探すことが正解ですね。いつ出てくるとは知れない「未公開物件・掘り出し物」を待つのは現実的ではありません。自分にとっての掘り出し物がどのような物件を指すのか?まずは自身の価値観を明確にすることから物件探しを始めてみたらいかがでしょうか。