あ行

空家対策特別措置法(あきやたいさくとくべつそちほう)

近年、社会問題化しつつある、「放置空き家」問題を、是正するための法案です。法案の内容は以下、「NHK NEWS WEB」の記事から引用します。

国会

市町村が固定資産税の情報を利用して空き家の所有者を迅速に把握できるようにすることや、所有者が分からない場合でも、倒壊のおそれなどがある空き家に立ち入り、危険性などを調査できることなどが盛り込まれています。

さらに、市町村が必要と判断した場合、空き家の除去や修繕を所有者に命令できるほか、命令に従わなかったり、所有者が分からなかったりする場合は、市町村が強制的に除去できるとしています。(引用元:NHK NEWS WEB)

つまり空き家をほったらかしにしておくと、行政が所有者を特定し、所有者に対して建物を撤去するよう指導したり勧告したりして、それでも従わない場合に初めて強制撤去が可能となるそうです。また、空家ならどんなものでもいきなり撤去されるというわけではありません。「特定空家等」に該当される場合に限られるということです。

この特別措置法が可決されるより前に、行政による強制執行を可能とする条例を定めた自治体もいくつかあるようですが、実際に強制執行まで行った例はあまりないようです。各自治体は、

「憲法で認められた財産権の侵害に当たるのではないか」

との危惧を持っていて、訴訟リスクを恐れているからだといいます。また、解体となるとその費用を税金で賄うことになりますが、本当に所有者から回収することが出来るのか?などと考える自自体もあります。解体費用を所有者に請求しても払わない場合、競売もしくは任意売却で解体費用を回収するしかないのでしょうが、すべての空き家が「売れる・売却できる」空き家ばかりとは限りらないからです。再建築も出来ず、需要もない「売れない」空き家の方が、全国的には却って多いのではないかと。

行政から是正勧告に、所有者がすんなりと従ってくれればそれで済むのでしょうが、残念ながらそうした所有者ばかりではありません。解体しようにも費用の問題や個々の事情で従えない所有者も当然出てくるでしょう。従って、法律が施行されたとはいえ、行政が特定空家等にあたる空き家を、かたぱっしから解体していくことは不可能です。

行政・自治体としては、競売や任意売却にで対応できる空き家にのみ適用していくのではないでしょうか。つまり「売れる」空き家のみが、行政代執行の対象となってくるのではないかと予想します。地域格差の拡大に、より一層拍車がかかりそうな事態を、しばし注視していきたいと思います。

オープンルーム

  • 現地販売会
  • 現地即売会
  • オープンハウス
  • オープンルーム

など、言い方は多々ありますが、不動産業界では「現地会」と呼ぶことが一般的です。通常、見てみたい物件があれば、事前に取扱不動産会社に連絡を入れ、案内の日時を決めたうえでなければ、内見することができません。

しかし、オープンルームというのは、事前の予約もなしに、直接物件に向かえば営業担当者が常にいて、フラッと内見することができるのです。周辺への告知は当日の新聞折り込み広告や、前日までにポストに投函されるチラシで知らされます。基本は、所有者が既に住んでいない空き家で行うことが多いですが、場合によってはその日だけ売り手に外出してもらい、家具もなにもかもある状態でオープンルームを開催することもあります。

不動産会社とオープンルーム

オープンルームを開催し、何らかの成果が出れば良いのですが、お客さんが一組も来てくれなかったりすると、その日一日、他の仕事は全く出来ないので、何も成果がない一日となる恐れもあります。お客さんにとっては気軽に物件を内見できる良い機会ですが、不動産会社としては、戦略的にちゃんと考えてやらないと、貴重な週末のかきいれどきが無駄な一日で終わるリスクがあります。

キャリアのある営業マンは、週末お客さんの接客で忙しいので、入社したばかりの新人が現地にいることが多いです。一日中現地に立ち続け、お客さんが来たら資料を渡し連絡先を聞く。2,3組の連絡先が入手できれば、現地会の成果としてはまずまずです。その後はベテラン社員が新人に替わってお客さんをフォローする、という仕組みです。

物件を見たその場で、

「気に入った!これに決めるよ!」

なんて人が出てくる可能性は、例え現地にいたのが入社したばかりの新人だったとしても少なからずいます。では、その営業マンが新人離れしたものすごい営業力を持っていたのかと言うと、そういうわけではありません。以前からずっと探していた人の購入意欲が、現地会をやってたそのタイミングでちょうどMAXになっていただけで、現地にいたその新人営業マンにとっては、ただ運が良かっただけです。

運が新人営業マンの将来を左右する

運が良かっただけで、その新人営業マンの実力でも何でもありませんが、不動産業界は運が良い悪いを非常に重要視します。現に知識もキャリアもなんにもないけど、「引き」が異様に強くて、入社数か月でうだつの上がらない先輩社員をごぼう抜きにしてしまう、スーパールーキーが現れます。社長や支店の責任者も

「あいつは引きが強い!」

などと言ってその新人をちやほやしだし、新人もそれに気を良くします。歩合給ですから給料も右肩上がりで増え続け、ちょっと頭が狂いだします。ロレックスの時計をこれ見よがしにはめてみたり、ヴィトンの財布を持ち歩いたりし始めます。小金が手に入るとなぜみんな同じような行動を起こすのでしょうか。

「俺はすごい!」
「不動産業なんてちょろい!」

と勘違いを始めるのです。

しかし、これはただのビギナーズラックでしかありません。そう何度も続くものではありませんし、運だけで続けていけるほど、不動産の仕事は楽ではありません。そのうち現地会だけでは決まらなくなってきます。この段階で、もっと地道な営業方法を学んだりして軌道修正出来れば良いのですが、そう簡単ではありません。最初のちょろい成功体験がいつまでも忘れられず、常に一発勝負の現地会に活路を見出そうとします。

当初の甘い蜜が忘れられないため、地道な営業努力や不動産知識を習得することがばかばかしくてやってられないのです。結果、不動産営業としての基本を何一つ身につけないまま、戦略もなにもない一発勝負の不毛な現地会だけを繰り返すことになります。

ちやほやしていた先輩たちの目も次第に冷たくなり、そのうち会社にもいずらくなり、その後一時のバラ色の思い出を胸に、辞めていく新人営業マンがものすごくたくさんいます。

私の場合は・・・

初めて不動産会社に入った時、残念ながら私は「引き」が全く強くありませんでした(汗)。なかなか契約が出来なかったのに、同じ時期に入った同期数人は、私と同じく知識も経験もないのに、立て続けに契約を交わしていました。私一人未契約、と言う時期が続きました。

順調に契約件数を伸ばす同期をうらやましく思いましたし、ものすごく焦りました。なんとかしようとほんと~~~に色々考えたり、先輩にどうやったらいいのかを聞いたりして一生懸命でした。

そうこうしているうちに、私も成果が上がりはじめ同期との差はなくなり、いつのまにか私以外はみんな辞めてしまい私だけが残りました。その後は順調に売り上げを伸ばしていくことが出来ました。今となっては、契約が出来ずに悩んだ時期に学んだものが、今でも私の仕事のベースになっています。

オーナーチェンジ

所有者が人に貸して賃料収入を得ている物件を、そのままで状態(賃借人が入居中のまま)売却すること。入居者が退去したあとでなければ住むことは出来ないので、購入者は賃料収入を手にする目的(投資用)で購入する。

また、入居者が住んでいるので、購入前に室内を確認することは基本的に出来ない。ただし、入居者の同意があれば可能。

上記のような理由のため、オーナーチェンジ物件は一般の居住用の物件に比べ、流通性が低くく割安なことが多い。

そのため入居者と立ち退き交渉を行い、退去してもらってからリノベーションして、居住用不動産として売却を考える買取業者や、退去後に自宅として使う目的で購入する人もいる。

一般媒介(いっぱんばいかい)

3種類ある媒介契約のうちの一つ。複数の不動産会社に売却を依頼出来る。仲介業者は、営業活動報告を行う必要やレインズへの登録義務もない。

<一般媒介のメリット>

売却の窓口を複数(いくらでも)作ることが出来るので、依頼された不動産会社がぼやぼやしてると、他社がさっさと売ってしまいます。良い方向に進めば、多数の不動産会社が他社に負けじと、積極的に販売活動を行うので、短期間で成約に至る可能性が高いです。例え声をかけた不動産会社のうちの一社が、積極的に売却活動をしなかったとしても、競合他社が動いてますので、あまり影響はありません。

人気の地域や有名なマンションなんかだと、業者間の競争意欲を掻き立てるということで、(査定金額が間違っていなければ)一般媒介の受ける恩恵はそれなりにあると思います。

ただ、上記のようなメリットが生まれるのは、一般媒介だろうがなんだろうが、媒介契約を結びたいと思わせるような、人気のエリアや有名マンションです。なおかつ売出価格が適正で、情報を出せば早々に売れるであろうと判断された物件です。

ですから、「売却に時間がかけられるので、最初は少し高めに出したい」となると、じっくりと腰を据えて売却を行っていかなければならないため、短期間で競争意欲を掻き立てて・・・、といったような一般媒介のメリットはほとんど期待できません。かえってデメリットばかりになってしまいます。

<一般媒介のデメリット>

1.複数の不動産業者が窓口になることで、同じ物件がさらされることになる。

短期間であるなら良いですが、3か月以上、同じ情報が複数の不動産会社から出されていると、消費者は、「良く目につく物件」=「にも関わらず売れてない物件」=「売れ残り物件」という論法で勝手に判断します。どんな商品でもそうですが、希少価値を感じられなくなると、途端に売れ行きは悪くなります。

2.不動産業者同志による足の引っ張り合い

媒介契約中の不動産会社が、互いに他社の動きをけん制しながら動くため、成約に至るための有意義な提案などはしてきません。なぜなら、自分のところで値下げの提案を行って、余所の会社で決まってしまっては、他社の成約をアシストした結果になってしまうからです。また、仮に値下げの提案をしてきたところで、他社が「まだちょっと早いんじゃないんですか~?」と、値下げ提案した業者に、良い格好してほしくないために、反対してくる場合もあります。専属専任に見られるような、囲い込みの心配はありませんが、こうした足の引っ張り合いもデメリットの一つです。

3.積極的に動かない

専属専任専任媒介は、メリットの一つして、依頼された不動産会社が一生懸命動く!と書きました。一般媒介ではすぐに売れない物件だと分かると、「余所も販売してるから・・・」と、積極的に販売活動を行わないところも多くあります。広告を出したりするにも費用は掛かりますが、出した結果、他社で決まってしまっては、その広告費用の回収も出来ないからです。

・・・とまあ、メリットよりもデメリットの方が多くなってしまいましたが、もちろん一般媒介でも、専属専任の時と変わらず一生懸命活動する不動産会社もあります。全ての不動産会社がこれに当てはまるという訳ではありません。

一般媒介の注意点

一般媒介だからこそのメリットを実感できるのは、販売を開始して1か月程度です。しかし、1か月そこらでは売れずに、じりじりと焦りだしたときに陥りやすい考えが、「あれだけの不動産会社に声をかけているのになんで?」「ひょっとしたらもっと声をかけた方がいいのではないか?」というものです。

こうした考えは全くの間違いです。一般媒介で多数の会社から出ている物件のことは、当然どこの不動産会社も知っています。「のべつまくなし声をかけている物件の売主さん」として、マイナス面で有名になってしまいます。そうなってしまうと、たとえ声をかけたとしても、形ばかり依頼を受けるだけでどこも一生懸命販売しない、ということになりかねません。何社にも依頼することは出来ますが、お願いするにしてもせいぜい3社程度に収めておくのが良いでしょう。

ですから、ここは逆転の発想が必要です。つまり依頼をした複数の不動産会社のうち、一番マメに行動し報告してくれた一生懸命だった会社に、専属専任専任媒介に切り替えるのです。他社との競業にも関わらず一生懸命動いてくれた実績がありますし、不動産会社はその実績を売主が認めてくれたと意気に感じて、より一層力を入れて販売してくれることでしょう。

売り手がこうしたメリットとデメリットを理解しておくことが、何より重要なのではないかと思います。

営業活動報告書(えいぎょうかつどうほうこくしょ)

業界的には「営活(えいかつ)」と言ったりします。

売却の依頼を受けている物件のオーナーさんに対して、現在の販売状況を報告する書面です。書面ではなくそれ以外の方法(電話やメール)でも構わないのですが、書面で報告することがほとんどです。メールやFAX、電話でも報告は可能です。特に希望がなければ文書になるはずです。大手は確実に正確に機械的に発行されますが、地元の業者なんかはそこらへんあいまいで、発行していないところが多いです。具体的な報告内容としては以下のようなものがあります。

  • どのような広告活動を行ったか
  • 問い合わせの件数
  • 案内件数
  • お客さんの感想

専任媒介は2週間に1度、専属専任は1週間に1度の頻度で報告義務があります。ちなみに一般媒介には報告義務はありません。媒介契約書には報告頻度や、報告する媒体が記されています。

この書面を見れば、売却中の物件が、今どういう状況なのかが一目瞭然です。依頼を受けている仲介業者としては、売り手に現在の販売状況を知ってもらう為の良い材料となります。報告を行うことで互いに共通認識を持つことができ、スムーズな販売活動を行うことが出来るのです。

しかし、当たり障りのないコメントだけちょこちょこっと書き、業法で定められた報告義務だけを満たすために、ただ出しているだけという不動産会社が多くあるのも事実です。そうした不動産会社にとっては、

「結果、売れれば文句ないんだろう」

という考えなのかも知れません。確かにその通りかもしれません。しかし、売るためのプロセスも、売却活動の一つであることに変わりありません。しっかりと報告を受けることで、売り手は自分の物件が置かれた状況を正確に把握することができます。値引き交渉があった際や、値下げの提案を受けるか受けないかといったときの判断材料とすることが出来ます。

今まさに販売中の売り手もいらっしゃるかもしれません。この報告書からは様々なことが読み取れます。なかなか売れずに困っている方であれば、一度報告書をチェックして、売却活動を見直してみるのも良いかもしれません。

インスペクション(住宅診断)

建物診断の事。ここ数年、今までのような、「建てては壊す」というスクラップアンドビルドを見直そうという動きが強くなってきている。資源を有効活用するために、中古住宅を再生して流通させる仕組みが出来始めている。具体的には構造上何か問題がないか?耐震強度は大丈夫か?などを調査すること。

中古住宅の流通を促進する為の試みだが、現状は完全に普及されているとは言い難い。まず売り手と買い手、どちらが費用を負担するのか、ということだが、今現在は希望する買い手が自己負担で行うことがほとんどだ。確かにこれから売る自宅や不動産に、売り手自ら費用をかけて診断を行うとは中々いきません。

仮に買い手負担でインスペクションを行いたいとしても、買うか買わないか分からないお客さんに売却物件の「あら」を探すようなことはして欲しくないというのが、売り手のまっとうな心情だ。測量仲介手数料などのように、売却にかかる諸経費の一つとして認知されるようになれば、より普及してくるのではと予想する。費用はまちまちだが、建物診断というオフィシャルな資料があるかないかは、購入を検討するお客さんにとっては、背中を後押しする強力な武器になることは間違いないと思う。コストパフォーマンスは極めて高いと感じる。

そのような背景もあり、売主が事前にインスペクションを実施し、建物に問題ないという公式な裏付けを取った上で売却に出すということも増えてきている。

<平成27年4月27日発刊、日本経済新聞より>

2015-04-27 16.51.16

専門家が劣化状況を調べる住宅診断を徹底し、仲介業者に販売時の説明を義務付ける。購入後に欠陥が判明するケースを防ぐ。~中略~ 少子高齢化で空き家が増えており、資産価値の高い中古住宅の流通を促す<平成27年4月27日、日本経済新聞より引用>

来年の通常国会に、宅地建物取引業法改正案を提出すると新聞記事に出ていました。

不動産会社単位で、売却物件に住宅診断(インスペクション)を行っているところはありますが、法案化されると、不動産仲介業者に診断内容を報告する義務が生じます。重要事項説明書に説明箇所を増やすことで対応しようとしているそうです。

住宅診断の費用をどちらが負担するのかなど、詳細はまだ決まっていませんが、普通に考えれば売り手側で負担することになるのではないでしょうか。売り手側の諸経費が、住宅診断分増えることになります。その点、売り手はどう思うのでしょうか?気になるところです。

買い手は安心感を得ることができ、あくまでも案ですが、住宅診断通り欠陥がなければ、買い手に修繕請求権を放棄させることも考えられているそうです。売り手にもメリットがある話です。

中古住宅の流通を促進させる狙いがありますが、住宅診断によって建物の真の実力が浮き彫りにされるともいえます。いままで当たり前のように売れていた物件が、診断結果によっては

「とてもじゃないが売れる状態ではない」

「安くしないと売れない」

という側面が出てくる可能性があることにも注目していきましょう。

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