重要事項説明(じゅうようじこうせつめい)

不動産を購入する側に向けて行うこれから契約しようとする物件の重要な事項や、細かい契約上の取り決めを説明すること。説明がかかれた書面のことを重要事項説明書という。所要時間は大体1時間位で、通常契約書の読み合わせと同じタイミングで行うことがほとんど。説明書には売主・買主双方の署名、捺印が必要ですが、買主に向けての説明なので、売主不在で行われることも多い。

運転免許を持たない人が車を運転してはいけないように、重要事項説明を行うには、宅地建物取引主任者試験に合格し、宅地建物取引主任者証の交付を受けた免許者でなければいけません。

法律系資格の登竜門と言われているため、行政書士、司法書士、弁護士などを目指す受験生が腕試しで受けたり、法学部の学生も受けるので、毎年受験者数は大変多いです。登竜門とはいえそれなりの勉強をしないと受かりません。難関資格では決してありませんが、通常業務をこなしながら受かるのはやはり大変です。

会社の上司には合格を義務付けられていて、試験直前には取ってつけたように勉強時間が与えられます。しかし、毎日帰宅時間は日が変わるか変わらないかのギリギリ。月末になれば休みも取れないため、勉強時間はほとんどありません。日々数字に追われる営業マンにとっては焼け石に水でしかないでしょう。毎年試験がある10月が近づくと、カフェや喫茶店で参考書を開くスーツ姿の営業マンの姿が見受けられますが、そうした人を見かけたら「大変だな~」と思ってあげてください(笑)

重要事項説明は後から言った・言わない、の水掛け論を予防するために、ものすご~く細かいことや「当たり前すぎて書く必要もないのでは?」といったことまで回りくどく説明されます。本来大した内容ではないけれど、普段あまり耳にしないような小難しい法律用語で説明されるため、説明がすんなり入って来ません。そのため何から何まで全部気になるお客もいます。

お客さんを不安に思わせることなく、適切に簡潔に、なおかつ外すところは外さず、説明を行える能力が不動産会社には必要だと感じます。

契約日より前に重要事項説明をするケース

契約書の読み合わせ、署名・押印の前に、重要事項説明を行いますが、そのほとんどは契約日当日に行います。契約日とは別に、時間を取って行うところはほとんどありません。

しかし、ただでさえ契約時は売り手・買い手共に、普段体験することのない独特の雰囲気によって気分も高揚し緊張しています。そのような状態でいきなり法律用語や聞いたことのない不動産用語が続出し、どの程度お客さん(*特に買い手)にその説明が響いているのかは不明です。

不動産取引に慣れたプロの不動産会社にとっては、複雑な条項などまったくなく、突っ込む所が何一つない契約だったとしても、お客さんにとっては人生に初めてか多くても数度目かの契約行為です。たいして問題にするようなことではない、些細なことにも、

「一生に何度もない不動産取引」

「失敗できない」

という不安感から、過剰反応するお客さんもいらっしゃいます。それがもとで契約が紛糾することもあります。売り手も買い手も契約をしに来ているので、説明に納得できずに、契約をキャンセルするようなことはあまりありませんが、その時のことが後々まで引きずることは良くあります。事前にしっかりと説明して、疑問点・不明点をなくしておくだけで、契約日当日に気持ち良く取り引きを行えるなら、事前に契約日とは別に重要事項説明だけしてもらっても良いと思います。契約とセットにするものという認識を、不動産会社もお客さんも持っていますが、契約前に行えば良いのであって、「契約と同日に行わなければならない」という訳ではないのです。

しかし、不安とはいえ、担当者とお客さんとの間に信頼関係が築けていれば、当日説明でもなんら問題ないことがほとんどですし、信頼関係をしっかりと築ける担当者が、少々難のある難しい契約を、なんの配慮もなく進めようとするとは、あまり考えられません。重要事項説明を、事前に聞くかどうかは、担当者に対する信頼感をバロメーターにしてみたら良いのではないでしょうか。

事前に説明をしないのはなぜなのか?

そもそもなぜ事前に説明を行わないことが、当たり前のようになっているかというと、下記のような不動産会社の常識、固定観念があるからです。その固定観念が何かというと、

「契約が決まったら、当日までお客さんとは接触しない方が良い」

ということです。

不動産売買は長く時間をかければかけただけ、良い取引が出来るというものではありません。これは良く言われますが、物件や人との「ご縁」みたいなところが間違いなく存在します。その「ご縁」に導かれて、取引を進めることになり、その時お客さん自身が発する「熱気」のようなものに動かされます。

しかし、どんなに悩んで悩んで、納得して決めたとしても、結婚前「マリッジブルー」になるように、ふとした瞬間、

「本当にこの物件でいいのだろうか・・・」

「売ってしまって後悔しないのか?」

と不安に思うことがあるのです。不安に思うと、細かいことが気になり始め神経質になりがちです。

取引をなんとかしてまとめたい不動産会社は、そんな不安定な状態に陥ってしまったお客さんから、不安からくる些細な質問をされて、せっかく契約に向かっているお客さんの気持ちを冷ましたくない。そのままの気持ちで契約に臨んで欲しい。というのが本音なのです。

とある営業マンは言いました。

「契約前にあれこれ説明をして、不安に思わせて買えなくしてしまうのは、お客さんにとっても良くない。せっかく気に入った物件を買ってもらう・売ってもらうのが、お客さんの為であり、我々不動産会社の仕事だ」

と。確かに一理あると思います。

「これは大丈夫ですか?」

「あれは気になりませんか?」

などと不安感を煽るのはもちろん間違いです。そうして取引を行おうとしているお客さんの熱を冷ますようなことは、当然すべきではないと思います。しかし、このように考えることは出来ませんか?

「契約はすっきり気持ち良く、なんの不安もなく行ってもらいたい。事前にお客さんの質問・疑問点に全て答えて、結果契約がなくなるのならそれでいい。それこそ「ご縁」がなかったということ。そうした営業マンの正直な姿勢はお客さんにも伝わると、お客さんとの絆が一層強くなり、仮に今回契約がなくなっても、次回はより気持ち良く取引が行えるはず」

と。私はそう思っていますし、そのように考える不動産のプロフェッショナルが増えると良いと思っています。

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