さ行

事前審査(じぜんしんさ)

「これだけ借りてこの物件を購入したいのだが、この内容で申し込んだら希望通りに借りることは出来ますか?」

ということを、融資本申し込みの前に金融機関に審査してもらうことです。売買契約締結前に行うのが通常で、事前審査を通した金融機関で絶対借りなければいけないわけでも、その物件を絶対買わなければいけないわけでもありません。

「融資OK!」

と金融機関からの承認が得られ、売買契約後の本申し込みで結果がひっくり返ることは余程のことがない限りありませんが、まったくのゼロではないので注意が必要です。

事前審査はどこを審査しているのか?

事前審査は以下の3つの側面から審査を行います。

  • 物件の内容(*担保評価)
  • 借り主の内容(*年収や勤務先)
  • 借り主の個人信用情報(*過去の借り入れ事故歴等)

そのため、金融機関によって事前審査に必要な書類は若干異なりますが概ね以下の通りです。

  • 事前審査の申込書
  • 物件の登記簿謄本
  • 源泉徴収票の写し
  • 健康保険証の写し
  • 身分証明証の写し

その他、別の借り入れ(*キャッシングや車のローン)がある場合などは、借り入れ明細や支払明細、残高証明書。勤続年数が3年未満の場合は簡単な職歴書が必要となります。

事前審査は最初の入り口

不動産購入希望者が物件を探し、気に入ったものが見つかったとします。誰か他の人に取られたくないので、そうなる前に契約したいと考えました。ところが、

「金融機関がお金貸してくれるかはまだ分からないけどこの物件が欲しい!契約したい!!」

と言ったとしても、融資を受けられるかどうかはまだ不確定です。そんな状況で、仲介業者も売り手も取引を前に進めることはできません。不動産会社が今以上にイケイケだった一昔前は、契約ベースで売上計上するところが多いため、月のノルマをどうにか達成させるため、

「融資が通るかどうか分からないけど、とりあえず契約じゃあ~~!!」

というところが多く、契約後、融資が通らないことが原因であっさり解約なんてことが良くありました。しかし、現在は契約前に事前審査を通してから契約、というところが多いです。

事前審査をするためには、上記に上げた源泉徴収や健康保険証などの公的な書類を提出する必要があります。購入前で何も話が進んでいないにも関わらず、こうした公的書類を提出することに抵抗を感じる人がいますが、事前審査は物件を購入するための第一歩です。これをしないことには何も始まりません。

事前審査の承認を取っておくことが武器になることも

物件購入は基本的に早いもの勝ちの世界です。一つの物件に同じタイミングで購入希望者が購入申込書を出すこともあります。事前審査の通しておけば、資金面の裏付けが取れている(*購入資金を借りられることが内定している)ことなので、(*条件次第ではありますが)競合した場合、優先して話が進むこともあります。

また、一度事前審査を通しておけば、借入金額が変わらなければ、物件が変わったとしても、(*例外はもちろんありますが)審査はほぼ通ります。

「一度審査を通した」

というのは、大きな武器にもなるのです。

とりあえず事前審査・・・

セールスの一貫なのかもしれませんが、物件も何も決まってない段階で、事前審査を勧める不動産会社もあるようです。その会社を仮にA社とすると、お客さんBはA社で通したローンは、A社から物件を購入しないと適用されないものだと勘違いするのです。A社はBさんを他の不動産会社に行けないよう、強力にグリップすることができるのです。そういう効果を狙って一時期、

「とりあえず事前審査を」

という不動産会社が多くありました。

事前審査を行うと、金融機関はBさんの個人信用情報を見ます。そしてその

「個人情報を見た」

という履歴は、個人信用情報に残るのです。そうした履歴が何回も残っていると、審査をする金融機関が、

「ああ、この人は片っ端から事前審査をしてるんだな」

と判断して、心象が悪くなる・・・という、嘘かホントか分からない話がありました。

その辺の話を最近(*平成27年5月頃)、複数の金融機関のローン担当者に聞いたことがあるのですが、

「今はほとんど気にしませんね」

ということでした。「今は・・・」というセリフが少し気になります(*以前は気にしていたということか)が、とにかくそうらしいです。ですからあまり気にしなくても良いかもしれませんが、乱発するようなものでもないので、節度ある程度で審査してもらうのが良いでしょうね。

 

相続税(そうぞくぜい)

話を分かりやすくするために基礎控除などの計算は含んでいませんし、金額は極力デフォルメ化してますのでご了承ください。登場人物は以下の二人。

  1. 被相続人のAさん(*Bさんの父親)
  2. 相続人のB(*Aさんの息子)

所有財産は3億円の土地

相続人の現状は?

将来Aさんが亡くなると、3億円の土地を相続するのはBさんです。相続を受けたBさんは、受け取った財産に応じた税金を払わなくてはいけません。これが相続税です。Aさんの生前から、将来の相続税の支払いに備えBさんが納税資金を準備しておけば良いのですが、相続が発生するときというのは、相続人にとって一番お金のかかる時期であることが多いです。ちょうど自宅を購入した頃であったり、子どもの教育資金で手一杯で、何百万、場合によっては何千万もの現金を用意することなどできません。

相続不動産を売却

Bさんは3億円の土地を相続したものの、相続税を収めなければなりません。しかしそのようなまとまった納税資金はないので、土地の一部、もしくは全部を売却し、売却代金で相続税を支払うことにしました。相続税が増税されたことで「相続専門」と謳う不動産会社が増えましたが、その多くはこの場面で発生する不動産売却の仲介を狙ってのものです。

相続税を払うために、相続した土地を売却し、売却代金で相続税を納付。Bさんは借金を抱えることもなく、税金を支払った残りが財産となるのです。この場合、当然、借金が残ることはありません。これがひとつのパターン。

 借り入れを起こす

Aさんは自分の土地をBさんに相続し、そのまま次の世代へと代々受け継いで欲しいと願い、Bさんもそのように思っていました。そこでAさんは存命中に、3億円の土地上に3億円のマンションを、金融機関から借り入れを起こして建築することにしました。この場合、事業主はAさんですから借り入れの名義人ももちろんAさんです。ただ、連帯保証人としてBさんも名義人となります。仮に建築後すぐにAさんが亡くなった場合、残った借り入れ金(*3億円)はBさんが返済していくことになります。

相続税は相続した財産に課税されます。3億円の土地だけ相続したのであれば、3億円の財産を手にしたことになります。したがって、3億円に対して相続税が課税されることになります。しかし、今回Bさんは3億円の建物の借り入れも同時に相続したことになります。プラスの財産とマイナスの財産を相殺すると、今回の場合、相続財産はゼロ、ということになります。ゼロですから、当然相続税はかかりません。ただ、その代わりに3億円の借入金が残る、ということになります。

高額な不動産を維持していくのは難しい時代

  1. 相続した不動産を売却し税金を払う
  2. 借入金を作り相続不動産を維持し続ける

別にどちらが正解という訳ではありません。ただ、どちらが楽かと言われたら、1.の方が絶対に楽です。2.は簡単ではありません。相続税が増加、課税対象が増えたことに加え、人口はどんどん減少しています。借り入れを起こしてアパート・マンションを建てれば、入居者がアッという間に決まり、何もしなくても賃料が振り込まれ、借金があっても維持できていた時代ではありません。アパート・マンションは明らかな供給過剰な状態です。厳しさを増す賃貸市場を土俵にして、何十年にもわたって借入金・入居者・不動産会社と付き合って行く必要があるのです。

「やってみなければ分からない」

確かにそうですが、やってみて厳しさを分かってからでは遅いのです。もし2.の選択をするのであれば、維持していくための覚悟と、知識、そして「大変さ」をどんな形でもいいから身を持って体験しておくことが重要です。

指値(さしね)

例えば5,480万の物件に対して、買い手から「5,200万だったら買うよ」と交渉が入ってくること。いわゆる業界用語。株取引なんかでも使われることがあります。

<使用例>

不動産会社 「(5,480万の物件に対して)申し込みがありましたが、200万の指値が入ってきています」

一般消費者が使うことはほとんどないので、不動産会社から上記のようなことをサラッと言われたとしても、「はあ?」となること請け合いです。

重要事項説明(じゅうようじこうせつめい)

不動産を購入する側に向けて行うこれから契約しようとする物件の重要な事項や、細かい契約上の取り決めを説明すること。説明がかかれた書面のことを重要事項説明書という。所要時間は大体1時間位で、通常契約書の読み合わせと同じタイミングで行うことがほとんど。説明書には売主・買主双方の署名、捺印が必要ですが、買主に向けての説明なので、売主不在で行われることも多い。

運転免許を持たない人が車を運転してはいけないように、重要事項説明を行うには、宅地建物取引主任者試験に合格し、宅地建物取引主任者証の交付を受けた免許者でなければいけません。

法律系資格の登竜門と言われているため、行政書士、司法書士、弁護士などを目指す受験生が腕試しで受けたり、法学部の学生も受けるので、毎年受験者数は大変多いです。登竜門とはいえそれなりの勉強をしないと受かりません。難関資格では決してありませんが、通常業務をこなしながら受かるのはやはり大変です。

会社の上司には合格を義務付けられていて、試験直前には取ってつけたように勉強時間が与えられます。しかし、毎日帰宅時間は日が変わるか変わらないかのギリギリ。月末になれば休みも取れないため、勉強時間はほとんどありません。日々数字に追われる営業マンにとっては焼け石に水でしかないでしょう。毎年試験がある10月が近づくと、カフェや喫茶店で参考書を開くスーツ姿の営業マンの姿が見受けられますが、そうした人を見かけたら「大変だな~」と思ってあげてください(笑)

重要事項説明は後から言った・言わない、の水掛け論を予防するために、ものすご~く細かいことや「当たり前すぎて書く必要もないのでは?」といったことまで回りくどく説明されます。本来大した内容ではないけれど、普段あまり耳にしないような小難しい法律用語で説明されるため、説明がすんなり入って来ません。そのため何から何まで全部気になるお客もいます。

お客さんを不安に思わせることなく、適切に簡潔に、なおかつ外すところは外さず、説明を行える能力が不動産会社には必要だと感じます。

契約日より前に重要事項説明をするケース

契約書の読み合わせ、署名・押印の前に、重要事項説明を行いますが、そのほとんどは契約日当日に行います。契約日とは別に、時間を取って行うところはほとんどありません。

しかし、ただでさえ契約時は売り手・買い手共に、普段体験することのない独特の雰囲気によって気分も高揚し緊張しています。そのような状態でいきなり法律用語や聞いたことのない不動産用語が続出し、どの程度お客さん(*特に買い手)にその説明が響いているのかは不明です。

不動産取引に慣れたプロの不動産会社にとっては、複雑な条項などまったくなく、突っ込む所が何一つない契約だったとしても、お客さんにとっては人生に初めてか多くても数度目かの契約行為です。たいして問題にするようなことではない、些細なことにも、

「一生に何度もない不動産取引」

「失敗できない」

という不安感から、過剰反応するお客さんもいらっしゃいます。それがもとで契約が紛糾することもあります。売り手も買い手も契約をしに来ているので、説明に納得できずに、契約をキャンセルするようなことはあまりありませんが、その時のことが後々まで引きずることは良くあります。事前にしっかりと説明して、疑問点・不明点をなくしておくだけで、契約日当日に気持ち良く取り引きを行えるなら、事前に契約日とは別に重要事項説明だけしてもらっても良いと思います。契約とセットにするものという認識を、不動産会社もお客さんも持っていますが、契約前に行えば良いのであって、「契約と同日に行わなければならない」という訳ではないのです。

しかし、不安とはいえ、担当者とお客さんとの間に信頼関係が築けていれば、当日説明でもなんら問題ないことがほとんどですし、信頼関係をしっかりと築ける担当者が、少々難のある難しい契約を、なんの配慮もなく進めようとするとは、あまり考えられません。重要事項説明を、事前に聞くかどうかは、担当者に対する信頼感をバロメーターにしてみたら良いのではないでしょうか。

事前に説明をしないのはなぜなのか?

そもそもなぜ事前に説明を行わないことが、当たり前のようになっているかというと、下記のような不動産会社の常識、固定観念があるからです。その固定観念が何かというと、

「契約が決まったら、当日までお客さんとは接触しない方が良い」

ということです。

不動産売買は長く時間をかければかけただけ、良い取引が出来るというものではありません。これは良く言われますが、物件や人との「ご縁」みたいなところが間違いなく存在します。その「ご縁」に導かれて、取引を進めることになり、その時お客さん自身が発する「熱気」のようなものに動かされます。

しかし、どんなに悩んで悩んで、納得して決めたとしても、結婚前「マリッジブルー」になるように、ふとした瞬間、

「本当にこの物件でいいのだろうか・・・」

「売ってしまって後悔しないのか?」

と不安に思うことがあるのです。不安に思うと、細かいことが気になり始め神経質になりがちです。

取引をなんとかしてまとめたい不動産会社は、そんな不安定な状態に陥ってしまったお客さんから、不安からくる些細な質問をされて、せっかく契約に向かっているお客さんの気持ちを冷ましたくない。そのままの気持ちで契約に臨んで欲しい。というのが本音なのです。

とある営業マンは言いました。

「契約前にあれこれ説明をして、不安に思わせて買えなくしてしまうのは、お客さんにとっても良くない。せっかく気に入った物件を買ってもらう・売ってもらうのが、お客さんの為であり、我々不動産会社の仕事だ」

と。確かに一理あると思います。

「これは大丈夫ですか?」

「あれは気になりませんか?」

などと不安感を煽るのはもちろん間違いです。そうして取引を行おうとしているお客さんの熱を冷ますようなことは、当然すべきではないと思います。しかし、このように考えることは出来ませんか?

「契約はすっきり気持ち良く、なんの不安もなく行ってもらいたい。事前にお客さんの質問・疑問点に全て答えて、結果契約がなくなるのならそれでいい。それこそ「ご縁」がなかったということ。そうした営業マンの正直な姿勢はお客さんにも伝わると、お客さんとの絆が一層強くなり、仮に今回契約がなくなっても、次回はより気持ち良く取引が行えるはず」

と。私はそう思っていますし、そのように考える不動産のプロフェッショナルが増えると良いと思っています。

専任媒介(せんにんばいかい)

3種類ある媒介契約のうちの一つ。

売却を依頼出来る不動産業者は一つのみで、万が一自身で買主を見つけたら、仲介業者を通して契約をしなくとも良い。専属専任媒介との違いはこの部分と、営業活動報告の頻度のみ。(*自己発見取引が認められている)

依頼を受けている仲介業者は、7営業日以内にレインズへ物件を登録しなければならない。また、2週間に一度のペースで営業活動について報告する義務もある。書面での報告を営業活動報告書という。

【 関連する記事はこちら 】→→→ 「専属専任、専任媒介のメリット・デメリット」

専属専任媒介(せんぞくせんにんばいかい)

3種類ある媒介契約のうちの一つ。

売却を依頼出来る不動産業者は一つのみで、万が一自身で買主を見つけたとしても、仲介業者を通して契約をしないといけない。(*自己発見取引が認められていない)

依頼を受けている仲介業者は、5営業日以内にレインズへ物件を登録しなければならない。また、1週間に一度のペースで営業活動について報告する義務もある。書面での報告を営業活動報告書という。

【 関連する記事はこちら 】→→→ 「専属専任、専任媒介のメリット・デメリット」

査定(さてい)

所有している不動産が、いくら位で売れるのかを不動産会社に調べてもらうこと。レインズに登録されている周辺の成約データや、現在近隣で売り出されている物件の坪単価。またここ数年の路線価や公示価の推移を参考に、最後は不動産会社や担当者の過去の取引経験から金額を提示することが多い。不動産会社にとって査定とは、売却を検討中の売主さんとコンタクトを取ることが目的なので、無料で行うところがほとんどです。ただ、

「相続が発生し、遺産分割するために所有不動産の価格を知りたいので、査定書を3通作って下さい」

などという依頼は、実際に媒介契約を結べる可能性が少ないことから、敬遠されることが多いでしょう。依頼をして断られることはないでしょうが、一番後回しにされますし、提示される金額もおおざっぱなので要注意です。

良く質問されますが、不動産鑑定士が行う「鑑定」と「査定」とはまったく別物。仲介業者が鑑定を出来ないように、鑑定士に実勢に基づいた査定は出来ません。

室内を見ないで周辺環境や取引事例だけを参考に、ざっくりとした金額提示することを「机上査定」。実際に室内を見て行うことを「実査定」と区別しているところが多いようです。

 

複数の不動産会社に査定を依頼することが、必ずしも良い方向に向かうとは限りません。

複数の不動産会社に査定を依頼することが、必ずしも良い方向に向かうとは限りません。

 

「査定=媒介取得の場」ではない

大体どこの不動産会社も、査定は無料で費用はかかりません。ですから、気軽に頼んで良いのですが、実際はその査定が文字通り査定になっていないことのほうが多いのです。どういうことかというと、査定はそっちのけで媒介契約の取得(*売却依頼を受任すること)に各社が走るからです。つまり

「査定訪問=媒介取得の場」

となっているのが現状なのです。

本来、物件のことを正確に調べ上げ、査定金額をきっちりと出そうと思えば、調べることはたくさんあるし、手間と労力は間違いなくかかります。お金を取っても良い位の仕事量が発生するのです。そうした手間暇かかる作業をなぜ無料で行えるのかというと、査定の先には媒介契約取得があるからであり、成約後の仲介手数料があるからです。

売り手が考える価格と査定価格との差

ほとんどの場合、売り手が予想している金額と、不動産業者が査定して出したリアルな査定価格とには差異があります。

「え!!そんなに安いの!?」

と程度の差はあれ、リアルな金額を聞くとこうなることがほとんどです。もう少し高い価格で売れると考えていた売り手にとってはショックな話で、売り手の人柄によっては

「では結構です」

「他を当たります」

と言って追い返してしまうこともあります。そして後から来た別の不動産会社Bが、売り手にとって耳触りの良い相場を逸した査定価格を囁やけば、気を良くした売り手はBにその場で媒介契約を依頼してしまうのです。

売り手に正直な金額を伝えたことで、競合他社に媒介を取られてしまうのならば、その場で売り手の意向に沿った(*耳障りの良い)金額を提示し、その場で媒介取得してしまおうと、査定に行った不動産会社が考えるのは当然です。売り手の顔色を伺いながら、競合他社に話が持ち込まれないため提示する金額が上下するなど、本来の査定ではありません。

媒介契約取得時のやりとり

重ねて言いますが、無料査定を依頼してやってくる営業マンは、査定をしにくるのではなく媒介を取りに来ます。もちろんすべての営業マンがそうではないと思いますが、たいがいこのようなやりとりが行われてます。

お客さん 「いくらくらいだったら売れますかね~?」

不動産会社 「逆にいくらだったら売りたいですか?」

お客さん 「そりゃ高ければ高いほどいいに決まってますよ」

不動産会社 「それならまずはご希望の金額で売りに出してみましょうよ。」

お客さん 「え?そんなこと出来るんですか?」

不動産会社 「もちろんです。売れなかったら費用は一切かかりませんから!」

お客さん 「そうですか!じゃあお願いします。」

というやりとりのあと、媒介契約に署名・捺印を終え、一息ついたときにふと冷静になって考えてます。

お客さん 「・・・希望価格で売りに出すみたいだけど、結局査定金額はいくらなんだろうか?」

このように査定せずに、媒介だけ取って帰ってしまうことが良くあります。上記のやりとりで欠けていることは以下の2点です。

  1. 文字通りの査定(相場に即した高い確率で売却できる価格)
  2. 査定金額を踏まえた上での売り出し価格の提案

正確な価格を売り手が理解していれば、いくらで媒介契約を受任しようがまたは依頼しようが、互いが納得すれば問題ありません。しかし、売り手心理というものは難しいものです。仮に1.でいうところの査定価格を聞き、自分が希望する価格と差があると認識したとしても・・・。

実際、自分の希望する価格を記入した媒介契約書にサインし終えると、いつのまにか売り手は正確な査定価格を聞いたにもかかわらず、「記入した希望価格で売れるのだ」と錯覚、勘違いしてしまうのです。

時間が許す限りは、希望の価格で出すのは全然構いませんし、いくらで売りに出すのかは不動産所有者の自由です。ただ、

「実際に高確率で売却できる価格は、自分の希望とはかけ離れている。しかし、売り急いでいる訳ではないので、まずは希望の価格で売りに出してもらっているだけなのだ。」

という現実を忘れないようにしておきましょう。

セットバック

家を新たに建てる際は、「4m幅の道路に2m以上接していないければいけないと、建築基準法で決められています。災害時や火災の際に、緊急車両が通れないようなところは危険だ!という考えから、こうした法律が出来たようです。

しかしそんな法律やルールがない時代に建築された建物って、未だにたくさんあります。法律で決まっているからとはいえ、行政も、

「建築基準法に違反してるんだから至急建てなおせ!」

なんてことは当然言えません。だから

「現状はそのままで結構ですよ。だけど・・・次、建てる時(再建築時)には前面道路が4mになるように、あなたの土地を道路に提供して下さいね。そうしないと家を建ててはいけませんよ!」

という制限・取り決めがあります。それをセットバックといいます。

そんな制限があることを知らずに土地を買ってしまったら大変です。だって、自分の土地(だと思って買ったのに)を無償で道路として提供しないといけないのですから。ですから、どの不動産会社の販売図面にも

  1. セットバックの有無
  2. セットバックされる面積
  3. セットバックされた後の有効宅地面積

の記載が必ずあります。「土地の広さの割には安いな!ひょっとして掘り出し物か!?」と思うこともありますが、良く見てみるとセットバックでごっそり持っていかれる予定で、実際の有効宅地面積は坪単価並みだった・・・なんてうっかりミスもすることがありますので、十分ご注意ください。

セットバックを分かりやすく図にするとこういうことです。

現況3m幅員の道路に接している宅地Aの場合

現況3m幅員の道路に接している宅地Aの場合

道路の幅員が3mなので、4mまで1m足りません。宅地Aが再建築の時は、道路の真ん中を中心にして0.5m分、宅地Aの土地の一部を道路に提供します。

宅地Aが建て直し時、土地の一部を道路に提供

宅地Aが建て直し時、土地の一部を道路に提供。その分だけ、宅地Aの有効宅地面積は減少します

 

宅地Bが再建築の時は、宅地Aの時と同じく、0.5m分、宅地Bの土地の一部を道路に提供します。

宅地Aに続き、宅地Bも再建築。道路の一部を道路に提供

宅地Aに続き、宅地Bも再建築。道路の一部を道路に提供

 

この道路に接しているすべての建物の建て替えが済めば、いずれは3mしかなかった道路も4m幅の道路になる、というなんとも気の長いお話です。

ちなみに反対側が家ではなくて、動かせない川なんかだと、中心線から半分の0.5mではなく、まるまる1m下がらないといけないので要注意。

 

4mにするには宅地Aが1m分、道路に提供するしかない

4mにするには宅地Aが1m分、道路に提供するしかない

 

セットバック5

一方後退という。なんだか損した気分

重要事項報告書(じゅうようじこうほうこくしょ)

管理会社が発行する、マンションの管理内容の詳細が記載されている書面のこと。「重要事項の調査報告書」「管理に係る重要事項報告書」とも呼ばれる。記載内容は以下の通り。

  • 管理費・修繕積立金等の月額
  • 管理費・修繕積立金等の滞納額
  • 修繕積立金の総額
  • ルーフバルコニーやテラス、駐車場、駐輪場の使用料
  • 管理費・修繕積立金等の改定の予定の有無
  • 管理人連絡先
  • 大規模修繕工事の予定の有無

その他管理会社によって内容は若干違いますが、上記は大体どこの会社でも記載があるはずです。重要事項説明書には、この書面の内容を記載する箇所があり、契約の添付書類としてこの報告書は買主に交付されます。

借地権(しゃくちけん)

文字通り、土地を所有するのではなく、「土地の所有者である地主から土地を借りられる権利」のこと。

借地権には旧法と新法がありますが、旧法の借地権は借地権者(土地を借りている人のこと)の権利が非常に強く、「1度貸したら2度と返ってこない!」と、地主さんの評判はすこぶる悪い。例外ももちろんありますが、原則地主が借地権の更新を拒否することは出来ないからです。借地権のメリットとデメリットは以下の通りです。

【メリット 】

所有権と比べて、安い価格で広い土地を手に入れることが出来ますし、土地を所有する訳ではないので、毎年の固定資産税もかかりません。地代を毎月払うことになりますが、固定資産税は国へ支払う地代のようなものです。

もちろん年間の固定資産税額と、月々の地代を比べると額は全然違いますが、土地を所有しても借りても、結局は維持費がかかるということです。

【デメリット 】

更新の時期には地主に対して更新料がかかりますし、家を建て直す時にも地主の承諾が必要です。例えば借地権の土地上に新しく家を建てようとした場合、「木造のみ」「鉄筋・鉄骨はNG」「賃貸住宅はNG。あくまでも個人住宅」「2階建じゃないとNG」などと、様々な条件が付いてくることがほとんどです。借地の条件変更を求めることは出来ますが、地主にダメだと言われたらそれまでで、仮に認められたとしても条件変更料を求められます。

条件変更を求めて裁判を起こせば、地主の承諾に代わる許可が裁判所から出ることもありますが、地主との関係はその後もずっと続きますし訴訟費用もかかります。さらに一般の人にはなかなか理解しにくいため、通常の所有権物件よりも、市場での流通性は良くありません。将来売却する時に苦労するかもしれません。

借地権に手を出す際は、上記のメリット・デメリットを良く理解してからにしましょう。充分注意が必要です。

住宅用家屋証明書(じゅうたくようかおくしょうめいしょ)

国が定める耐震基準を満たしていることを証明する、市区町村が発行する書面のこと。この書面があると所有権移転時にかかる登録免許税が安くなる。

「国が定める耐震基準を満たした居住用の住まいを買うんだから、税金安くしてよ」

ということ。適用条件は、建物面積及び専有面積が50㎡以上であることと、耐火建築物(鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造)であれば・・・「建築後25年以内であるか、国土交通大臣の定める安全性基準に適合すること」。耐火建築物以外(木造)であれば・・・「建築後20年以内であるか、国土交通大臣の定める安全性基準に適合すること」

その物件が「耐震基準適合証明書」を取得できていれば、「国が定める安全性基準に適合すること」に当てはまる。

測量(そくりょう)

土地の大きさを測ること。細かく言うと自分の土地に接している土地の所有者と立ち会って、「私(*測量依頼者)とあなたの土地境はここですよね?」と確認して面積を確定すること。土地境を証明する石や鋲など目印のことを境界という。この作業を行うのは土地家屋調査士もしくは測量士。当然、費用がかかります。しかも大事な作業ですから、売却に係る費用では、仲介手数料に次いでに高額です。

売却にかかる費用として、最初からアナウンスがあったとしたら話は別です。だけど契約が決まってあとはのんびりと引き渡しを待つだけ、という段階になって急に、

「測量をする必要がありまして・・・費用が○○万かかります」

と言われたら売り手としては当然

「はあ!?そんなこと聞いてないよ!(怒)」

って当然、なると思います。本来、土地・戸建ての売却では、必要の有無に関わらず、売却経費として測量費用は考えておくべきです。する必要がないのであれば、それに越したことはありません。土地・戸建てを売却中で、仮に不動産会社から測量する必要性や、費用を聞いていなかったとしても、心づもりとして、

「測量費用が掛かるかもしれない」

という認識は持っていた方が良いでしょう。測量の重要性や必要性を説明していないというだけで、不動産会社としては失格だと思いますけどね。

余談ですが、土地を測るというのは、豊臣秀吉の太閤検地が元になっていると言われてます。遠い昔から形を変えて今に続いているということに、歴史のロマンを感じますね!

修繕計画(しゅうぜんけいかく)

建てては壊す、バブル時代の「スクラップアンドビルド」から、今ある不動産を大切に使っていく、「不動産のストック化社会」に向かいつつある今、マンションにおいては、「管理」というのがより一層重要視されてきています。

そもそもマンションを選ぶ際、何より大切なのは、「立地」「管理」です。築年数が古くても管理が行き届いていれば、金額が大きく下落することはありませんし、今後もその傾向は続くはずです。

管理の中で特に重要な項目として、「修繕計画」というのがあげられます。長期的な観点からマンションをみて、何年後にどのような大規模修繕を行うのかを、あらかじめ計画するのです。

この修繕計画がきっちりと実行に移されていれば、適正に管理されているということで、マンションの老朽化が急速に進むこともありませんし、修繕積立金の急激な値上げもあまりないはずです。大手の管理会社はさすがにそのあたり良く考えられていて、非常に緻密に修繕計画が建てられていることが分かります。物件を仲介する人間としてもとても安心です。

マンションの販売図面などには、決まり切ったように間取りや広さ、陽当たりや眺望、分譲会社がアピールポイントとして書かれています。しかし、ストック化がより進んでいく今後は、

「どこの管理会社が管理を行っているのか?」

というところに、より一層お客さんの目が向くようになるのではないかと思ってます。例外はありますが、基本的に物件は買った瞬間から下落します。良質なマンション管理を適正なタイミングで行っていけば、その下落幅を出来るだけ少なくすることができ、マンションという財産を守る最も有効な手段の一つとなるでしょう。

住所変更登記(じゅうしょへんこうとうき)

売主の住民票・印鑑証明などに登録されている住所は、権利証(*登記識別情報)に記載されている住所と同じでなければいけません。違っている場合、権利証上の住所を、現在の住民票・印鑑証明書上の住所に書き換えなければいけません。それを住所変更登記といいます。決済当日、買い手に所有権を移転する前に行います。。なぜそんな回りくどいことをするのかというと、売主がその不動産の所有者本人であることを確認する(した)ためです。

住所が違っていたとしても、仮に1回しか住所が変わっていなければ、現在の住民票を取れば以前の住所が記載されているので、今の権利証上の住所と「繋がる」ので本人だと確認はできます。しかし中には、2回、3回と変わっている人もいます。その時、必要となるものが

「戸籍の附表(ふひょう)」

です。あまり聞きなじみがないですが、住民票と同じく役所で取得することが出来ます。住民票は一つ前の住所までしか出てきませんが、戸籍の附表はさらにその先まで追いかけることが出来ます。

一般的には、新しく不動産を購入する時には、新しい住所(*つまり購入した物件の住所)で登記するのですが、中には様々な事情によって、以前住んでいた住所で登記することもあるのです。新しい住所で登記しなければならないという決まりがある訳でもありません。費用は約3万円前後です。

修繕積立金(しゅうぜんつみたてきん)

管理費と共に所有者から毎月積み立て、マンションに修繕が必要となった時のために貯めておく積立金のこと。通常は管理会社が修繕計画を作成し、それに基づいて金額が決められたり、値上げがされたりする。

充分に積み立てられていなければ、大規模修繕の際、予想以上に費用がかかることになった場合、掛る費用を積立金だけでは賄えなとということも考えられます。万が一足らなくなった場合は

  1. 管理組合名義で金融機関から融資を受ける
  2. マンションの住人で負担することになる

上記のような対応策をとることになります。

以前、修繕積立金の一部負担が発生する予定のマンションの売却を行いました。その時の負担金が約300万と、大変高額だったこともあり、売却できるまでに大変時間がかかり、ずいぶん苦労しました。修繕積立金の一部負担があることは、あらかじめ告知事項として伝えておかなければいけません。販売に時間を要したのは、負担金が高額ということもありますが、

「今後もまた同じようなことになるのでは?」

「長期修繕計画が適切に守られていないのでは?」

と消費者を不安にさせてしまったからです。

新築や築浅のマンションは、所有者の当初負担を減らす為に、安く設定されていることが多いのです。最初のうちはそれで問題ないでしょうが、いずれ値上げで対応せざるを得ません。管理費と同じく安いからと言って喜ぶポイントではありません。そうした背景もあり、最近になって国土交通省が、修繕積立金の目安額を示すガイドラインを公表しました。上記のような工事費が積立金内で賄えないケースが多発しているからです。

今現在は㎡あたり200円が目安となっているということです。消費者が購入しようとするマンションの積立金が、適正かどうか判断する為の材料になれば良いことですね。

マンションの購入を検討される方は、

  • 修繕積立金総額がいくら貯まっているのか?
  • 目安と比較して高いのか?安いのか?

良く調べることをお勧めします。マンション購入の材料の一つに出来ますよ。

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