【新人不動産営業マン奮闘記】大手企業の看板のデカさに愕然とした件

 

勘違いしていた営業マン時代の実情

今の会社で働き始める前、私は誰もが知る大手の不動産会社の営業マンでした。

入社当初はパッとしないどこにでもいる営業マンでしたが、紆余曲折の末、辞める当時の私の営業所内での立場は、全国に名前を轟かしていたトップ営業マンに続くナンバー2でした。ただ、そのトップ営業マンの先輩は、半分管理職のようなものだったので、実質的には私が事務所内でのトップです。

私一人で扱う取引総額は年間25億円を超え、入社して最短で役職者へ昇進。全社員のわずか数パーセントしか呼ばれない年間社内表彰の常連になっていました。常に成績上位者に名前を連ねていたので、社内でもちょっとした有名人になっていました。

投資用マンションを購入するときに、仲の良い銀行の融資担当者に源泉徴収票を出したら、

「こんなに稼いでるんですか!?」

と、驚かれるほどの収入も手にしていました。

営業会社では売り上げが全てです。多少人格に問題があったとしても、数字を上げていれば「神」にもなれる会社でした(笑)

上司や周りの営業センターからもちやほやされ、リフォーム業者や不動産買取業者からの食事会や飲み会にもひっきりなしに誘われていたこともあり、私もいい気になっていたことは確かです。

仕事が何もないという現実に直面する

それまでの会社では不動産の売買のみを行い、扱う金額の多くは何千万単位です。全国に支店があり、全従業員はそれこそ何千人の世界ですが、辞めた後に入社したいまの会社の従業員は全部で3人。いわゆるどこにでもある「町の不動産屋」に過ぎません。

賃貸が業務のメインで、数万円規模の取引がほとんど。私はこの賃貸メインのこの会社での使命は、年に数件しかない売買取引の件数を、飛躍的に増やすことを目標にしていました。

以前の会社では、年間何億もの不動産の取引をしていた私は上記のように完全に天狗になっていました。

「入ったからには売り上げを何倍にもしないとな」

と、安易にそんなことを考えていた私は、入社して1ヶ月もしないうちに出鼻をくじかれることになったのです。。。

意気揚々と仕事を取り組み始めたのはいいのですが、

ネタがない

のです。

そう、不動産売買の仕事をしようにも、な~~~んにもネタがなかったのです。この場合の「ネタ」というのは、買いたい人、もしくは売りたい人などの「見込み客」、つまりお客さんのことをいいます。冷静に考えてみれば当然なんですけど、当初はそれすら気づいてませんでした。どこかから案件が降ってくるとでも思ってたのかな?

当然、私もネタがないからといって、ボケ~~~っとしていたわけではありません。色々と動いてみました。

何をやるにもお金がかかる現実

「お客さんを見つけるにはまず広告だ!」

ということで、折込広告をしようと考えました。

ところが、以前の会社では当たり前のように毎週やっていた折込広告を行うには、紙代もかかりますし、そもそも印刷機がないので印刷代もかかります。チラシの印刷もままならない現実に愕然としました。

仕方なしにコピー機で何百枚かポスティングチラシを作って撒いてみましたが、当然、反響はまったくありません。

当たり前の話です。大手の不動産会社がクレームになるほどのチラシを、絨毯爆撃のように投函している現状で、知名度などまったくない町の不動産会社のちょろっと投函したチラシに、いきなり問い合わせをしてくるお客さんなどいるはずありません。

不動産業界のチラシ投函事情

ならばとインターネットのポータルサイトに広告を出すことを考えてみました。しかしここでも費用の問題が立ちふさがります。広告枠を借りるのに月々決して安くはない広告費がかかるのです。

「たかがネットの広告なのにこんなにかかるの・・・?」

このときになって初めて、何をやるのにもお金がかかるという事実にリアルに直面しました。以前の会社では、日々、当たり前のように行っていた広告に、どれだけ費用がかかっているかなんて考えたこともありませんでした。

折込広告やポスティングのための紙代や印刷代、手配費用。ポスティングのアルバイトの給料からなにからなにまで・・・。

途方にくれました。仕事をしようにも、本当になんにもないのですから。このときになって初めて、以前いた会社の看板のでかさを実感しました。

「オレは仕事ができる!」と勘違いしていただけだった

私がいままで人に誇れる程度の実績をあげることができていたのは、大手不動産会社の看板がバックにあり、会社の広告費を無尽蔵に使うことができたからだった現実に直面しました。

会社の看板をバックに、えらそうに仕事をしてきましたが、その看板を外してしまったら、不動産の知識を持ってるだけの

「ただの人」

でした。過去の実績などなんの足しにもなりませんでした。

会社の看板が大きいと、そのネームバリューが自分の実力だと勘違いしてしまうことは、この時、骨身にしみました。会社の看板で仕事をこなしているうちは半人前なのだと。

その時以来、自分の看板で仕事を行っていかなければならないと気づいたのですが、何から始めたらいいのか分からなかった私が最初に始めたのがこのブログの元となったアメブロでした。

まとめ

いきなり売買のお客さん集めが出来ないと気づいてからは、以前のような大ぶろしきを広げることなく、広告に大きな費用をかけることもなく、賃貸・売買こだわらず地道に目の前の仕事をコツコツ行っていきました。その結果、いまの会社の売り上げがあります。

過去の積み重ねでいまの年間の売り上げ、月の売り上げがあるので、

「今月数字が悪いから起死回生を狙った折込広告をドカンとやっとくか!」

なんていうド派手な発想にはなりません(笑)。

売り上げが悪いからと言って、即効性のある特効薬なんてありません。未来の売り上げのために、今、目の前にある仕事を全力でこなすことが、唯一の方法だと今では信じています。

ちなみに営業マン時代をつづったビジネス書を出版しています。今回の記事と併せてどうぞ。

「笑える」

という評判です(笑)。初めての執筆にしては、上手に書けたなと私自身思ってます。

 

こちらは5月に発売されたばかりの新刊です。こちらに面白さはありませんが、お役立ち情報が盛りだくさんです。こちらもどうぞ。

 

Pocket