不動産の一括査定をおススメしない理由

引っ越し業者とか車の買取とかで一括査定というものがありますが、不動産にも一括査定というものがあることをご存知ですか?一度に複数の不動産会社に査定依頼が出来るので、一見するととても便利に思えますが、あまり効果的とはいえません。

引っ越し業者にしろ車の買取業者にしろ、彼らの査定価格というのは、「その金額で引っ越しを請け負う」「その金額で車を買い取る」ということです。ですから見積もりを多数に依頼して、一番安い金額・高い金額を把握することに効果はあるのです。一件一件問い合わせる必要がないので、一括査定を依頼する意味は大きいでしょう。

しかし不動産査定の場合、査定する側がその金額で買い取ること、または売れることを保証するわけではありません。あくまでも

「この位の金額であれば売れるでしょう」

と専門的立場からアドバイスするだけなのです。それが不動産の査定です。そしてほとんどの不動産会社がそうですが、「査定媒介契約取得の場」と考えています。複数の不動産会社がバッティングした場合、例え提案する価格が相場を無視した高い金額だと売主自身分かっていたとしても、

「当社にはこの金額で買うと言ってるお客さんがいます!」

と、言われたら、一番高い金額を提案してくれたその不動産会社に依頼したくなるのが心情のはずです。要するに不動産会社にとっての査定とは、適正な価格を提示することではなく、専属専任専任媒介契約を結んでもらえるような高い査定価格を提案することが目的となっています。

以前、一括査定に巻き込まれた売主を訪問したことがありますが、売主さん自身、何がいいのか?どこがいいのか?金額も言ってることもバラバラで混乱してしまっていました。そんな中、私がまともな査定を行ったとしても、却って混乱させてしまうだけなので、以下の2点をアドバイスしました。

  1. 一度リセットして仕切り直す
  2. 接触した不動産会社の中で、フィーリングが合った人や、人柄が良くて安心できる人2,3人に再度コンタクトを取り、慌てずにもう一度査定内容を聞き直す。

このように次から次へ不動産会社が査定に来ては、他社の提案した金額を探り出そうとし、その価格よりも少しでも高い金額を提示しようとする「意味のない査定ごっこ」が繰り広げられる一括査定に意味はあると思いますか?

これが「一括査定をおススメしない」何よりの理由です。

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