アドバイスの聞きすぎには要注意

当事者が多くなればなるほど、物事がスムーズに進まなくなることは良くありますが、不動産取引にも同じことが言えます。不動産の購入や売却時に、親類縁者、または友人に相談する人がいます。別に相談すること自体悪いことではありませんし、そうした助言は時に、結論を出す際の重要な判断材料となるはずです。大いに相談してもらって構いません。

しかし意見を聞くのは良いですが、なんでもかんでもその意見を受け入れてしまうのは問題です。意見する人達を悪く言うつもりはありませんが、アドバイスというのはあくまでもアドバイスです。

  • 「これいいんじゃない!」
  • 「お勧めだよ!」
  • 「絶対売った方がいいよ!」

当事者は自分の決断が正しいことを、周りから評価されることで認識したいのです。だから、自分の意見を受け入れてくれるアドバイスを、心の奥では待っているです。しかし、そういう時に限って、当事者の背中を押してくれるような、積極的な意見を言う人は残念ながらそう多くいません。

当事者ではないので発言に責任が伴いません。そうしたアドバイスをする人達にとって、自分の意見が元で、物事が進んでしまうのが怖いのです。売却や購入が結果的に上手くいくかもしれませんが、万が一悪い方に転がった場合、勧めた自分にも責任が生じてしまうと考えてしまうのです。人は人から頼りにされるのが好きです。しかし、変な責任は背負いたがりません。だから、自分に意見を聞いてきた相談者のことよりも、「自分自身のための」意見を言うのです。

とりあえず気になることやマイナスなこと、もしくははっきりとは言わないけど、

「あんまり勧めないな~」

というようなニュアンスを伝えることが出来れば、一通りアドバイスに乗ったことにもなり義理も立ちます。仮にそのアドバイスを参考に、取引を見合わせたとしても、物事は前に進まないので良いも悪いも結果は出ません(*前に進まないことが悪い結果に結びつくことはよくありますが)。人は責任がない立場で、ああだこうだいうのが好きなのですが、「アドバイスしたがる人」ほど、そうした傾向が強いように思います。

相談するのは大いに構いませんが、紆余曲折を経てご自身が出した結論を、もっと尊重して欲しいですし、もっと信じて欲しいですね。

意見に振り回されていませんか?

人の意見を聞きすぎた例ですが、以前こんなことがありました。

他業者が、私が依頼を受けて販売していたマンションに購入検討者を連れてきました。そのお客さんは、当初から不動産仲介会社ではない、「不動産コンサルタント」に色々と相談に乗ってもらっていたようです。物件の内見時にも一緒に来てましたから、当然私も知っていました。この時点で、相手に意見することが商売の人が入って、話がうまく進むとはあまり考えてもいませんでしたが。。。つまり、最初から期待していませんでした。

ただ、少し難のある物件だったので、契約後クレームになったりしないよう、もし万が一話が進むようであれば、慎重に判断してもらいたいと思っていました。ですから中立な立場の人がいることは都合が良いとも考えていました。

要求された資料は提出しましたし、出せるだけのものは全て出しました。取り寄せることが出来るものは可能な限り取り寄せました。決して契約を推し進めることもしませんでしたし、検討段階で断られてしまっても別にかまわないと考えていました。ノルマに追われる営業マンとしては失格かもしれませんが、私のスタンスは毎回こうです。

結局、かなり時間がかかりましたが、大幅な金額交渉が条件で購入申込書をもらったのです。売り手が希望する金額との差は小さいものではありませんでしたが、無理を言ってその条件で承諾して頂き、無事話はまとまり契約日のセッティングも行うことができました。結論を出すまでに、これだけ時間がかかっているのだから、当然、依頼しているコンサルタントにも良く相談した上での結論に違いなかったのでしょう。

「これで間違いない」

私もお客さんを連れてきた不動産会社もそう思っていました。

ところが、契約書類の準備や物件の調査も済み、売主さんにも忙しい中時間を作って頂き、金融機関への手続きも始めてもらっていた最中、翌日が契約というところで突然、

「キャンセルしたいそうです・・・」

と相手の不動産会社から沈んだ声で連絡が入りました。さすがにこの段階でのキャンセルに怪訝に思った私は、理由を聞いたところ、

「依頼していた例の不動産コンサルタントがあまり勧めなかった」

んだそうです。は!?契約日前日に何を言ってるんですか?

「直前にこうなっては困るので、そうならないように慎重にやってきたんですけど?」

「判断材料は充分過ぎる位出してますよね?」

「それを元に事前に相談して購入申込書を出したんじゃないんですか?」

「あれだけの金額交渉をして飲んでもらったのに?」

「こんな間際にならないと判断出来ない不動産コンサルタントなんて、コンサルタントじゃないですよ?」

相手の不動産会社を問い詰める声にも熱がこもります。相手に不備はないのですが・・・。

購入申込書には法的拘束力はありませんから、キャンセルしてもペナルティはありません。ここまで話が進んだ状態でなければ、私もここまで腹を立てることもありません。キャンセルなんてそう頻繁にはありませんが、たまにあるので慣れてますし。でも契約日前日のこのタイミングでのキャンセルは、明らかにマナー違反・ルール違反です。

第三者の立場の意見を参考にするのは良いですが、その人の意見に振り回されてしまってはいけません。誰のための結論なのか、それを十分考えてもらいたいものです。

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