未公開物件(みこうかいぶっけん)

現在の不動産広告の主流は、自社サイトやポータルサイトに物件情報を掲載するインターネット広告です。どこの会社も、インターネットに物件の情報を掲載し、購入希望の買い手を集めようとします。

しかし、豊富な広告量とブランド力で、数多くの売り手から売却の依頼を受ける(媒介契約を結ぶ)大手不動産会社と違い、中小の不動産会社は、売却依頼を受けている物件が多くありません。ネット上に掲載する物件(商品)が少なくてはどうがんばってもお客様はやってきません。

では、商品ラインナップが少ない不動産会社がどうするかというと、他の会社が媒介契約を結んでいる物件(商品)を借りて、自社サイトやポータルサイトに掲載(陳列)することで、お客様からのお問い合わせを増やそうとします。

もちろん、全ての物件を借りられるかと言ったらそうではなく、売却の依頼を受けた不動産会社の販売方法の意向により、掲載を断られる物件が多く存在します。というよりも実際の所ほとんどがネットへの掲載を断られます。大手不動産会社は90%位の確率で貸してくれません。

つまり「他社で媒介契約を結んでいる物件を、自社サイトなどに掲載しようとして、取扱不動産会社に掲載の承諾を求めたが断られ、自社ではどうがんばっても広告出来ない物件のこと」を、断られた立場の弱い会社の、都合の良い言い方で「未公開物件」と言っているのです。要するに、「当社に来てくれればネットに出てない物件でもたくさんご紹介できますよ。だからご来店くださいね!」と、来店を促す意味合いが強い。

戦略としての未公開物件

お客さんから売却の依頼を受けたら、すぐに市場に情報を流し、少しでも多くのお客さんに物件を知ってもらおうとしますが、そうしない不動産会社も残念ながらあります。また、市場に情報は流すけど、

「商談中」

「契約予定」

といって一切物件を紹介しない(*囲い込み)不動産会社もあります。

「けしからん」

と、売り物件を思うように集められない、ネームバリューの劣る非・大手不動産会社のやっかみの声が多くを占めます。しかし、

「未公開物件」

というワードは、非常に力があり、「未公開」とついただけでプレミアム感や希少価値が出てきます。

「完全に未公開物件です」

と言っただけ(*実際公開した訳ではないのでウソではない)で、一般に公開している物件には見向きもしなかったお客さんの目の色が変わるのです。金額が特別安いわけではなく、たいしてアピールするところのない普通の物件だったとしても、「未公開」として出し惜しみすることで売れるのであれば、それはそれで売り方の一つの戦略なのかもしれません。

・・・とこのように考える不動産会社があってもおかしくありません。くれぐれも「未公開物件」という言葉に惑わされ過ぎないようにしてください。

「未公開物件=掘り出し物」ではない

なぜ人は未公開物件に惹かれるのかというと、原因はやはり、

「未公開物件=掘り出し物」

という認識を持ってしまうからでしょう。しかし「掘り出し物」とは何を持ってそういうのか、明確に理解している人はいません。

そもそも物件の価値は相対的なものではなく、人それぞれ違います。そうした価値観をベースにして物件を探しているのに、誰にとっても「掘り出し物」と映る物件が存在するはずがありません。

誰にとっても相対的な価値というと、金額が安い、ということになるのでしょうが、誰にとっても安いと映る情報が一般エンドユーザーまで回ってくるかというと、ゼロではありませんが、その可能性は限りなく小さくなります。通常は、買取業者などが購入していきますし、売却の依頼を受けた不動産会社も、まずはそうした事業目的で購入する会社に紹介することがほとんどです。

そうはいってもごくたまに

「なんでこんなに安いのか!?」

と思う物件が市場に出てくることがあります。ところが、調べてみるとなにかしら安くなる理由があっての金額です。例えば、

  • お墓が目の前にある
  • 送電線が近くにある
  • 再建築できない
  • 自殺物件

などなど・・・。需要が少ないことを踏まえての金額設定なんでしょう。しかし、人の価値観と言うのは分からないもので、目の前にお墓があることを、

「気味が悪い」

と見向きもしない人もいれば、

「今後建物が建つ可能性がないから」

と逆にメリットと捉える人もいます。

万人に受ける掘り出し物を探すのではなく、自分にとっての掘り出し物を探すことが正解ですね。いつ出てくるとは知れない「未公開物件・掘り出し物」を待つのは現実的ではありません。自分にとっての掘り出し物がどのような物件を指すのか?まずは自身の価値観を明確にすることから物件探しを始めてみたらいかがでしょうか。

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