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不動産を売却した時にかかる税金は?

不動産を売却したときには税金がかかります。しかし、売却した人全員に同じようにかかるかといったらそうではありません。税金は利益に対して生じるのです。

以下に課税されるパターンについて解説していきますが、私が出来ることはあくまでも考え方・概念的にとどまり、正確な税額が分かるものではありません。ご相談を受けるお客様にも同様のことを伝えていますが、最終的には必ず税務署で確認するように伝えています。

税金がかかるときはこんな時

例えば10年前に3,000万で購入した物件が、3,500万で売却した場合、利益は500万です。500万に対して課税されます。

反対に3,000万で購入した物件が、10年後2,800万でしか売れなかった場合、利益は出ておらず赤字なので無税です。

長期譲渡所得と短期譲渡所得

利益が出ていれば、利益に対して課税されますが、所有期間に応じて税率が異なります。不動産を売却した年の1月1日時点で、所有期間が5年以上と5年以下で区分されます。5年以上所有していた方が税率は安くなります。

区分 所得税 住民税
長期譲渡所得(5年以上) 15% 5%
短期譲渡所得(5年以下) 30% 9%

上記の事例(*利益500万)を元に考えると・・・

  • 長期譲渡所得・・・100万
  • 短期譲渡所得・・・195万

となります。

控除できる経費

ただし、購入時と売却時にかかった諸費用は利益から控除されるので、実際課税される利益はもっと少ないはずです。

  • 購入時・・・仲介手数料、融資保証料、印紙代、登記費用など
  • 売却時・・・仲介手数料、測量代、印紙代、登記費用など

10年前3,000万で購入した物件の諸経費を200万。そして3,500万で売却した時のかかった経費を180万と仮定すると、トータル380万が利益から控除されることになり、

利益500万-経費380万=120万

120万が実際に課税される金額となり・・・

  • 長期譲渡所得・・・24万
  • 短期譲渡所得・・・46.8万

税金はこうなります。

注意点

ただ、最初にも書きましたが、これは簡易的・概念的なもので、正確なものではありません。例えば減価償却の問題もあります。10年前、3,000万で購入した物件の建物は10年間の間、減価償却されて価値は下がっていますから、単純に3,000万全てを購入代金として考えられません。では実際どのくらいとして考えたらよいのか?そうしたことを正確に計算できるのは、税務署なり税理士などの専門家です。

また、購入価格、売却価格の記載のある契約書や請負契約書、その時かかった諸経費などの領収書は、実際、どれだけお金を使ったかの証拠となりますので、必ず取っておかなければなりません。

購入時の価格が分からない場合

「親から相続した不動産で、いくらで購入したのか分からない」

両親が購入時の契約書や領収書を保管しておけば、それが適用されますが、昔過ぎて既に紛失してしまっているということもよくあります。そうした場合、購入時の価格をどのように算出するかというと、

「売却価格の5%」

を取得費とします。

例えば3,500万で売却したけど、取得費(*購入時の価格)が不明の場合、

3,500万×5%=175万

175万が取得費となり、

3,500万-175万=3,325万

となってしまい、大きな利益が出たことになってしまい、その分、税金も多くかかってしまいます。

売却した物件を自宅として使っていた場合

3,000万円の特別控除の特例という制度があります。

自宅として使っていた不動産を売却し、利益が出た時は、3,000万までの利益だったら無税にしましょう、という特例です。

親から相続した不動産だとしても、生前親が自宅として利用していれば、相続した人が自宅として使っていなくとも、この特例を受けることが可能です。

しかし、いつまでもこの特例を受けることは出来ず、住まなくなった年の1月1日を起算して、3年後の12月31日までに契約か決済を済ませておかなければ適用できません。

まとめ

以上、不動産売却を売却した時にかかる税金についての記事でした。何度も書いていますが、あくまで簡易的・概念的なものですから、この記事を鵜呑みにして取引を進めないよう十分注意してください。

税金は毎年のように変わりますし、とても素人が動向を追えるようなものではありません。今回のような概念的なものをお話しできますが、必ず最終的にはご自身自ら、税務署などに問い合わせをするようにしてください。

不動産売却時の手数料について

不動産売却時にかかる手数料としては仲介手数料があります。

(売却金額×3%)+6万円

が仲介手数料です。

例えば5,000万円の戸建を売却した場合の仲介手数料は・・・

(5,000万×3%)+6万円=156万(税抜き)

となります。

ただ、売却にかかる費用全体を手数料として考えると、それ以外にもあります。

  • 契約書に貼る印紙代
  • 抵当権の抹消費用(*住宅ローン利用時)
  • 測量代(*土地・戸建ての場合)

契約書に貼る印紙代

契約書には売買金額に応じた収入印紙を貼らなければなりません。収入印紙は郵便局などの金融機関で購入することができます。

記載された契約金額 税額
1万円未満のもの 非課税
1万円以上 10万円以下のもの 200円
10万円を超え 50万円以下のもの 400円
50万円を超え 100万円以下のもの 1,000円
100万円を超え 500万円以下のもの 2,000円
500万円を超え 1,000万円以下のもの 1万円
1,000万円を超え 5,000万円以下のもの 2万円
5,000万円を超え 1億円以下のもの 6万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

(引用元:国税庁HPより)

原則は上記の表の通りですが、現在は軽減措置が適用されているので、記載額よりも安くなっています。

抵当権の抹消費用(*住宅ローン利用時)

住宅ローンを利用中の不動産を売却する際には、抵当権の抹消費用がかかります。抵当権を債権者である金融機関から設定されているので、これを消す作業を行う司法書士に支払う費用のことです。

費用自体はそれほど高額ではなく、抵当権1件当たり2~3万円です。複数の金融機関から融資を受けている場合は、その分抵当権が設定されているので、その分費用は上がります。

住宅ローンを利用していなければ、当然、抹消費用はかかりません。

測量代

絶対ではないですが、土地・戸建ての売却の際には、測量代がかかります。

売買対象になる敷地がどこからどこまでなのか、誰もがわかるようにしておかなければなりません。例えば隣地の人と、互いの敷地がどこであるかとの主張が食い違っていると、将来紛争になってしまう可能性もあります。

そのような問題をはらんだ土地を、買い手が安心して買えるかといったら(*余程金額が安ければそれもありかもしれませんが)買えないでしょう。

また、売り手が100㎡だと思っていたものが、測り直してみたら、実は98㎡しかなかった。もしくは逆のケースで103㎡あった、ということもあり得ます。隣地との境界を確定させる作業と共に、敷地の正確な面積を算出しておくことがトラブルを未然に防ぐうえでも重要です。

このように土地を測り、隣地の人達と立ち合い、境界を確定させる作業をする土地家屋調査士に支払う費用が測量代としてかかります。費用は何十万単位でかかり安くありません。隣地の方と立ち会う数と敷地面積によって金額は上下します。

まとめ

以上、不動産売却時にかかる手数料(費用)についてです。売却をする際には、金額だけではなく、結局のところ手取り額がどのくらいなのかを把握することが重要です。

手取り額を考える際には、売却にかかる費用だけではなく、税金面も含めて考えなければなりません。購入した金額よりも、高く売れてしまった場合は、税金がかかる可能性もありますので、十分注意してください。

【土地・戸建ての売却】測量(そくりょう)

土地の広さを測る行為

土地の大きさを測ることを「測量」といいます。

土地の広さを測るためには、自分の土地がどこからどこまでなのかを決めなければなりません。土地は当然、地続きですから、自分の土地に接している隣地の所有者が存在します。

その人たちの存在を無視して、

「ここまでが私の土地です」

と一方的に決めることはできません。

「私とあなたの土地境(境界)はここでいいですね?」

と互いに確認し、合意しなければなりません。

境界境には「印」が設置される

隣地との境界境には、それを明示するプレートや境界鋲が設置されています。されていれば、その点を元にして土地を測り、隣地所有者との境界確認も滞りなく済むことが多いです。

しかし、そのような「印」がない場合もあります。境界鋲は大事なものにもかかわらず、その知識があまり知られていないからか、境界鋲の上に塀を立ててしまったり、建築作業のどさくさで外れてしまったりしていることもあります。

その場合、現存する資料や隣地との現況を元に境界境を新規設定することになるのですが、土地の広さに直接かかわることになるので、調整が難航することもあります。解決しないと、最悪は境界紛争となってしまう、非常にデリケートな問題です。

費用は?

これら作業を行うのは土地家屋調査士もしくは測量士で、当然、費用がかかります。売却に係る費用では、仲介手数料に次いでに高額です。土地の広さや、立ち合いの件数によって測量金額は異なります。

まとめ

測量は必ず行わなければいけない作業ではありません。未測量で売却することは可能ですが、言いかたを変えれば、測量をしていない土地というのは、

「どこからどこまでが売買対象の土地なのかが分からない」

ことを意味します。また、

「隣地と境界トラブルがあるのではないか」

と思われても仕方がありません。

やはり唯一無二の「商品」として、広く買い手を募るのであれば、「最低限の整備」はやっておくべきでしょう。

【不動産売却】不動産売却の流れ

不動産を売却しようとしたら、以下の順番で進んでいきます。

  1. 査定
  2. 媒介契約
  3. 販売活動
  4. 条件交渉
  5. 売買契約
  6. (*住宅ローン利用中なら)金融機関に一括返済の申し出
  7. 決済

査定

まず最初に査定を受けてください。自分の不動産がどのくらいで売れるのかを把握しておく必要があります。以下に査定に関する記事をまとめてあります。査定を受ける前には必ず読んでおきましょう。

ポイントは・・・

  • 一括査定はお勧めしない
  • 不動産の売却査定は、車の買取査定や引っ越し業者の見積もり査定とは別物
  • ↑だから高く査定されたとしても喜ばない

ということです。査定で最も重要なことは、正確な査定金額を把握することです。正確な査定金額というのは、3か月以内に7割8割の確率で売却できる金額のことです。

この金額を把握することが出来、販売期間に時間をかけられるのであれば、

「最初は少し高めに出して様子をみる。売れればラッキー」

という戦略を取ることができます。

媒介契約

査定を受けた不動産会社の中から、実際に販売を依頼する不動産会社を選び媒介契約を結びます。

媒介契約を交わすときには、媒介契約書に署名・捺印をします。仰々しく「契約書」とありますが、売却の依頼申し込みという認識で問題ありません。契約期間の記載もありますが、期間中でも契約を破棄することも可能です。

媒介契約には

  • 専属専任媒介契約
  • 専任媒介契約
  • 一般媒介契約

という3種類があります。それぞれメリットとデメリットがありますので、以下の記事をご覧になって、最適なものを選ぶようにしてください。

また、査定にも言えることですが、不動産会社の規模で選ばないようにすることです。

大手であれば間違いないと考えるかもしれませんが、必ずしも実力のある担当者かどうかは分かりません。かといって規模の小さい不動産会社がいいのかといったら、それもそうとはいえません。あくまでも売却業務を実行してくれる担当者をベースに考えましょう。

販売活動

媒介契約を結んだら、次は実際に販売をしていくことになります。既にお住まいでなければ問題はないですが、売却の場合、賃貸と違って居住中でも内見をしてもらいます。どんなに良い物件だったとしても、内見してもらわないことには成約に至りません。内見希望があれば、予定が合う限り積極的に内見に協力するようにしてください。

条件交渉

内見の結果、買い手に購入の意思があれば、購入申込書を出してもらいます。条件交渉など、ないに越したことはないですが、金額含め交渉が入ってくることが大半です。販売活動を開始して1週間後で入ってきた交渉と、半年販売した結果の交渉とでは全く違います。

金額だけが交渉ではないですが、多くの人の関心は金額です。では、入って来た金額交渉に応じるか否かの判断はどうつけたらいいでしょう?

その答えは、査定の段階で正確な査定金額を把握しているかどうかにかかっています。その金額が分かっていれば、入って来た条件交渉が良い金額なのかどうなのか?を判断することができます。

だから査定は重要なのです。

売買契約

売買金額含め引き渡し日の条件などがまとまれば、実際に不動産会社で契約を行います。通常は売却の依頼を受けた不動産会社の事務所で、売り手・買い手・仲介業者が集まって、重要事項説明書、契約書の読み合わせを行います。

その後、署名捺印し、手付金を受け取って領収書を発行し売買契約は終了となります。

(*住宅ローン利用中なら)金融機関に一括返済の申し出

住宅ローンを利用中ならば、引き渡し日に全額返済する旨を、金融機関に連絡します。金融機関によっては、手続き時に時間がかかることもあります。引き渡し日(決済日)が確定したらすぐに金融機関に連絡をしておきましょう。

また、確定していなくとも、何日前までに連絡をすれば良いのかを、予め確認しておくとよいでしょう。

決済

引き渡し日、決済日ともいいます。買い手が住宅ローンなど、ローンを利用する際には、通常融資を受ける金融機関の支店で行います。

所有権移転登記に必要な書類を司法書士に手渡し、残代金を受け取り領収書とすべてのカギを買い手に発行し、終了です。基本的にこの時をもって今まで自分のものだった不動産は、他人のものとなり、当然のことながら自由に出入りすることはできません。荷物などは前日までにすべて搬出しておかなければなりません。

以上、不動産売却の流れでした。

不動産の売却一括査定サイトとは?

複数の不動産会社に査定を依頼することです

一括査定サイト経由で依頼することが出来ます。

通常、不動産の査定を依頼するときは、不動産会社に問い合わせをしなければなりません。しかし、A社にしか査定を依頼しないのであれば、A社に問い合わすだけで充分ですが、A社、B社、C社の3社に査定を依頼したい場合、それぞれに問い合わせをしなければなりません。

一括査定サイトを利用すると、簡単に複数の不動産会社に依頼することができ、一度に複数の査定結果を知ることが可能です。

中古車買取や引っ越し見積もり一括サイトとの違い

同様のサイトで、

  • 中古車の一括査定サイト
  • 引っ越しの一括見積サイト

が有名です。実際に利用された方も多いのではないでしょうか?

上記2つは、査定した側が実際にその価格での取引を約束するものです。中古車の一括査定サイト経由で査定を依頼したところ、以下のような結果が出てきたとします。

  • A社:100万
  • B社:120万
  • C社:150万

当然、C社に買取を希望します。引っ越しの一括見積サイトだったらどうでしょう?

  • A社:10万
  • B社:12万
  • C社:15万

としたら、A社に引っ越しを依頼するはずです。

不動産一括「買取」査定ではない

では不動産一括査定サイトの場合を考えてみましょう。あなたが売却したい不動産を、一括査定サイトで査定を依頼したところ・・・

  • A社:2,000万
  • B社:2,200万
  • C社:3,200万

と出てきたとします。さあ、どこに売却を依頼をしますか?一番高い査定をしてきたC社に売却を依頼するかもしれませんね。実際にC社がその価格で買い取ってくれるのであればよいでしょう。

しかし、不動産の査定というものは、その金額での買い取り・成約を保証するものではありません。現在の売り出し事例や、過去の成約事例を元にして算出する「予想」です。

査定した側がその金額で買い取る(もしくは請け負う)のか、ただの予想か。これが中古車買取比較サイトや引っ越し一括見積サイト(買取 or 請負保証)と、不動産の一括査定サイト(予想)との大きな違いです。

一番高い査定金額を出したところが良いわけではない

中古車買取比較サイトや引っ越し一括見積サイトであれば、一番高い価格、もしくは一番安い価格を出してきた企業に依頼すればよいでしょう。

しかし、不動産一括査定サイトの場合、そうではありません。そもそも現在の売り出し物件や、過去の成約事例を元に算出するのが査定ですから、どこの不動産会社に依頼しても、それほど大きな違いは出てこないのが普通です。

それなのに、A社、B社の査定価格よりも1,000万近く高値で査定したC社の査定が信憑性のあるものとは思えません。多少の誤差ならまだしも、これほど大きな差がでるということは、「査定」というものがよくわかっていない能力不足な人が査定したか、確信犯的に最初から他社より高い査定金額をあえて提示しているかのどちらかです。

なぜ高い査定金額を提示するのか?

不動産の査定を、中古車買取比較サイトや引っ越し一括見積サイトと同様に考えている人がまだまだ多く、高い金額を提示することで、他社に先んじて売却の依頼を受けることができるからです。

それで実際に成約に至れば結果オーライかもしれません。しかし、結局は販売後、しばらくして、

「予想以上にお客さんからの反応が鈍く動きがありません。金額を見直しましょう」

と、売れないのは、あたかも物件に原因があるかのように伝え、徐々に金額を下げていくことがパターンです。

まとめ

「不動産の査定は、現在の売り出し事例や、過去の成約事例を元にして算出する予想である」

という認識を持ってさえいれば、確信犯的に高い査定金額を提示してくる不動産会社に乗せられることはありません。逆にそうした不動産会社を切り捨てることができ、適切な査定をしてきた不動産会社を選べるようになるのです。

以前と異なり、いまはインターネットで物件情報を数多く確認することができます。物件を購入しようとする買い手も、インターネットの情報を通して、ざっくりとした相場を把握するように努めるようになりました。つまり昔のように、情報格差を利用して不動産を相場より高く売ることなどできません。

他社より高い査定金額を提示してくる不動産会社ではなく、適切な価格を提示してくる

「正直な不動産会社」

が本当の味方になる時代なのです。

以下記事もご参考までにどうぞ。他社より高い査定金額を提示しようとする不動産会社の実態について書かれています。

【不動産売却】囲い込み(かこいこみ)

物件情報を隠すこと

売主から専属・専任で媒介契約を結んだ不動産会社が、他の不動産業者へ一切物件を紹介せずに、自社に問い合わせしてきたお客さんにしか紹介しないこと。

情報そのものをまったく公開しないパターンと、形だけレインズに登録して、「契約予定です」と言って紹介しないパターンがある。

なぜこうしたことを行うのか理解するためには、不動産仲介会社の報酬体系について理解して置く必要があります。

不動産仲介会社の報酬体系

  1. 不動産購入のお手伝いをする
  2. 不動産売却のお手伝いをする

上記2点しかありません。どちらか一方のお手伝いでもいいし、双方のお手伝いをすることも出来ます。弁護士で言う所の双方代理が認められているのです。

どちらか一方のお手伝いをして、報酬を得ることを業界用語で「片手」と言い、売り手・買い手双方のお手伝いをして報酬を得ることを、「両手」と言います。

手数料収入が2倍になる両手取引

ここまで書けば、もうお分かりの方も多いと思います。不動産会社としては、売り手と買い手、双方のお手伝いした方が、どちらか片方だけ手掛けた時と比べると、報酬は単純に2倍となるのです。ですから不動産会社は報酬が2倍になる両手を目指すのです。

売り手と買い手、つまり購入と売却を同時にお手伝いをすることは、双方の利益を調整することから始まり、単純に作業量も増えますので、片手取り引きに比べると難易度は高くなります。

「売却の依頼を受けて、販売していく中で運良く購入したいお客さんが見つかった」

このような自然の流れで両手取り引きが成立することに誰も異論はないはずです。

両手を狙う悪質さ

しかし、問題なのは自然な流れで両手取り引きになるのではなく、「狙って」両手を目指すことです。「狙う」というのは簡単にいうと、

「他社経由のお客さんには物件を紹介せず、自社経由のお客さんにしか物件を紹介しない」

ということです。

これをされてしまうと、売り手・買い手双方に以下のようなデメリットが生じます。

  • 売り手・・・早期に良いお客さんと契約する機会を逸する
  • 買い手・・・欲しいと思った物件を、扱っている不動産会社を通してしか買えない

このよう「囲い込み」行為は、不動産会社の都合で売り手・買い手の利益が左右されてしまう悪質な行為です。

【不動産売却】営業活動報告書(えいぎょうかつどうほうこくしょ)

営業活動報告書とは?

業界的には「営活(えいかつ)」と呼んだりします。

売却の依頼を受けている物件のオーナーさんに対して、現在の販売状況を報告する書面です。書面ではなくそれ以外の方法(電話やメール)でも構わないのですが、書面で報告することがほとんどです。特に希望がなければ文書になるはずです。

大手は確実に正確に機械的に発行されますが、地元の業者なんかはそこらへんあいまいで、発行していないところが多いです。

記載内容は?

具体的な報告内容としては以下のようなものがあります。

  • どのような広告活動を行ったか
  • 問い合わせの件数
  • 案内件数
  • お客さんの感想

専任媒介は2週間に1度、専属専任は1週間に1度の頻度で報告義務があります。ちなみに一般媒介には報告義務はありません。媒介契約書には報告頻度や、報告する媒体が記されています。

この書面を見れば、売却中の物件が、今どういう状況なのかが一目瞭然です。依頼を受けている仲介業者としては、売り手に現在の販売状況を知ってもらう為の良い材料となります。報告を行うことで互いに共通認識を持つことができ、スムーズな販売活動を行うことが出来るのです。

売るためのプロセスを知ることが大事

しかし、当たり障りのないコメントだけちょこちょこっと書き、業法で定められた報告義務だけを満たすために、ただ出しているだけという不動産会社が多くあるのも事実です。そうした不動産会社にとっては、

「結果、売れれば文句ないんだろう」

という考えなのかも知れません。確かにその通りかもしれません。

ただ、売るためのプロセスも、売却活動の一つであることに変わりありません。しっかりと報告を受けることで、売り手は自分の物件が置かれた状況を正確に把握することができます。値引き交渉があった際や、値下げの提案を受けるか受けないかといったときの判断材料とすることが出来ます。

まとめ

今まさに販売中の売り手もいらっしゃるかもしれません。この報告書からは様々なことが読み取れます。なかなか売れずに困っている方であれば、一度報告書をチェックして、売却活動を見直してみるのも良いかもしれません。

【不動産売却】任意売却(にんいばいきゃく)

任意売却とは?

売却しても借入金を完済できない場合、本来は売却することができません。売却価格が、残債を上回るまで返済を続けなければなりません。それが原則です。

しかし、それが叶わず途中で力尽き、滞納してしまう人もいます。放っておけば競売になってしまいますが、その段階で金融機関と協議をし、認められれば、残債が残っていても売却することが可能となります。

これを任意売却といいます。

任意売却の特徴

競売は入札です。一番高い「札(購入価格」)を入れた人が落札する仕組みです。

通常、競売だと市場で取引される価格よりもかなり安くなってしまうため、落札されたとしてもお金を貸している債権者(*銀行などの金融機関)の回収額も少なくなります。

ところが任意売却は、通常の売却物件と同じような売却活動を行っていくため、市場で取引される近い金額で売却も可能です。回収額が多くなるので債権者はもちろん、債務者(売主)にとってもメリットのある話です。

売却の主導権は金融機関となるので、売主は売却金額などについて希望を言うことはできません。本来であれば物件の売却に主体的に関わることになる売主が全く関われません。

売主が本来負担しなければならない費用がかからない

売却したお金は、全額債権者が回収し、売却にかかる諸経費(仲介手数料、印紙代、登記抹消費用)負担は基本はありません。

引っ越し費用を高く見積もり、売主に再スタートのためのお金を少しでも多く残してあげることができたこともありましたが、今ではそうした小細工も通用しなくなっています。

ちなみに固定資産税やマンションの管理費・修繕積立金などの滞納金は、負担してもらえません。これだけは自力で捻出しなければいけません。

不動産の売却一括査定サイト利用の3つのメリット

メリット1.複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる

単純なメリットとしてはこれです。

知り合いや友達に、気軽に査定を信頼できる不動産関連の人がいればよいですが、そのような人が近くにいる人ばかりではありません。

もし不動産を査定しなければならない事情があれば、まずは誰もが知る大手の不動産会社か、地元で目にする不動産会社に問い合わせをし、事情を話した上で物件の情報を伝え、査定を依頼するしかありません。

査定の結果、その不動産会社と、提示された金額を全面的に信用するのであれば、わざわざ他社に査定を依頼することはありません。

しかし、

「本当にこの査定価格は適正なのか?」

と疑問に感じた場合、どうしますか?

そう思ったときは、セカンドオピニオン的に他社にも重ねて査定を依頼するのがベストです。ところがまた一から査定を依頼する不動産会社を探し、問い合わせをし、査定に来てもらい・・・と、非常に面倒です。

一括査定サイトを利用すれば、査定する事情を話すことなく、こちらが情報を入力するだけで一度に複数の不動産会社に査定を依頼することが可能です。非常に簡単です。

メリット2.査定価格の平均値を取ることができる

何度も書いてますが、不動産の査定というのは

「類似物件の売り出し事例と過去の成約事例を元に算出する予想」

です。

例えばA地域の物件を査定する際には、同じくA地域の条件が似た売り出し事例や成約事例を参考にします。査定する不動産会社が査定に利用するデータに大きな違いは本来生じないのです。

ですから各社、多少の「味付け」程度の誤差はどうしたって生じますが、概ね同じような価格が提示されます。一社だけならまだしも、査定を依頼したすべての不動産会社が、大体同じような価格を出してきたのなら、その数字は信憑性の高い金額だということが分かります。

メリット3.不動産会社を取捨選択できる

査定結果で、不要な不動産会社を排除することが可能です。

メリット2で

「参照するデータが同じなのだから、査定結果に大きな違いは生じない」

と書きました。とはいえ、中には飛びぬけて高い査定をしてくる不動産会社があります。その結果から以下のことが分かります。

  1. 査定に利用する適切なデータを選べない(経験不足)
  2. 確信犯的に高い査定価格を提示(売却の依頼欲しさ)

1.については説明不要でしょう。極端な例を挙げると、A地域の物件を査定するのに、B地域の類似物件を利用するなどです。

2.については、どこよりも高い査定価格を提示することで、依頼者からの売却依頼を取ろうとすることです。不動産の一括査定サイトを「中古車一括買取サイト」と同様なものと勘違いしている一般消費者はまだまだ多いです。

中古車一括買取サイトであれば、一番高い買取価格を提示したところが、その価格で買い取ってくれます。しかし、不動産の査定の場合、上でも書きましたが、査定価格というのはただの予想であり、査定した会社が買取を保証するものではありませんし、成約を約束するものでもありません。

消費者の認識が甘いのをいいことに、あたかも自分たちに任せてくれれば、他社よりも高く売れると思わせる行為を平然と行う不動産会社は、相手にしない方がいいでしょう。

不動産一括査定サイトを利用するメリットの3つ目として、このようないい加減な査定をする不動産会社を判別し、予め排除することができます。

まとめ

複数の不動産会社からの査定価格を収集し、査定価格の平均値を取ることで、信憑性の高い金額を把握することができるのが、大きなメリットです。

マジメな査定行為を行っている不動産会社は多いですが、中には本文で書いたような、自社の利益だけを考えたいい加減な査定をする不動産会社も紛れ込んでいます。

「一括査定サイトに依頼したら、提示された金額がバラバラでどこが正しいのかが分からない。どうしたらいい?」

と、宅建協会の本部に問い合わせをしたお客さんの話を聞いたことがあります。公式なコメントではないとのことですが、その時は、

「下から2番目位の不動産会社を選んでおけばいいんですよ」

と言われたそうです。

つまりあまり高い査定金額は信用するな、ということですね。私もそう思います。ご注意ください。以下の記事はデメリットについてです。あわせてどうぞ。

不動産の売却一括査定サイト利用のデメリットは?

メリットはあるがデメリットは特になし

一括査定の主なメリットは・・・

  • 複数の不動産会社の査定価格を少ない手間で知ることでき、平均値を取ることができる
  • おかしな不動産会社をあらかじめ排除することができる

です。

ただ、デメリットはありませんが、自分の予想よりも安い査定価格で、がっかりすることはあるかもしれません。しかし、適正な価格を把握することが出来たと、むしろ喜ぶべきでしょう。

費用はかかりません

不動産売却の査定はそもそも無料で、費用はかかりません。一括査定サイトを利用しても当然、無料です。費用的な負担は一切ありません。ですから気になるのであれば、どんどん利用しても問題ありません。

ただ、費用はかからないとはいえ、不動産売却の一括査定サイトに参加している不動産会社は、広告料として費用を払っています。査定を依頼してくるということは、どんな事情であれ、不動産の売却をする可能性があるということを公にすることです。

売却の依頼を受けるために営業してくることは確実ですから、予めその覚悟はしておかなければなりません。

査定してくれた会社に売却を依頼する必要はない

また、査定してくれた会社に、必ず売却の依頼をする必要もありません。A~Dの各不動産会社の査定価格だけ聞き、知り合いの不動産会社Eに売却の依頼をすることも可能ですし、はなから売却するつもりがなくても構いません。

遠方の不動産の売却を依頼を受けた不動会社が、手っ取り早くその地域の査定価格を把握するために、お客さんを装って査定サイトを利用することもあります。

まとめ

  • 費用はかからない
  • 売る気がなくても利用可能
  • 査定業者に売却を依頼しなくてもよい

このように、一括査定サイトを利用するデメリットはありません。ただの冷やかしで不動産を査定してもらうほど暇な人はいないでしょうから、実際なんらかの事情があって、いくらくらいで売れるのかを知りたいはずです。最初のとっかかりとして一括査定サイトを利用し、おおよその価格を把握しておくことはよいことです。

しかし、インターネット上の不動産の一括査定サイトの広告は、見る人を勘違いさせるような文言があふれかえっています。例えばこのように。。。

『マンションを高く売るなら、まず査定比較』

『「築○○年でこの値段!?」秘密の不動産査定サイト』

不動産の査定について詳しく知らなければ、

「高い査定価格を提示した会社が、その価格で売ってくれる」

と思ってしまっても仕方がありません。そうではありません!この点、勘違いしないよう十分、気に留めておきましょう。不動産を高く売る方法なんてありませんから。