不動産売却

限定チラシの甘いワナ

★○○マンション限定でお探しの方がいらっしゃいます

お客様は現在、関西の某大手メーカーにお勤めです。この度、長年の念願がかない、転勤で生まれ育ったこの街に戻ってくることになりました。近隣にご高齢のご両親がお住まいで、目が行き届くこちらのマンションを是非購入されたいと希望されています。予算は○○万で、広さは70㎡以上。間取りは3LDKをご希望ですが、リフォームをする予定なので、現状の間取りは気にしません。本気でお探しのお客様ですから、冷やかしでのお問い合わせはご遠慮願います。

もしくは、

★50坪以上の土地を探しています

大手法人が社員寮として広めの土地をお探しです。社員寮なので、駐車スペースを作る必要はなく、道幅は狭くても構いません。予算については○億ほど確保されていますが、決算が近づいているため、良い物件なら大幅な予算アップの可能性もあります。

はい、このような内容のチラシ、目にしたことありませんか?いわゆる「限定チラシ」というやつです。売却を検討中、もしくは良い金額で売れそうなら住み替えも考える・・・という人にとって見たら、魅力的なオファーに見えるんでしょうが、こうした内容の98%がほぼウソですからご注意ください。

こうした内容のチラシが頻繁に自宅ポストに投函されていると、

「うちのマンション、えらい人気あるな」

「随分、たくさんの人がこの地域に住みたいと考えてるんだな~」

と、思ってしまっても仕方ありません。確かに

「売主さん、求む!」

「売り物件を探しています!」

といった内容よりも、

「こんな物件探しているお客さんがいます」

チラシの方が、問い合わせが目を引きますよね。さらに内容に真実味があればあるほど効果は増すのです。決してほめられた行為ではありませんが、とはいえ、私も人のことは言えず。。。駆け出しのころはこうした内容のチラシを作成したこともありますし、直筆の手紙を書いたこともあります。直筆手紙の効果はすごいので、なりふり構っていられない新人時代は良くやっていました。実際に、そうした「ウソ」のチラシがきっかけで仕事になったことが何度もあります。

もちろん、仕事になったとはいえ、チラシに書かれた内容のお客さんがいるわけではないので、どこかでつじつまを合わせが必要となります。

「お客さんに内容を伝えさせて頂いたのですが、少し条件と違ったようです」

「思ったより会社の予算が上がってこなくて断念されたようです」

などと、適当な理由づけでダメだった旨を伝えなければならないのです。内容を信じていたお客さんを心底がっかりさせたことも、ウソを見抜かれて怒鳴られたこともあります。今思い出しても色々と胸が痛みます。私がやっていたのは10年以上前の話なのですが、未だに同じような手法が行われているというのは、不動産会社も進歩ないですね。

ただ、「98%ウソ」と書きましたが、ごくわずかですが本当に探しているお客さんがいる場合があります。良くあるパターンとして、検討してたマンションをタッチの差で他の人に買われてしまい、

「逃した魚はでかく見える」

心理も働き、どうしても同じマンションで欲しい!という熱い希望を持ったお客さんなんかのときです。

★○○マンションの2階以上を限定で探しています!

以前から検討されていたお近くにお住いのお客様です。数年前から当地域にお住まいで、お子様の学区を変えたくないため、予算・エリア・間取り含めて当マンションが最適です。以前、当マンションで売りに出ていたお部屋を何度も内見し、購入前提で話を進めていたのですが、タッチの差で他の方に買われてしまいました。本当に当マンション限定です!もし売却をご検討の方がいらっしゃれば一度お話だけでも聞いて頂けないでしょうか?

このような内容のチラシを作成することになるのですが、本当かウソかの区別ははっきり言ってつきません。ウソ・偽りのない「本当の限定」(変な言葉)なのですが、こういう時に限ってほとんど効果がないものだから困ったものです。ウソはいけない、ということです。

「高く売りたい!」と願う売主が陥りやすいワナ

不動産会社に査定してもらったとしても、その査定価格を参考にせず、あくまでも自分の希望する価格で売りに出す売り手は多くいます。それ自体は決して悪いことではありません。なぜなら不動産会社は売れるであろう金額を提案するだけで、いくらで売却するかの判断は、物件の所有者である売り手の自由です。

ですから例え売れなかったとしても、売り手が希望する価格と、査定価格がどの位乖離しているのかを理解した上でそうしているのだから、不動産会社が売れないことを理由に非難されることは本来はないはずです。

しかし、自らが希望した売却価格にもかかわらず、成約に至らないことを不動産会社の怠慢に結び付けてしまう売り手も存在するのです。そのように考える売り手が次に取る方法は他の不動産会社Bにも声をかけることです。そしてBでも希望する成果が得られないと、今度はさらにCという別の不動産会社にも重ねて依頼するのです。

こうして売れない理由を全て不動産会社の力不足にし、どこかに自分の希望する価格で売却してくれる

「営業力に優れた不動産会社」

や相場以上の金額で売却してくれる、

「スーパー営業マン」

を探し回るという果てのない旅に出てしまうのです。

周辺相場と比べて高い金額で売りに出したとしても、営業成績抜群のいわゆる「スーパー営業マン」に依頼すれば、高く売ってくれるに違いないと思っているのです。しかし、こうした行動は却って逆効果になります。依頼する不動産会社の数が増えれば増えるほど、まともに相手をする不動産会社は逆に減っていきます。業界内で悪い意味で有名人になってしまうのです。

確かに営業成績抜群の営業マンというのは存在します。しかし、

「営業力があり優秀=相場以上で高く売ってくれる」

という訳ではないのです。これが、物件情報が不動産会社だけのものだった一昔前であれば話は違ったかもしれません。例えば、案内したお客さんに、

「内見してもらった物件がこの地域では唯一無二のものであり、今購入しないと他の検討している人に先に買われてしまいます」

と焦りを誘うことで成約に至っていたかもしれません。ただそれは、物件の情報で、買い手が情報を持たない時代だったからこそ可能だったのです。今や物件情報はオープン化され、不動産会社だけのものではなくなりました。誰でも気軽にインターネットで不動産を探せるようになったことはご存じでしょう。特に地域を限定して探している人であれば、常にそのエリアのことを見ているので、不動産会社よりも物件の動きに詳しいということも珍しくありません。

また、不動産会社に問い合わせて物件や資料を見せてもらわなくても、インターネットで集めてくる情報を参考にして、ざっくりとした相場を誰でも把握することも出来ます。相場以上に高く売ろうとすることは、余程その地域の人気物件であったり、購入者が列をなして待っているような希少物件でない限り、難しいのが現状です。

物件を高く売りたいと願うのは、売り手すべての隠さざる希望に違いありません。ですから誰もがこうしたワナに陥ってしまう可能性はあるのです。客観的に自分自身を見つめなおすことが、時には必要でしょう。ご注意ください。

売却を先行した買い替え

自宅の買い替えで大切なこと

自宅の売却が前提となる不動産購入計画のことを、「買い替え」といいます。言葉くらいは聞いたことがあると思います。単純に買い替えと言っても、

  1. 欲しい物件が既に決まっている場合
  2. 自宅が売れてから購入する物件を決める場合

によって2つのケースに分かれます。1.を「購入先行の買い替え」。2.を「売却先行の買い替え」といいます。双方にメリット・デメリットがあり、買い替えを考えるそれぞれの家庭の事情もあることなので、どちらが良くてどちらが悪いかというような話ではありません。今回は2.の「売却を先行した場合」のあらかじめ把握しておくべきメリットとデメリットについて解説していきます。

売却を先行した際のメリット

  • 希望通りの売却価格で買い替え計画が進められる
  • ゆっくりと販売活動が出来る
  • 売れなければいつでも計画をストップ出来る

購入を先行させる場合の買い替えと違い、まずは自宅の売却から始めることになります。

「いついつまでに必ず売却しなければならない」

といった、売却期間に制限はないので、腰を据えてじっくりと売却活動を行うことが出来ます。もちろん希望通りの金額で販売に出すことも出来ますし、万が一、納得できる金額で売れないようなら、いつ計画をストップしたとしてもなんの問題もありません。

「自宅が良い金額で売れるなら買い替えてもいいかな」

「いずれは住み替えしたいな」

と考えている人にとっては、比較的気軽にチャレンジ出来るのがメリットです。自宅が売れて(*契約になって)初めて動き出すのですから。購入先行の買い替えのリスクとしてあるのが、自宅が結局のところいくらで売れるのかが、実際に販売に出してみないことには分からないことです。ひょっとしたら想定より安い金額でしか売れず、資金計画の見直しが必要な場合もあります。

それとは反対に売却先行の場合、自宅の売れる金額が確定されます。その時点で資金計画がバチッ! と決まるので、計画に大きなくるいが生じることはありません。売却を先行しておけば、

「購入の契約を済ませてしまっているから早く売らないと!」

といった精神的な圧迫やストレスを感じることはありません。以上が売却を先行した場合のメリットです。では、デメリットにはどんなものがあるでしょうか?

住み替える(替えたい)物件が見つからない

  • 自宅の引き渡しまでに購入する物件を見つけなければいけない

売却の契約が済むまではいつでも計画をストップすることが出来ますが、めでたく買い手が見つかり契約を交わしてしまうとそうはいきません。

「やっぱりや~めた!」

と解約することは可能ですが、違約金としてそれなりの額のペナルティが生じます。また、残代金を受け取る引き渡し日までに、自宅を明け渡さなければいけないため、それまでに次の住まいを見つけなければなりません。

「そんなに都合良く欲しい物件が見つかるかな?」

「妥協して選びたくないな」

このような心配をされる方が多いのは事実です。それこそ数年越しで物件を探されている人もいるくらいですから、この点がデメリットになるのでしょう。しかし

「良い物件があればいずれは欲しいな~」

と期限を定めず何年も探している人(それが悪いという訳ではありません)と

「この日までに絶対探すんだ!」

という強い気持ちで探す人とでは、物件を見る際の真剣度にどうしても差が出ます。そうなると当然、物件の見え方も全く違ってきます。上記のような強い気持ちを持って物件を探したにもかかわらず、結局見つからずに計画がとん挫した、もしくは後悔したと言う人は、私の経験からも多くありません。

全力で物件探しをする

「そんなに慌てて物件を探すのもな~」

と考える人もいるかと思います。人生に何度もない不動産の購入です。じっくりと比較検討したい気持ちは分かります。ただ、かけた時間に比例して良い物件が買えるという訳ではありません。これから何十年もお住まいになるマイホーム。探す時間はそのうちの一瞬です。わずか数か月だけでも全力で物件探しをしてみる! そして必ず理想の自宅を見つけてみせる!

このように前向きに考えることが出来れば、決してデメリットなどではなく、逆に購入に向けての気持ちをさらにブーストすることができるのではないでしょうか?

万が一見つからなかった時の緊急避難措置

万が一見つからなかったとしても、緊急避難的に一時的に賃貸に住む、という選択肢もあります。そこで腰を据えてじっくりと購入物件を探すということもできます。最初にも書きましたが、購入先行・売却先行、どちらの方が良い買い替えか? 簡単に結論が出せるものではありません。ただ、どちらのリスクが少ないと言ったら、売却を先行させる買い替えとなるでしょう。

そうは言っても、各家庭の事情によってメリット・デメリットは違ってきます。その辺りの違いを良く把握したうえで、より良い買い替えを選んでもらいたいと思います。

不動産仲介業者の付属サービス提供合戦!

各大手不動産仲介業者が、良質な売り手(物件)を専属もしくは専任で確保するために、様々な「付属サービス提供合戦」を繰り広げています。以前の二つの記事、「売主が、売却中に出来る効果的なこととは?」「『無料建物メンテナンス付き売却仲介に』について」で詳細を書き、最後に「残された競合他社の動きは果たして?」と締めました。で、残されたうちの一社である住友不動産販売が、12月1日に新しいサービスを発表しました。

住友不動産販売(株)(本社:東京都新宿区)は、「ステップ空家クリーンサービス」および「ステップ空地草刈りサービス」を、首都圏の仲介全145店舗にて、12月1日(月)より開始した。

「ステップ空家クリーンサービス」は、空き家になっている中古一戸建て住宅の売却にあたり、同社と「専属専任媒介契約」を締結した物件について、売主に「ハウスクリーニングサービス」または「庭木のお手入れサービス」のどちらか一つを、同社負担で実施するサービス。空家の水回りや茂った庭木を、「売却前に」メンテナンスすることにより、購入希望者への印象度をアップし、物件のスムーズな売却をサポートする。(引用元:SUUMOジャーナル)

というもの。先日、空き家対策特別措置法が成立し、空き家問題はまさに今が「旬」です。実際問題、特措法で対象となる空き家は「特定空家等」に指定される、ボロボロで倒壊やスラム化など周辺環境に悪影響を及ぼすものをいいます。

なので、ここでいう空き家とは少し趣が違うのですが、特措法の細かい内容を知らない人にとっては、「空き家」というキーワードが入るだけで、「ハッ!まさかうちのこと!?」と思う人が少なからず存在すると思うので、なかなかうまいやり方ではないかと。

「今まで使ってなかった空き家を、売りに出す前にお部屋をきれいにしましょう!」というもので、こういってしまっては身もふたもありませんが、ま、ただの掃除ですよ(笑)。一方、

「ステップ空地草刈りサービス」は、土地の売却にあたり、同社負担で空地の雑草を専門スタッフが刈り取りをするサービス。刈り取りにより環境悪化や不法投棄による被害を防止する。売却前に草刈りで土地をすっきり明るく見せて、購入希望者の印象アップを目指す。(引用元:SUUMOジャーナル)

以前、当社でも売却にあたり雑草を刈ったことがありますが、なんとスズメバチの巣が隠れており、刺された当社のスタッフの手がグローブほどの大きさになったのはつい数年前のことです。専門スタッフにも十分気を付けて欲しいと思います(汗)。

 

空き地の草刈りには要注意(笑)

空き地の草刈りには要注意(笑)

 

結論から言うと、今までに挙げてきた他社のサービスに比べると、見劣りするかなという気がします。土地でも空き家でも、販売前に見た目を良くするのは当たり前のことで、あえて仰々しくアピールする必要もないと思いますけどね。

その割には、サービスの提供を受けるためには、他社同様、

「専属専任媒介契約(媒介期間3ヵ月)を締結し、かつ当初の媒介価格(売出価格)が同社査定価格の125%以内である物件」

といった制限がありますが、この内容で専属専任で価格規制しようなんて、少し虫が良すぎんじゃないですかね。

というのが、個人的な見解です。

【「ステップ空家クリーンサービス」概要】
●期間:2014年12月1日~2015年3月31日
●対象物件:首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の空家一戸建。※瑕疵担保免責物件や古家付き土地は除く。
●利用条件:住友不動産販売と専属専任媒介契約(媒介期間3ヵ月)を締結し、かつ当初の媒介価格(売出価格)が同社査定価格の125%以内である物件

 

【「ステップ空地草刈りサービス」概要】
●期間:2014年12月1日~2015年3月31日
●対象物件:首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の100坪までの土地。※空地とは土地上に建物等の建築物の存在しない土地を指す。
●利用条件:住友不動産販売と専属専任媒介契約(媒介期間3ヵ月)を締結し、同社査定価格が2500万円以上でかつ、当初の媒介価格(売出価格)が同社査定価格の125%以内である物件

「無料建物メンテナンス付き売却仲介に」について

先日の記事「売主が、売却中に出来る効果的なこととは?」で紹介したものと似た内容のサービスを、東急リバブルさんが11月1日から行っているそうです。その内容を以下、抜粋します。

東急リバブルは11月1日、『リバブル無料建物メンテナンス』サービスを開始した。マンション・一戸建ての玄関ドアやサッシの異音や隙間、フローリングの傷やクロスのめくれなど、住居の細かな不具合を無料でメンテナンスしてから売却できる。

<中略>

売主が抱える「自宅を売却したいけれど、購入から何年も経っているので細かなところがあちこち壊れている」「気づいてはいるけど売り物件にわざわざお金をかけるのももったいない」「このままで本当に売れるのだろうか」などの悩みに答えるのがこのサービスだ。

『リバブル無料建物メンテナンス』サービスでは、住居の細かな不具合を無料でメンテナンスしてから売却することが可能である。対象物件は、自己居住用のマンションまたは一戸建て(瑕疵担保責任免責不動産および事業用不動産を除く)。(引用元:RBB TODAY)

というものです。

 

悩む

 

2014年8月に実施した「不動産売買経験者へのインターネット調査」の結果、48%売主側が「ちょっとした不具合を理由に値引きを要求されるのではないかと不安だった」とあり、さらに42%買主が「中古住宅を内覧した際に、建具のがたつきや不具合が原因で買うのをやめたことがある」と答えている。

このアンケート結果を踏まえた形で開始した今回のサービスのようですが、「玄関ドアやサッシの異音や隙間、フローリングの傷やクロスのめくれなど、住居の細かな不具合」が原因で、購入を取りやめる人など本当にいるのでしょうか?

個人的な経験ですが、修繕に数百万単位でかかる大がかりなものなら話は別ですが、こうした細かな劣化が原因で、「やっぱり買わない」となることって、そうそう多くはないと思うのです。修繕費用も数万単位です。「その程度の費用」と言ってしまっていいのか分かりませんが、さんざん検討して気に入った物件を、その程度の費用で諦めてしまう人が半分もいるのかと、率直に疑問に思ってしまいました。

もちろん、そうした人もいるのでしょうが、きっと辞める背景にはそれ以前に色々溜めていたものがあったのかもしれません。例えば、仲介業者の態度が気に食わない・・・売り手の対応が気に食わない・・・修繕をお願いしたけどあっさりと断られた・・・などなど。

物件はと~~~~っても気に入っているけど・・・どうしても気持ちがおさまらない!気持ち悪い!もやもやする!と、感情的になってしまうお客さんはいます。きっかけは確かに「中古住宅を内覧した際に、建具のがたつきや不具合が原因で・・・」なのかもしれませんが、感情的になってしまえば、どんな些細なことでも取引を辞める材料になり得ますからね。だから本当に42%の人が「それ」だけの理由で購入を見合わせてしまうのかな?と疑問に思ってしまったのです。

ちなみにこのサービスを受けるための条件ですが、

となります。「タワーマンション限定」という箇所以外は、適用条件は前回ご紹介したサービスと、ほぼ同じですね。要するに、

「売却行為以外にこのような付加価値もつけるので、売りやすい価格(査定価格の125%以内)で当社1社(専属専任or専任媒介)だけに販売させてくださいね」

という、良質な売り手さんを確保するための一つの手段です。

別にこうしたサービスを受けられることをきっかけに、売却に踏み込むことは悪いことではありません。売り手が考えてた希望売却価格が、提示された査定価格の125%以内に収まるのであれば、活用するべきだと思います。余計な費用もかかりませんしね。

問題は売却希望価格と、査定価格にかい離がある場合です。希望価格では相場から比べたら高いかもしれません。だけど、難しいと分かっていても、一度は確かめてみたい!と思うのが売主心理ではないですか?提示された査定価格は確率論で、絶対ではありません。市場にどう受け入れられるかは「やってみないとわからない」というのが正直なところです。

希望する売却価格とどれだけの差があるかを、客観的に認識するため、査定価格を参考にすることは重要です。しかし、こうしたサービスを受けたいがために、売主希望の売却価格を無理に125%以内に収める必要はないと思います。それでは本末転倒です。このようなサービスを提供する背景には、上記のような理由があり、決して「他にはないサービス」ではないという認識だけは持っておいてください。最後に、

対象エリアは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県。建物内部の建具やサッシなど、同社の定める箇所の目視・打診、動作確認などを行い、同社の定める基準に基づきメンテナンスを行う。

ということなので、基本的にどんな物件(マンション、一戸建て)でも適用できるのでしょうが、あんまりにも痛みが激しい物件だと、「同社の定める基準」に基づき、適用できないこともあるんでしょう。

大手2社が同じようなサービスの提供を始めています。その他の不動産仲介業者がどういう対応を取るのか、今後が非常に気になりますね。

売主が、売却中に出来る効果的なこととは?

不動産仲介業大手の、野村不動産アーバンネットがタワーマンションの売主に対して、新しい売却方法の提案を始めていると、SUUMOジャーナルに記事がありました。内容はというと・・・

ホームステージング(Home Staging)とは、売却不動産を家具や小物で演出することで、早期に好条件での売却を目指す販売手法。中古住宅流通量の多いアメリカでは、過去30年以上、不動産売却時に有効な手法として用いられている。ホームステージングは、単にインテリアコーディネートをするのではなく、その住宅の購入を検討する方が、住まう価値と真の住まい心地を実感してもらえるように演出をすることが特徴。

中古住宅の売却においては、買主が内見をする際の第一印象が重要なポイントとなる。ホームステージングにより、良い印象を持ってもらうことが、好条件での売却につながる。また、買主にとっても住みかえ後の生活を具体的にイメージし易くなるなど、住まい選びの手助けとなる。(掲載元:SUUMOジャーナル)

以前、「不動産会社に売却を依頼後、売主が出来ることは何かありますか?」という記事を書きましたが、詳細はそちらを読んで頂くとして、基本的に売却に出してしまえば、売主が行動を起こしたことで早期に売却に至った、ということは絶対と言い切れませんが、ほとんどありません。

ただ、部屋を明るく見せるために室内の照明をすべてつけたり、清潔感を与えるように室内を整理整頓しておくなどの演出をすることは、売主が出来る数少ない行動です。もちろん、それをしたからといって、高く売れる、という訳ではありません。あくまでも、売りやすくするための、一つのスパイスとお考えください。上記のサービスは、部屋を綺麗にし限りなく買い手の印象を良くするという行為に、徹底的にフォーカスしたサービスなんでしょう。

費用は無料らしいですが、このサービスを利用するためには、色々と制限があるようです。まず一つに、このサービスは「タワーマンション限定」です。普通のマンションや一戸建ては適用外。タワーマンションは、どれも築浅のものがおおく、全ての部屋が、とは言いませんが、どの部屋も悪い印象を与える物件はないのではないかと。

 

タワーマンションは見栄えも良く、グレードも高いので、いまだに売れすぎです。

タワーマンションは見栄えも良く、グレードも高いので、いまだに売れ筋です。

さらに以下のような条件があります。

  1. 査定した価格の125%以内に売り出した物件
  2. 専属専任専任媒介締結のお客様

「相場より高いけど、部屋を綺麗に見せれば高く売れるかもしれない。そのためにこのサービスを使ってみようか」

と考える売り手さんが多いと思います。しかし、査定価格の125%以内という制限があるので、査定価格の125%以内に値付けしなければ使うことが出来ません。また、専属選任、専任媒介契約締結が条件です。一般媒介のように、他社に重ねて依頼をすることはできません。

ま、なんでもかんでも希望する人すべてこのサービスを適用していたら、サービスだけ受けて「やっぱりう~らない!」っていう人も出てくるだろうし、どこかで制限をかける必要はあるんのでしょう。

一見すると、売り手に向けてのサービスにみえますが、内容をよく見てみると、売れ筋物件(タワーマンション)を確実に売れる価格(査定価格125%以内)で値付けし、そうした物件の売り手を囲い込む(専属専任or専任媒介締結)、という非常にうまいやり方ですね。

なぜ、ただでできるかというと、タワーマンションはグレード感のあるものが多く高額です。室内を綺麗に見せるためのちょっとした作業など、仲介手数料の中から充分ペイできるから・・・という背景があるのだと思います。専属選任、専任媒介なので、売り手からの手数料は必ず確保できますし、新しい形の(不動産会社にとっての)広告料として考えれば悪くないですね。

さまざまな形のサービスが、手を変え品を変え出てきます。不動産業界だけの話ではないのかもしれませんが、そのサービスを始めるに至った背景にも、不動産オーナーは考えをめぐらせてみても良いのではないでしょうか。

一括査定サイトの使い方

以前から私は、一括査定サイトには否定的です。当社にも「参画しないか」と、話が持ち込まれることが多いですが、そのつもりは全くありません。なぜ否定的なのかは、「不動産の一括査定をおススメしない理由」という記事に書いているので、もし良かったらそちらの記事をご覧になってください。

査定

ただ、否定的ではありますが、利点は一つだけあると考えています。一括査定サイトを利用された方ならお分かりかもしれませんが、情報を入力するとすぐさま複数の不動産会社からひっきりなしにアポイントの連絡が入ります。

「当社に査定させて下さい!」

と。査定だけならどんどんやってもらっていいのですが、困ったことにどこの不動産会社も、まずは会いたがります。

「会えばなんとかなる、どうにかできる!」

と考えている不動産会社はいまだに多いものです。1件1件会っていたら時間がいくらあっても足りません。なので、どこの不動産会社とも合わずに、まずはざっくりと査定金額だけ聞くようにしてください。

「お会いして物件を見てからでないと、正確な査定価格を出せないので・・・」

と食い下がってくるところもありますが、そんなのは無視しましょう。マンションであればマンション名と階数、間取り、土地・戸建であれば住所を伝えればある程度の査定価格は出せるものです。会えないとなると、急にやる気をなくし、撤退する不動産会社もいくつか出てきますが、やる気のない不動産会社をふるいにかけられるので、それはそれで良いことでしょう。

そのような対応を続けていくと、複数の不動産会社が出した査定価格が把握でき、上記のとおり、不動産会社のやる気も測ることができます。会社によって査定価格にでっこみひっこみは当然ありますが、平均値を取ればそれなりに間違いのない査定価格が算出できます。ざっくりと価格を知るだけであれば、それで十分なレベルです。

そのような使い方をするにおいては、一括査定サイトの有効性はあると私は考えています。

売却中に金額交渉があった場合の考え方

不動産を売却開始後、購入の申し込みが入ってきたとします。しかし、価格交渉がある。例えばこんなケースです。

「物件価格が5,480万。5,200万での申し込み。」

特に販売開始後だと、「ひょっとしたらもっと高い金額を提示してくれる買い手が見つかるかもしれない」と考えてしまうので、なかなか悩ましい問題です。こんな場合に、売り手が後悔することなく、判断を迷わないためには、どのように考えておくのがベストでしょうか?

「次にいつ入って来るか分からない買い手をあてもなく待つのは得策ではない。まとめた方が良い」

と、余程のことがない限り、そのようなアドバイスを行う不動産会社が普通だと思います。特に「3か月以内にどうしても売りたい」など、売却に掛けられる期間に限りがある場合には非常に的を得た回答だと思います。恐らく私も一度はそのようにアドバイスするでしょう。

なぜなら今回よりも高い購入価格を提示してくる買い手が、残された期間内に現れるかどうかは誰にも分からないし、それどころか今回断った5,200万という価格を提示してくれる買い手が、再び現れるかどうかは誰にも分からないからです。

握手

不動産会社は「これもご縁です」という都合の良い一言で片づけてしまうことが多いのですが、しかし一番最初に入ってきた条件が、振り返ってみると実は一番良かった、ということが不動産取引には実に良くあります。統計取った訳ではないので、根拠となるデータはありませんけどね。売却にかけた時間分、比例して高い金額で売れるのであれば、販売期限ぎりぎりまで粘るべきでしょうが、残念ながらそんな都合の良い話はどこにもありません。

もちろん、売り急ぐ必要が全くなく、「希望額で買ってくれる買い手が現れるまでひたすら待ち続ける」という希望を持った売り手だと話は違ってきます。もしそうなら、売り手の希望・気持ちを無視して、入ってきた話でまとめようとする不動産会社のアドバイスは、的を得たものではなく、早くまとめたいと願うだけの不動産会社の不誠実な回答となってしまうでしょう。

「今入ってきている条件でまとめるか?」

「少しでも高い金額で買付が入ってくるまで待つか?」

決めるのはもちろん売り手自身ですが、迷い始めたら最後、この問題に出口は見つかりません。どちらをとっても結局は「もう少し高い金額で売れたはず」「やっぱり・・・あの時売っておけば良かった・・・」と少なからず取引自体を不満に思ってしまうからです。そうならないために、売却のプロである不動産会社の協力のもと、以下のことを売却を始める前に明確にしておくべきです。

  • 販売にかけられる期間とその根拠(なぜその期間なのか)
  • 確実に売れるで「あろう」金額の把握
  • 売却しても良いと思う最低価格

中でも「確実に売れる金額の把握」。これが重要!つまり査定です。査定を間違わなければ、そしてその査定金額を売り手が理解しておけば間違いないでしょう。言い方を変えれば、間違いのない査定をちゃんとやってくれる不動産会社を見つけることが売却成功の第一歩ということです。

販売金額&募集金額の値下げ(下手な下げ方と上手な下げ方)

売却でも、入居者募集中物件でもそうですが、なかなかお客さんが決まらないとなるとなんらかの手を打たないといけません。賃貸であれば募集条件(例えば敷金や礼金の額や広告料の有無、フリーレントなど)を変えることである程度動きを作り出すことができます。

しかし売却となるとそれほど打てる手はありません。折込広告の配布場所を変えてみるとかその位で、販売価格を下げるということが最も単純ですが一番効果的なのは間違いありません。ただし、何の考えもなく金額を下げればそれで解決かと言ったらそんなに簡単ではありません。値下げ一つとっても上手い値下げ・下手な値下げというのがあります。

下手な下げ方

下手な下げ方の筆頭がちょこちょこと、小刻みに値下げしていく方法です。例えば3,480万の物件があったとして、3,400万→3,350万→3,280万といった具合に少しずつ、徐々に下げていくのです。レインズやポータルサイトでは、情報が更新されるので一見すると新着物件のように扱われます。ですからより多くの人の目に触れさせるために、意識的にやっているのかもしれません。

しかし、残念ながらそうした効果はほとんどありません。なぜなら今のお客さんは不動産会社と同様(*もしくはそれ以上)に、物件の動向を非常に良く見ています。不動産会社よりも情報に敏感な人も多いのです。そうしたお客さんはポータルサイトから新着情報として上がってきたとしても、以前から出ている物件が価格変更したに過ぎないということくらいすぐ把握します。このようなことが何度も繰り返されていると、お客さんは

「この物件はどこまで下がるのか?」

「もうワンクッションすればまた下がるはず」

と判断してしまいます。結果、売却するために金額を下げたのにもかかわらず、何度も変更をすることで逆に買い手に足元を見られてしまい売れづらくなってしまうのです。これが下手な下げ方。

上手な下げ方

金額を下げるのは一度だけにします。ただし、その1回の値下げが買い手にとってインパクトのある下げ幅とならないと意味がありません。下手な金額の下げ方が数度に渡ったのに対し、効果的な下げ方は一回で3,280万まで一気に下げるのです。この動きを観察していた買い手は

「一度にここまで下がったら他の人に買われてしまう!」

「今が買い時だ!」

と、さっきとは逆に購買意欲を刺激され次のステップに進んでいくのです。

 不動産会社の力量が問われます

ただ、こうした効果的な下げ方をするためには、大体どのあたりで売れるのかを担当者や不動産会社が把握しており、その根拠を売り手にも正確に伝えているからこそ出来ることです。

「いくらで売れるか分からない、自信がない・・・。だからとりあえず細かく刻んで・・・」

という恐る恐るでは売れるものも売れません。こうしたところで不動産会社や担当者の力量が問われてくるのです。

目線を変える

上手い下げ方と下手な下げ方があるとお伝えしてきましたが、これらのことをピラミッドの図関係で表すことができます。このピラミッドを頭に入れて金額変更を行うとより効果的です。

ピラミッドその1

賃貸でも購入でも自身で物件を探したことがある人なら分かるかもしれませんが、賃貸なら15万以上~20万未満。購入なら4,000万以上~4,500万未満といったように、大体「キリ」の良い金額で条件設定をしたのではないでしょうか。ほとんどの人がそのような探し方をされていると思います。

そう考えてみると、例えば現在4,200万の物件の金額変更をする場合。4,000万に変更したところで、今までと同じ4,000万以上~4,500万未満の見込み客にしかアプローチ出来ません。つまりせっかく200万も価格を下げたのに、アプローチできる人数に変わりはないのです。金額を下げるのであれば、アプローチできる人数を増やすように下げなければ意味がありません。

ピラミッドその2

ではどのようにしたら良いのか?上に挙げた例を参考にすると、4,000万以上~4,500万未満から、3,500万以上~4,000万未満の土俵に落とすことが必要です。こうすることでいままでの4,000~4,500万未満では埋もれてあまり人目を引かなかった物件が、ランクを一つ落としたことで今までよりも多くの人の目に付くことになりますし、良い意味で「都落ち」してきた物件なので、競合物件のなかでも光る物件となっているはずです。つまり目線を変えるのです。こうした観点で金額を下げていくことで、より一層成約に近づく可能性が広がるのです。

ピラミッドその3

100円の卵と99円の卵、たった1円しか違いがないのに99円がやたら安く感じさせる効果に似てなくもないですね。

貸すか売るかの判断は?

所有している不動産の活用に悩むオーナーに、

「貸した方が得です。売ったら損します」

「貸してたら損するだけです。売るべきです」

と、単純な損得勘定だけで判断できるとは限りません。

そもそも不動産というのは、所有に至った経緯(両親から譲り受けた)や物件に対する思い入れや愛情の度合い(家族の思い出、離婚)によって考え方がガラッと変わります。そのあたりのオーナーの心情や相談に来られた事情などを踏まえて考えなければいけません。

illust2092

ただ、金額的に損か得かだけで判断をつけたいというならば、売却した場合の手取り金額と、貸した場合の更新に至るまでの2年の手取り金額を比べてみてください。以下にその手順・考え方を解説していきます。

  1. まずは簡単で構わないので、2年間での賃料収入の合計がいくらになり、(*ローンが残っているならば)月々の返済とその他の支払総額(*マンションなら管理費・修繕積立金、固定資産税、修繕費用など)を算出してください。収入から支払額を差し引くことで、物件の収益力が把握できるはずです。
  2. 手取りはおろか、持ち出しが生じているようならば、売却を考えてみても良いでしょう。また、利益がプラスだったとしたら、かけた労力に応じたものとなっているかを冷静に考えてみましょう。「あれだけ動いてたったこれだけ!?」ということもあるかもしれません。
  3. 2年間で得られる利益がどのくらい持ち続けることで、その時点で売却した価格に追いつくかを考えてみましょう。例えば2年間の単純利益が100万だとしたら、その時点の査定価格が3,000万だとすると、30年持ち続けることでイコールになるということです。その期間をどう考えるかということです。

もちろん、2年以上住み続ける入居者もいれば試算も変わってきますし、設備の修繕でより費用がかかるかもしれません。現時点で売却できる価格が今後長期に渡って維持されるとも限りません。ざっくりではありますが、こうした試算を行うことである程度の判断を付けることができるのではないでしょうか?

駅から遠い物件の現状

売った方が・・・

コンサルティングをしていると、相談者にはそうした認識(*売る気がない)が全くないのに「これは売った方が良いよな~」と思う物件があります。色々なパターンの時があるので、一概に「こういうケースで!」と断定することはできませんが、あえてひとつあげるとするとそれは「駅から(中途半端に)遠い物件」です(*もちろん例外はあります)

不動産の良し悪しを左右する

大原則ですが、「駅からの距離」というのは、不動産の良し悪しを判断する要素の中でも非常に大きなウェイトを占めます。以前は「駅から近いけどその分狭い、古い。逆に遠いけど新しくて広い」といったある程度のすみわけが出来ていました。

しかし、借り手市場の現在、駅近物件との賃料格差がだいぶ小さくなってきています。わざわざ駅から離れなくても、そこそこ広くて新しい満足できる駅近の物件を見つけることができるようになりました。そのような物件にかなりの数のお客さんが取られてしまっているのが現状なのです。駅から遠い物件が、そうした駅近物件に競合して勝ち残っていくためには、金額勝負しかなくなってきているのです。はっきりいうと消耗戦です。

その他にも「売った方がいいなあ」と思う理由はあります。

入居者の心境は・・・

仮に入居者が見つかったとしても、長期的に借りてくれる可能性が高いとは言えません。なぜなら、入居者は生活することで、駅までの道のりを実際に体感します。最初見たときは「この位の距離なんてことない」と思っていたとしても、それが毎日になると話が違ってきます。仕事に疲れてやっと駅についてそこから歩いて15分となると・・・「次引っ越すときにはもう少し近い物件を・・・」との思いを募らせてもおかしくないからです。そして更新を機に退去してしまうのです。

オーナーとしては中々入居者が入らずに、ようやく決まってホッと一息ついたのもつかの間!2年足らずで退去となるとメンテナンス費用もかかりますし、またすぐに新しい入居者を探さないといけません。これではオーナーが疲れてしまいます。

親から譲り受けた物件だったり、既にローンがなくなっている物件ならばまだ良いでしょう。ただ、家賃収入でローンの支払いをまかなっているのならば、入居者が決まらないのは自分の懐からお金が出ていくということで死活問題です。これがもう一つの理由です。

傾向と対策

ローンの残額以上の価格で売却することが可能という前提となりますが、こうしたケースの時に私が良く行う提案が、賃貸の募集に出しながら、売却も行うという並行活動です。もちろんこの方法は駅から遠い物件に限っての話ではありません。

オーナーにはどちらに転んでも良いように納得して頂く必要はありますが、時間をかけた結果、「やっぱり売ることにする」「やっぱり人に貸す」といった時間的なロスをなくすことにもなるのです。いずれにせよ、オーナーにとってはどちらに転んでも良い結果となるため、メリットは大きいです。

もちろん、駅から遠いという物件であっても、やりようはいくらでもあります。なので、「駅から遠いと売った方がいいんだ・・・」と悲観する必要はまったくありません。人間と同じで、要するにその人(物件)の個性に合ったやりかたが必要というだけです。

不動産の一括査定をおススメしない理由

引っ越し業者とか車の買取とかで一括査定というものがありますが、不動産にも一括査定というものがあることをご存知ですか?一度に複数の不動産会社に査定依頼が出来るので、一見するととても便利に思えますが、あまり効果的とはいえません。

引っ越し業者にしろ車の買取業者にしろ、彼らの査定価格というのは、「その金額で引っ越しを請け負う」「その金額で車を買い取る」ということです。ですから見積もりを多数に依頼して、一番安い金額・高い金額を把握することに効果はあるのです。一件一件問い合わせる必要がないので、一括査定を依頼する意味は大きいでしょう。

しかし不動産査定の場合、査定する側がその金額で買い取ること、または売れることを保証するわけではありません。あくまでも

「この位の金額であれば売れるでしょう」

と専門的立場からアドバイスするだけなのです。それが不動産の査定です。そしてほとんどの不動産会社がそうですが、「査定媒介契約取得の場」と考えています。複数の不動産会社がバッティングした場合、例え提案する価格が相場を無視した高い金額だと売主自身分かっていたとしても、

「当社にはこの金額で買うと言ってるお客さんがいます!」

と、言われたら、一番高い金額を提案してくれたその不動産会社に依頼したくなるのが心情のはずです。要するに不動産会社にとっての査定とは、適正な価格を提示することではなく、専属専任専任媒介契約を結んでもらえるような高い査定価格を提案することが目的となっています。

以前、一括査定に巻き込まれた売主を訪問したことがありますが、売主さん自身、何がいいのか?どこがいいのか?金額も言ってることもバラバラで混乱してしまっていました。そんな中、私がまともな査定を行ったとしても、却って混乱させてしまうだけなので、以下の2点をアドバイスしました。

  1. 一度リセットして仕切り直す
  2. 接触した不動産会社の中で、フィーリングが合った人や、人柄が良くて安心できる人2,3人に再度コンタクトを取り、慌てずにもう一度査定内容を聞き直す。

このように次から次へ不動産会社が査定に来ては、他社の提案した金額を探り出そうとし、その価格よりも少しでも高い金額を提示しようとする「意味のない査定ごっこ」が繰り広げられる一括査定に意味はあると思いますか?

これが「一括査定をおススメしない」何よりの理由です。

古家付土地で売り出すススメ

一般的に土地の売却は、マンションや戸建てと比べて難易度が高くなります。特に更地。建物が建っていないため、買い手は、建物が建った「想像」でしか、その土地の検討が出来ません。イメージを少しでも膨らませてもらうために、事前にハウスメーカーや工務店に依頼して、その土地の形状に合った参考プランを作ってもらったりもしますが、それもあくまで参考にしかなりません。買い手が一番重要視するであろう陽当たり具合や、室内に入った時のスケール感は、どうやっても感じることは出来ません。これがマンションや戸建てに比べて、土地を販売することが難しい要因です。

古家を建て壊し更地にし、雑草等を処理して見栄えを良くすることを、業界用語で「お化粧」と言ったりします。売却物件は市場に出した時点で商品であり、最低限の整備を行うことが売り手側の責務です。このようなお化粧作業を行うことは確かに大切です。ただ、こうしたお化粧作業をする前に、現存する古家を、売却するための材料として、目一杯利用し尽くすという選択肢もあっても良いでしょう。

例えば上にも挙げましたが、実際の陽当たり具合や室内の質感の把握。同じ規模の建物を建築できる・する、とは限らないでしょうが、実際の現場が与える様々な情報は、参考プランから受けるものよりも段違いに多いです。こうした情報を、購入検討者に与えられるだけでも、古家を売却活動に活用する効果はあります。また、こうした効果以外にも、耐震補強を含め室内をリフォーム・リノベーションを行い、そのまま使おうとする人へのアプローチも可能になります。リノベーションとまではいかなくとも、軽くハウスクリーニングするだけでも格段に見栄えは良くなります。最近は、昔のように「作っては壊す」のスクラップ&ビルドではなく、現存する建物を直しながら大事に使っていこうとする国の施策により、リノベーション住宅が非常に流行しています。

「古くても良いから・・・」

という観点で物件を探される人が増えています。

さらに、通常、土地代と建築費の総額で融資を受ける必要があるため、建物がない土地のみに住宅ローンを利用することは出来ません。しかし、古家があれば中古戸建として、住宅ローンを検討することが出来るのです。

上記2つは、古屋の傷み具合にもよりますが、古屋があることをデメリットとして考えるのではなく、逆にメリットとして考えてみるのです。このように色々な選択肢が考えられるという面で、現存する古家を活用することは、売り手・買い手双方にとって、非常に効果的ではないかと思います。

土地を買取業者に買ってもらうケース

不動産の買取を行っている会社は多数あります。

「何か買取できそうな物件はありませんか?」

という感じで、我々不動産会社のところに飛び込み営業をかけてくる、買取業者の営業の人がたくさんいます。買取業者のビジネスモデルは非常に簡単です。つまり、

「安く買って高く売る」

につきます。

安く買った土地をキレイに整地したり、または新築を建てて商品に仕立て上げ、一般消費者に買ってもらう訳です。仕入れ(買取)時に高く買ってしまうと、事業が成り立ちません。必然的に金額が安くなってしまうのは否めません。

買取業者を利用する例

売り手としてはわざわざ買取業者に売る必要はないように思えます。しかし買取業者を積極的に利用するケースもあります。

土地が広すぎる場合

例えば、土地が広すぎる場合。土地の相場が坪単価100万だとして、単純計算で30坪だと3,000万です。200坪だと・・・2億です。いくらその地域の相場が坪100万が妥当だったとしても、広ければそれだけ総額は上がります。

冷静に考えて3,000万の土地を買える人は多くいると思いますが、2億出せる人はそうそういません。つまり土地が広ければ広いほど総額は増え、手を出せる一般消費者は減る訳です。このように大きすぎて買い手を見つけることが難しい物件は、買取業者に買ってもらった方が良い場合が多いです。

物件に心理的な瑕疵がある場合

2つ目のケースとして、敷地内で自殺や事件などがあり、物件に心理的な瑕疵がある場合。
一度そうした瑕疵がついた物件を売るのは、周囲の評判などもあり至難の業です。

「安くしか売れないんだったら売らない方がマシ」

というのであれば無理に売る必要はないでしょう。

ただ、持っていても使わない。今後もそうした予定はない。安くなっても構わないから現金化したい。というのであれば、瑕疵など難がある物件を買取業者に買ってもらうのも手です。

  1. 土地が広すぎる
  2. 物件に難、瑕疵がある

とりあえず上記2点にあてはまるようなら、一度買取業者に金額を出してもらっても良いと思いますよ。

買取業者の使い方まとめ

買取業者は高く買ってくれない」

というのは確かにその通りですが、全てがそう、という訳ではありません。物件によっては一般消費者が買うような金額で、検討してくれる会社もあります。結局は物件次第、と言うことです。

我々のような不動産会社が見れば、買取業者でも検討できそうな土地か、そうではないかのざっくりの判断は出来ます。私が査定に伺って金額を提示する際には、その辺りも踏まえてご提案するようにしています。

買取業者=安く買いたたく=悪

と認識を持っている売り手さんが意外と多いのですが、要は使いようです。そうした使いようを正しくアドバイス出来るのも、売却を任される不動産会社の役目だと思いますよ。

土地・戸建の売却前にやっておかなければいけないこと

「中古だから少しくらいの不備があるのは当然でしょ?」

と、不動産売却時にこうしたセリフを言う売り手がいますが、それはとんでもない勘違いです。例え不動産といえども、基本は数ある中古品と考え方は一緒です。中古車でも中古DVD・CDでもなんでもそうですが、商品として市場へ売りに出す前には、商品としての最低限の整備や手直しをしておく必要があります。不動産にも同じことが言え、特に土地や戸建の場合、商品の整備が非常に重要です。ここでいう「整備」というものが何かというと、

「土地を測量して広さと隣地との境界を決めておく」

ことです。「測量」と「隣地境界の確定」と二つの作業のように感じますが、それぞれの作業は対になっています。つまり、

「隣地境界を確定するから、土地の正確な広さが分かる」

ということです。手元に測量図と隣地立ち合い印が押された書類(*所有者が変わっても継承されるのが通常)、そして境界鋲がすべて確認できるのであれば問題ないかもしれません。しかし、全てが揃っていることはまれです。測量図がなかったり、測量図はあるけれど境界鋲がみつからなかったりと、なんらかの不備があることが多いです。測量から隣地の境界確定から、やり直しが必要となります。その際、測りなおした面積が、売買時の面積と大きく違ってくると問題となります。

「土地の面積がコロコロ変わるなんてありえない」

と思われるかもしれません。しかし、測量技術(機械)は年々精度が上がっていて、数十年前に行った測量面積と、現在の技術で測った面積とでは、程度の差はあれ誤差があることがほとんどです。測り直してみたら、自分が思っていたより広かった。もしくは狭かった、ということがよくあります。

1平方メートルにも満たないわずかな誤差なら問題になることは少ないですが、当初考えていた面積よりも大きく違ってくると、間違いなくクレームになります。なぜなら100平方メートルの土地を買ったつもりが、実際測り直してみたら95平方メートルと、5平方メートルも違いがあったとしたら、みなさんはどう思いますか?5平方メートルも少ないことが最初から分かっていれば、買い手としてはもっと安い金額で買えたかもしれません。反対に、5平方メートル大きかったら売り手であるみなさんはどう思います?もっと高い金額で売れたかもしれない・・・と、損した気分になるのではないでしょうか?

このようなことがあり得ますから、土地や戸建てを売却に出す際には、まず現在の精度で土地を測っておき、売買対象面積を明確にしておくことが最優先です。その面積をもとに売却を進めることが、不動産と言う唯一無二の商品を市場に出す売主としての義務であり、契約後のトラブルをなくすことにもなるのです。測量費用は、当初から売却費用としてかかるものとして考えておき、万が一かからなかったらラッキー!との考えているほうが安全です。

隣地境界を確定しておくことの重要性

測量というのは土地の面積を計ると同時に、隣地との境界線を確定する作業でもあります。

「ここが私とあなたのお宅との境界で間違いないですね?」

上記のように隣地との境界点を互いに書面で確認し、その証拠として印(境界標)を入れることです。回りくどいように感じますが、隣地との境には通常、塀や壁があります。ですから一見すると

「ここからここまでがウチの土地」

と勝手に判断していることが売る側には多いのです。しかし、それは大きな間違いで、長年の色々な経緯で境界が隣地に食い込んでいたり(その逆もしかり)、ずれていたり、隣地の人と境界の場所について見解が異なっている可能性があります。言いたくてもご近所関係もあるので、なかなか言い出しづらいこともあるかもしれません。そのようななんとなくモヤモヤしていた状況が、所有者が変わることによって、隣地関係が一度リセットされます。いままで言いたくても言えなかった隣地の人が、

「前の人には言ってこなかったんだけど、実はお宅の境界が食い込んでるんです」

と、境界の場所について、新所有者(買い手)に異議を唱えてくることがあります。買い手としてはいまさらそんなことを言われても困ってしまいます。騒動が大きくなってくると、買い手から「整備不良」として、売り手にクレームが来る可能性もあります。このような境界紛争というのは非常によくあります。

境界の確定が出来ないということは、自分の土地がどこからどこまでか分からない。つまり売り物がどこなのか、買い手に明示出来ないということです。それではとても商品とは呼べません。万が一境界確定が出来ないのであれば、それは既に商品ではなく、売却計画自体を考え直した方が良い位の大きな問題です。それだけ大切なことですから、土地や戸建を売却する際には、最低限測量と境界確定、この2点だけは必ず!やっておくべきです。

専属専任&専任媒介と一般媒介、どちらが良いのか?

専属専任専任媒介と、一般媒介のメリット・デメリットについては以下の記事を再度ご覧ください。

双方のメリット、デメリットを把握したうえで、「で、結局どっちがいいんだ?」というと、異論反論、様々な意見があるかと思いますが、私の意見は「専任以上でお願いするべき」だと思います。ただし、

「依頼する不動産会社やその担当者が信頼できるのであれば」

という条件付きですが。

心底信頼できる(できそうな)人に、親切丁寧に膝を突き合わせて売却活動をしてもらって、悪い結果が出ることはまずありません。ただ、信頼できるか出来ないのか、初めて接触した不動産会社やその担当者を、そんなに簡単に品定めすることが出来るのか?というと、難しいというのもまた事実。この場合の「信頼・信用出来る」というのは要するに、

「当たり前のことを全力で行ってくれるのか?」

ということです。裏を返すと当たり前のことさえ出来ない(しない)、不動産会社がまだまだ多いということでもあります。

  • 知り合いに不動産会社がいる
  • 知人の紹介

などある程度信頼できる不動産会社と初期コンタクトが取れるのであれば、専任以上で任せてしまっても問題ないでしょう(*担当者とフィーリングが合わないなら話は違ってきますが)。しかし、不動産会社とつながりがある人たちばかりではありません。一から信頼に値する不動産会社を見つけるにはどうしたらよいのか?ここで一般媒介を利用してみるのです。

つまり一般媒介で多数の不動産会社に依頼をして、実際に販売活動を行ってもらうのです。その動きや対応を観察することで、不動産会社の質を見極めるのです。一般媒介でそのまま決まってしまえば、それで万々歳でしょう。仮に長期戦の様相を呈してきたら、一般媒介の中でも、特に一生懸命動いてくれた会社へ、専任以上へと切り替えるのが良いでしょう。なんでもそうかもしれませんが、実際作業してもらわないことには、不動産会社の実力なんて分かりっこありません。

「基本は専任以上で、不動産会社の質を見極める材料集めとしての一般」

決して一般的な使い方ではないですが、こうした利用方法もありだと思います。ちなみに媒介契約前に、複数の不動産会社に査定をしてもらい、その際の対応を見てどこに依頼をお願いするのか?を検討するというのも一つの手です。信頼できる不動産会社や担当者を見つけるのが一番大変かもしれません。以前こんな記事も書きました。

「安全な不動産業者の見つけ方」

見つける方法や特効薬が書いてあるわけではないので、ご参考程度に。

専属専任、専任のメリット・デメリット

不動産会社にとって、売主から売却の依頼をもらい、自社の取り扱い物件を増やすことは、小売店が品ぞろえを充実させるに等しい行為です。それも出来れば、独占して(専属専任専任)商品(不動産)を並べたいのです。

媒介契約を結ぶ際には、どこの不動産会社も必ずと言っていいほど、専属専任もしくは専任媒介契約を締結しようとします。ただ、ご存知のように、売主には複数の不動産会社に依頼できる、一般という選択肢もあるのです。専任以上で契約を結びたいのだから、不動産会社の説明が、専属専任専任寄りの説明になってしまうのは、致し方ないところです。専任以上で結ぶことのメリットとデメリットについてみていきます。

メリット

業者が必死になる

売却活動を一社限定で委任するので、当然、その業者が売却活動をさぼったりすると売れません。その不動産会社の責任は非常に大きいのです。必死にならざるを得ません。また、成約に至らないと仲介手数料ももらえませんし、それまでにかかった売却活動の費用も回収出来ません。中々売れなかったり、動きが悪かったりすると、媒介契約を余所に切り替えられてしまうかもしれません。販売活動にも力が入って当然です。これがメリットの一つとなります。

対応が一対一

販売の窓口が一つということは、その会社に様々な情報が集まります。つまり、

  • お客さんからのお問い合わせの数
  • 他業者からの問い合わせの数
  • 案内した時のお客さんの感触
  • 広告の反響結果

です。こうした情報を不動産会社からフィードバックしてもらうことで、売り手は現在の販売状況を知ることが出来ます。また、これらのデータを参考にして、文字通り不動産会社と売主が顔を突き合わせて、成約というゴールまで二人三脚で進めていきます。その物件に力をかけただけ、担当者も売り手と同じく、不動産に対して愛着が増していきます。その分、成約に至る可能性は高まります。これがもう一つのメリット。

デメリット

一対一の関係が裏目に・・・

これに尽きます。一対一という関係が、悪い方にひっくり返った場合です。もはや一部不動産会社の悪習となっている囲い込みをはじめ、売り手に真実の情報を伝えず、その不動産会社の都合によって情報を捻じ曲げ、売却活動を左右されてしまうのです。

例えばあからさまな両手狙いで、他業者からの問い合わせがあるにも関わらず、一切紹介せず(囲い込み)、

担当者 「いや~案内どころか問い合わせもありませんよ」

売主 「そうですか、金額が高いんでしょうか・・・」

担当者 「適正だと思うんですけどね~、でも試しに少し下げてみます?」

で、徐々に金額を下げていくなかで、自社でお客さんを見つけてはい!両手。終了!みたいな形です。選ぶ不動産会社によっては、こんなふざけたパターンに陥ってしまう可能性がある、というのがデメリットです。

注意点

売り手の考え方や売却するに至った事情などにもよりますが、やはり自分の思いの詰まった不動産を売ってもらうには、一対一で相対してじっくりと腰を据えて売却してもらいたいと思われる人が多いのではないでしょうか?依頼を受ける不動産会社としても、他業者に余計な茶々を入れられる心配がないので、成約に至るためのさまざまなアドバイスや提案を行うことが出来ます。

上に挙げたような売り手の不利益になるようなことを行う心配がなく、しっかりと販売してくれそうな信頼できる不動産会社と判断できたならば、専属専任もしくは専任媒介でお願いするのが良いと思います。

担当者のやる気と行動力。そしてなにより誠実さを見ていきましょう

ただ、一回二回会っただけでその不動産会社が信頼に足るかどうか判断することが難しいのもまた事実です。その際は、事前に複数の不動産会社に簡易査定や無料査定を依頼して、その会社の対応を見比べておくなどの事前準備もしておくのがよいでしょう。

また、そうした事前準備をすることが時間的に難しいのであれば、いきなり専属・専任で媒介契約を結んだりせずに、とりあえず複数の会社に一般媒介で依頼しておくのも一つの手です。実際に販売活動をしてもらうことで、その会社の対応力や実行力を把握することが出来ますし、一般媒介だからといって手を抜く会社なのかどうかの判断も出来ます。

不動産会社も営利企業ですから、専属専任・専任媒介で媒介契約を締結出来るなら表面上誠実で信頼出来る姿勢をアピールすることは簡単です。もちろんサービス業ですから、そうした対応は必要ですが、重要なのは販売を開始したあとの不動産会社の姿勢であり対応力・実行力です。そのあたりを良く理解した上で、どのような形で売却を依頼するのか、判断することが重要です。

簡易査定、正しい依頼の仕方

不動産会社に簡易査定(電話査定)を依頼しようとする人へ、実際にどのようにアプローチしていけば良いのかのアドバイスです。

まず最初に、電話での簡易査定を希望している旨を伝え、以下に記載する情報を伝えてください。「個人情報はあまり開示したくない」と、不動産会社に対する不信感、不安感から過剰にそのように思われて情報を隠そうとされるお客様がいます。しかし、簡易とはいえ査定です。最低限の情報は伝えて頂かないと、不動産会社もたいした査定が出来ません。土地・戸建てとマンションでは伝えるべき情報も違ってきますので、分けてご説明します。まずはマンションです。

  • マンション名
  • 階数
  • 角部屋かどうか
  • 向き
  • 広さ

マンションの場合、住所ではなく、マンション名が分かればそれで十分です。世帯数が多ければ多いほど査定は簡単です。それだけ過去の成約実績も多く事例は豊富にあるはずです。現在売出中の他の部屋もあるかもしれません。上記の内容を伝えるだけで、大体の価格は分かります。次は土地・戸建てです。

  • 住所
  • (分かれば)地型……土地の形のこと
  • 間口の長さ
  • 前面道路の幅
  • 前面道路が私道か公道か
  • 土地の広さ
  • (戸建てなら)建物の広さ
  • (戸建てなら)構造
  • (戸建てなら)築年月

マンションとは違い、一戸建てには同じものが二つとしてありません。場所が分からなければ精度ある価格は出せません。ですから場所を特定する住所は必須です。

物件種類ごとに簡易査定の依頼方法を書いてきましたが、結論から言うと、「査定してもらいたい物件の所在地と連絡先を伝えて、後日プロである不動産会社に調査してもらった結果を電話で報告してもらう」というのが、簡易査定の一番手っ取り早い方法です。

簡易査定を依頼するきっかけは、「いずれは売却を考えているけど今じゃない」「将来の参考のために」「わざわざ自宅に来てもらうほどでもない」といった緩い理由でも全く構いません。もっと気楽に聞いても良いと思います。

不動産会社の中には、直近の顧客になりえないことが分かると、あからさまに態度が急変する不動産会社もあるかと思います。それはそれで、「この業者はそういう対応なんだな」と将来の依頼先候補からバッサリ切ることが出来ます。今後、実際に業務を依頼するかもしれないときのために、不動産会社の対応を、今のうちに「査定」出来る良い機会と捉えてみたらどうでしょうか?

物件を差別化する方法

物件を差別化することはもっとも重要です。販売図面を見栄え良く作ったり、ポータルサイトに掲載する写真を、一眼レフで撮ってみたりと・・・様々な方法で、他物件と差別化しようとしています。そうした様々な差別化の手法があるという前提で、とりあえずそうした手法を一度脇に置いて根本的なことを言うと、「本当の」差別化には以下の二通りしかありません。

  1. リフォームやリノベーションで物件の価値そのものを上げる
  2. 売り出し価格や募集賃料を下げる

みもふたもないですが、上記2点にかなう差別化は存在しません。順番に見ていきます。まず1.について。

リフォームやリノベーションで物件の価値そのものを上げる

昔は高く売るため、貸すためにリフォームをすることが良くありました。例えば、本来5,000万で売れるであろう物件を、リフォームを施すことによって5,280万で売ろうというものです。確かに綺麗にリフォームされた室内は、部屋に入った時の買い手の購入意欲を掻き立て、一定の効果を示していた時期もありました。しかし、残念ながら今はそうではありません。

「周りに比べて決して高くない」

という前提がまず存在し、さらにリフォームもしくはリノベーションされているということで差別化につながり、買い手は他の物件にはないバリュー感を感じ選ばれることになるのです。つまりリフォーム、リノベーションをしたところで、高く売る為の効果はありません。あくまでも競合物件に競り勝つための効果が見込まれるだけです。もちろん、効果が出る場合もあります。それは

「ただ部屋を綺麗にしましたよ~」

という類のリフォーム&リノベーションではなく、そこにコンセプトが存在し、デザインでもライバルを凌駕するようなものが感じられるときです。例えばデザイナーに監修してもらった、建具やフローリングを無垢材で作った・・・などが挙げられます。つまり、リフォーム&リノベーション自体が、普通のものとは差別化されているのです。通常の物件価格に上乗せを期待したいのであれば、これくらいは行う必要があります。続いて2.についてです。

売り出し価格や募集賃料を下げる

上記1.のようにお部屋をバリューアップしようと思っても、そんな予算はない、もしくはかけたくない。そういう方、たくさんいらっしゃいます。それはそうでしょう。かけた費用だけ高く売れたとしても、リフォーム&リノベーションの段取りを取ったりする手間がかかるだけでは意味がないからです。ではどうするか?

「売り出し価格、募集価格の値下げ」

これしかありません。今の消費者は実際に物件を見る前に、ネットなどで物件を取捨選択し、厳選して絞り込んでから内見するという行動を取ります。いくら良い物件だったとしても、他の競合物件(*地域や広さ、築年数などが似たものを指す)に埋もれて、見てもらえなかったら意味がありません。極端な例を挙げると、市場相場・競合物件が5,000万台で、自分の物件だけ4,000万台だとしたら、当たり前ですがそれだけで目立ちます。ひっきりなしに問い合わせと案内が入り、もっとも良い条件の買い手と契約することが出来るでしょう。

結局のところ、不動産の売却もどれだけ効率的で効果的な広告を行ったかにかかっています。多くの人の目に触れ、良い物件だとアピールする為には、金額という最も強力で効果的な材料をもって目立たせるしかありません。

周辺相場の価格で物件情報を流しておけば、いずれは決まっていた時代ではありません。相場範囲で情報を出しておくのは今や最低限必要なことです。その上で頭一つ二つ抜け出す工夫をしていかないと、いつまでたっても決まらないのです。オーナーの中には、抜群のセールストークで、自分の物件を相場以上に売る、また、入居者を決めてくれる、

「やり手営業マン」「スーパー営業マン」

というものに幻想を抱いている人がいます。

「売れない、貸せないのは、担当している営業マンのセールストークが下手だからだ!」

と思っている人も中にはいるでしょう。しかし、残念ながら不動産情報は今やオープンです。物件情報は今まで不動産会社しか握っていませんでしたが、今は誰でもどこでも探せる時代です。不動産会社よりたくさんの情報を持っているエンドユーザーも多くいます。口先だけで契約を左右できる時代ではないのです。

口先だけでどうこうしようとするだけで、なんの工夫も提案もない営業マンよりも、物件の置かれた状況をはっきりと認識し、お客さんに選ばれる為の提案をどれだけ出来る人か否か。それが営業マンを選ぶ上での何より大切なことです。

査定を受ける時の注意点

不動産を売却したいというお客さんから、査定の依頼を受けると、不動産会社は専属専任専任媒介売却の依頼を受けたいがために、明らかに相場を無視した、高すぎる価格を提示することに対しての批判が以前からあります。

「当社であればこの価格で売って見せます!だから専任下さい」

高い金額をもっともらしい理由で伝えられて、悪い気のするオーナーさんはいません。良い気分で売却に出してみますが、結果、案内もほとんどなく、結局売れに金額を下げさせるのはある種、詐欺みたいなもんです。

一括査定サイトなどで複数の不動産会社が一度に査定に呼ばれると、それぞれ他社の伝える金額を気にして、中々本当の査定価格を言いません。なぜなら一番最初に訪問した不動産会社は、自社が伝えた金額が、他の会社の叩き台になってしまうのを恐れているのです。

引っ越しの一括査定を利用された方なら経験あるかもしれませんが、ネットの送信ボタンを押した直後から電話が鳴り響きます。あれは一番最初にお客さんとコンタクトを取った会社が最強だからです。なぜかというと

「今当社で決めて頂ければ、あと○○万、特別に割り引かせて頂きます!」

という必殺の殺し文句があるからです。お客さんとしては「これを逃して他がここより高い金額だったら・・・」と葛藤に迫られ、引っ越しの準備で慌ただしいなか、他社と時間をかける煩わしさから「まあ当初の金額より値引きしてくれるならここでいいや」と考え、他社の引っ越し会社がコンタクトを取れたときにはすでに決めてしまっているのです。それをひっくり返すのはほとんど不可能です。

上記のようなやりとりが、不動産の査定時には起き得ないからです。

「当社に売却の依頼を出して頂ければ、あと○○万円高く売りに出します!」

と言われても、オーナーとしては「はあ!?」となるでしょう。他社がどれくらいの金額を伝えているのかある程度聞き出したうえで、一番最後に一番高い金額を伝えようとするのです。つまり「後出しじゃんけん」が一番強いのです。ですから、

「調査して再度お伺いさせて下さい」

といって、回答を避けます。当然二番目に訪問した不動産会社は、自社が何番目に来たのかを把握したうえで、

「他社さんはどの位のこと言ってました?」

と聞きだそうとします。一番目の不動産会社が金額を伝えていないので、ここで二番目の不動産会社が金額を伝えてしまうと、その価格がたたき台となってしまいます。それを避けるために二番目の不動産会社も、調査する時間が欲しいとか適当なもっともらしい理由をつけて、

「後日またご報告にあがります」

となります。イタチごっこのようで笑ってしまいますが、これって本当に現場で行われていることです。仮に一番目の不動産会社が既に金額を伝えていたら、その金額を確認したうえで、

「へ~~~、その価格はずいぶん安いですね~。普通にやればあと○○万は高く売れると思うんですけどね~」

と、言えば済むのです。オーナーが喜ぶであろう高い金額を伝えて、有無を言わさずその場で媒介を取得しようとするから、こういうことが起きてしまうのです。オーナーとしても、不動産会社の査定というものが、引っ越し会社や車の買取査定とは全くの別物だという強い認識を持つ必要があります。

しかし、高い金額で査定することが必ずしもいけないという訳ではありません。周辺物件の売出・成約状況を提示して、

「現在の状況や過去の事例から、相場として恐らくこの辺りではないでしょうか」

と適正な金額を伝えた上で、売主さんの売却事情を踏まえ、

「急いで売る必要はないようですから、最初はご希望の金額で出してみたらいかがですか?」

と提案するのはまっとうな行為で、それが本来あるべき不動産査定であり、不動産会社の役目です。仮に売れずに金額の見直しを提案する際も、違和感なく受け入れてくれると思います。問題なのは適正な金額を伝えないで、あたかも

「自社に任せてもらえれば他社より高く売れる」

とだけしか言わず、オーナーが「本当の査定価格」を知らされないから、後々問題になるわけです。本当の価格を言ったら断られる、と思っているからこうした不毛なやりとりが行われているのでしょうが、真実をしっかりと伝えて信頼してもらえれば、例え他社より金額が低かったとしても選んでくれると思うのです。

オーナーとしては、不動産会社が査定で伝える耳触りの良い価格は、いったん疑問に持った方が良いと思っておきましょう。不動産会社によって、金額が何百万も差が出ることなんて、おかしな話なのですから。

250_bana 不動産活用コンサルタント
03-5707-7650

無料メルマガ登録

「教養」としての不動産取引


読者購読規約
>> バックナンバー
 

不動産活用コラム

不動産活用コム メニュー

楯岡悟朗 著書

関連リンク

よく読まれている記事

不動産活用コンサルタント